09話 マミカが生き生きしている姿を見るとうれしくなる
「マミカは、どんなスキルが欲しいの?」
マミカは機嫌よく答えた。
「んふふ、聞きたい。最近の流行りは魔法が使える剣士よね。
そして、魔法陣を地面に描いて、その中に入った敵を弱らせてから倒す技が素敵よね」
マミカは色々と想像したのかうれしそうだった。
「うん、いいと思うよ」
「でしょでしょ」
「じゃあ、出かける前に身支度する時間をもらうよ。30分くらいください」
「はあい、わたしも準備するわ」
◇
ボクは、出かける前のお通じを済ませることが出来て、安心していた。
ひとりのときは気にせず、いつでもトイレに行けるけれど、団体行動は気を遣う。
みんなは健康な身体でうらやましい。
「マミカ、おまたせ。ボクの準備はできたよ」
「わかったわ。じゃあ、トイレを済ませてくるわ」
「うん、急がなくて良いからね」
「ありがとう」
しばらくして、ボクたちは腕を組みながら、ダンジョンに向かった。
門番さんが明るく声を掛けてくれた。
「おはようございます。がんばってくださいね」
「ありがとうございます。いってきます」
「おはようございます。いってきます」
ボクとマミカは愛想よく返事をした。
あいさつができるマミカは良いと思った。
なぜなら、ボクたちの前後に並んでいたパーティは返事しなかったからだ。
誰かを無視することで優越感を覚える連中は大嫌いだ。
ボクはマミカと目を合わせてうなづいてから、すいている場所に歩いて行った。
「ゆきお様、この辺でいいかしら?」
「そうだね、では、【②検索レーダー】のスキルを使うね」
ボクはダンジョン内にいる他の冒険者の居場所を把握した。
「どうですか?」
マミカがレーダー画面をのぞき込んできた。
「北側、つまり、奥の方と西側が空いていますね」
「どちらに行きたい?」
「そうですね、北側、つまり、奥の方ですね。
終点がどうなっているか知っておきたいです。
もしかしたら、次の階層への階段があるかもしれません」
「じゃあ、そうしよう。
もしかしたら、ボクたちが一番乗りになるかもね」
「ええ、行きましょう!」
マミカは元気よく、北に駆けだした。
「ま、待ってよう!」
「ゆきお様、わたしを捕まえて下さい」
マミカの笑顔がまぶしかった。
◇
ダンジョンの奥の方に着いた。
【②検索レーダー】のスキルによると、行き止まりに見える壁というか岩山の側面に階段が隠されていた。
マミカが首をかしげていた。
「ほとんどのひとが気付かない場所に階段があるのは良いとして、上に行くか下に行くか迷うわね。ステータス画面にはこだわりが無いのに、階層にはこだわっているのね」
「そうだね、上か下かどちらの階段にしようか?」
「まだいいわ。レベル101くらいまで待つわ。そうすれば、2つ目のスキルが身に付くかもしれないわ」
「残念だけど、次はレベル151だよ」
「そうか、残念ね。それでも、レベル101くらいまで、ここに居たいわ。
ゆきお様は、もっと先に行きたいでしょうけれど、私に合わせてくれますか?」
「もちろんだよ」
「では、お願いします。ゆきお様」
「うん、マミカ」
というわけで、行き止まりに見える壁を背にマミカのレベル上げを始めた。
気を遣わなくて良いからか、マミカは伸び伸びとしていた。
「ゆきお様といっしょだと、こころが軽いですね。まるで羽が生えたようです」
「そう? ボクもマミカが生き生きしている姿を見るとうれしくなるよ」
「えへへ、わたしは幸せですね。
まずは、お金を稼いで、レベルが上がったら、スキルを覚えて...
楽しみだわ」
「ボクの手助けがいるときは教えてね」




