第35話 予想外の復活
スーパーから家に帰った俺達はひとまずマイバックの中から買ってきた食材をダイニングテーブルの上に取り出す。オムライス用の食材以外も買っていたため、すぐに使わないものについては冷蔵庫に入れておく。
「それで俺は何を協力すればいいんだ? 料理は家庭科の調理実習くらいしか経験がないんだけど」
「料理は基本的に私がするから、本当にちょっとした手伝いをお願いする感じね」
「分かった、何でも言ってくれ」
それから俺達は二人でオムライスを作り始める。俺は野菜を洗ったり、調理器具を準備するなど天音の指示で動いている感じだ。天音は玉ねぎやピーマンを手際良く包丁で切り、フライパンで炒めている。
実際に天音が料理している姿は初めて見たが、明らかに慣れた手つきであり非常にスムーズだった。あっという間にケチャップライスの作成まで完了したため、次はいよいよ上に被せる卵の部分だ。
「卵を割って牛乳と一緒に混ぜて作ったけど、こんな感じで大丈夫か?」
「ええ、問題ないわ」
俺が作った卵液を受け取った天音はフライパンに流し込んで卵を作り始める。母さんでも失敗することがあるくらい卵の部分は難しいはずだが、天音は危うげなく作り終え、ケチャップライスに卵を被せた。
「後はケチャップをかければ完成ね」
「見た目の時点でめちゃくちゃ美味しそうなんだけど」
「勿論実際の味もしっかり保証するわ」
「あれだけ料理出来るオーラを出して見た目も美味しそうなのに、これで不味かったらある意味才能だろ」
そんな会話をしながら俺は散らかっていたキッチン周りを片付けつつケチャップを手に取り、早速オムライスにかけようとする。
「あっ、ケチャップも私がかけるからそこに置いたままで大丈夫よ」
「オッケー、よろしく」
オムライスのケチャップをかけるくらいは俺でも出来るためやろうとしていたのだが、そこも天音がやってくれるようなので任せることにした。
「やけに丁寧にケチャップをかけてるなと思ってたらわざわざそんなのを描いてたのか」
「男子はこういうのが好きだって聞いたからサービスよ、喜びなさい」
オムライスの卵にはケチャップでハートが描かれていた。男子が好きっていうのは一体どこ情報なのかは気になるが、悪い気はしないから本当に自分自身でもちょろいと思う。
「熱々のうちに食べましょう」
「ああ、そうしよう」
俺は二人分のオムライスをダイニングテーブルへと運び、そのまま席についてオムライスを食べ始める。
「うん、めちゃくちゃ美味しい」
「味は保証するって言葉は本当だったでしょ?」
「別に疑ってはなかったけどな」
そんな話をしながら食べているうちに完食した。少し休憩を挟んでから勉強を再開したわけだが、夕方になったタイミングで外から激しい雨が地面を叩くような音が聞こえてくる。
「今日って雨の予報だったかしら?」
「いや、特にそんな感じではなかったと思うけど」
窓の外は土砂降りの大雨であり、めちゃくちゃ激しく降っていた。スマホで気象情報を確認すると線状降水帯が発生したようで、このまま夜遅くまで大雨が続くとのことだ。
「……これだけ降ると帰りが大変ね」
「しばらくはこんな感じみたいだしな」
「そうよね、ちょっと電話してくるわ」
そう言って天音はスマホを持って部屋の外に出て行った。もしかしたら親に車で迎えに来て欲しいとお願いしているのかもしれない。そう思ってしばらく待っていると天音が部屋に戻ってきた。
「おかあさまから許可を貰ったから、今日はこのままお泊まりさせて貰うわよ」
「えっ!?」
予想もしていなかった発言に俺は思わずそんな間抜けな声を上げてしまった。てか、電話の相手って俺の母さんだったのかよ。
「ってわけで今日はこのままお泊まり勉強会コースになるからよろしく!」
「マジか……」
一度は阻止したはずのお泊まり勉強会が、まさかこんな形で復活するとは思ってすらいなかったが、母さんが許可を出してしまっているなら諦めるしかない。
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