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レディ・ヴィエラは揺るがない  作者:
幼少期-領地編-
36/54

個性が色々大家族


 賑やかな歓迎にあった一行は一旦部屋に戻り、各自休憩を取った。

 ヴィエラとロアンも長旅と訓練の視察で疲れていたため、すぐさまお昼寝へと移行する。

 一方エルディオンとイリアスは訓練に参加し、セラフィアは奥方たちとお茶会へ、アルノアはレオニス達と『大人の話し合い』をした。


 そして迎えた晩餐にて、改めてアルカディウス家の親族一同と顔を合わせる。


「今日は盟友が来てくれたからな。腕を振るったぞ~!」

「お! 鹿肉のローストなんて久しぶりだなぁ!」

「果実酒もあるぞ!」

「坊主、しっかり食って大きくなれよ!」

「は、はいっ」


 アイゼンヴァルト伯爵家とは違う、賑やかな食卓には山のように肉料理が並んでいる。

 メインは『鹿肉のロースト』なのだろうが、他にも『牛肉を煮込んだ野菜ゴロゴロスープ』やライ麦で焼いたパン、牛乳から作られたチーズが並んでいる。


 ロアンにとっても豪勢な食事だ。

 生まれてから一度も、こんなにも大量の肉料理が並んだところなど見たことがない。


 家族だけでなく料理からも勢いと圧を感じ、ロアンは自然と背筋を伸ばした。

 だがそんなロアンの対面では、気難しそうな顔立ちの細身の男が顔を顰めている。


「うへえ……。これはまた胃もたれしそうなメニューだなぁ……」

「普段から草ばっかり食べてるからよ、カイラス兄さん」

「人を草食動物みたいに言うな! 俺は植物学者なだけだよ!」


 再びレナリアとカイラスが口喧嘩を始めるが、レオニスが「ウォッホン!」と咳払いすると即座に口を閉じた。


「すまんな、見苦しくて。うちはいつも兄弟喧嘩が耐えんのだ」

「構わない。子供が元気なのはいいことだ」

「わははは! アルノアの器の大きさをうちの倅共にも分けてやりたいわ!」


 笑い飛ばしたレオニスは、改めてロアンへと視線を向けた。


「坊主、さっきはちゃんと紹介してやれなかったが、うちの妻と倅共と、その家族だ。お前達、あの子は公爵家で保護している伯爵家の子供だ。あんまり揶揄うんじゃないぞ」


 レオニスに紹介され、ロアンは改めて「ロアン・ノア・ストーンリッジです。よろしくお願いします」と頭を下げる。

 それに対し、三人の夫人が笑みを返した。


「先ほどはお会い出来なかったわね。私は第一夫人のラディアよ。出身は海の向こうの国なんだけど……気にせず接してくれると嬉しいわ」


 そう言って微笑んだ第一夫人、ラディアは隣国の王女だった人だ。

 学生時代に留学し、レオニスに一目惚れして逆プロポーズをした。それが切っ掛けでエルドアン王国に嫁いできた人だ。そのためどこかエキゾチックな雰囲気を漂わせているのだが、ロアンは「キレイな人だなぁ」ぐらいにしか思わなかった。


「次は私ね。(わたくし)は第二夫人のイレーナと申します。ロアン様、王都とは違い、戸惑うことも多いでしょう。困った時は遠慮せずお話くださいね」


 儚げな見目に、穏やかな微笑みを浮かべたのは第二夫人だ。歳を重ねているはずなのに、不思議と若く見える。そして気難しい表情の四男とよく似ており、直感的に「親子なんだな」というのが分かった。


「じゃあ最後はアタシだな! アタシは第三夫人のタチアナだ! まあ、夫人って言っても形だけなんだがな。普段は訓練兵の面倒を見ているから、兵士たちの母親役、って感じだ! よろしくな、ロアン!」


 最後に笑顔で挨拶をしてきたのは、第三夫人のタチアナだ。本人も戦士であることが一目で分かるほど鍛えられている。小麦色に焼けた肌も相まって非常に健康的で闊達な女性だった。


 ロアンは改めて「よろしくお願いします」と頭を下げると、今度はレオニスの子供達が順に挨拶兼自己紹介をしていく。


「それじゃあ俺達の番だな。さっきも軽く名乗ったが、オレはラムロスだ。現状『次期辺境伯』として親父殿の手伝いをしている。ロムラス、と呼びづらかったら『ラスおじさん』でもいいぞ! ああ、それと、隣にいるのが妻と子供達だ。仲良くしてやってくれ」


 そう言って巨漢の隣で頭を下げたのは、スラリとした女性と、エルディオンより少し年上に見える子供達だった。

 普段は別館で過ごしているらしいが、次期辺境伯の家族として参加したらしい。粛々と挨拶をしてくる。


「妻のマルティナですわ。隣にいるのが息子のアルト、娘のオリヴィアですわ」

「よろしくお願いします」

「お初にお目にかかりますわ。どうぞ仲良くしてくださいましね」

「よ、よろしくお願いします」


 慌てて頭を下げたロアンに対し、次に名乗ったのは辺境伯の次男坊だった。


「私は次男のヘクターだ。兄、ラムロスの副官をしている。分からないことがあったら何でも聞いてくれ。それから、隣にいるのが弟のガレスとカイラスだ。ガレス、挨拶を」

「おう。坊主、さっきは色々話しかけて悪かったなぁ。オレがガレスだ。ラムロスの兄貴の次に強いが、家のことはさっぱり分からん! 普段は辺境の兵士たちをまとめる隊長をやってるぞ。気軽に『隊長』と呼んでくれ!」

「はい! タイチョー!」


 素直に『隊長』と呼んだロアンの視線は、四人兄弟の中で一番スラリとした、色素の薄い男へと向かった。


「……俺はカイラスだ。四人目の息子で、植物学者と薬師を兼任している。普段ここには来ないから、もう会うことはないだろうな」


 ツンとそっぽを向いた彼は、あまり父親に似ていない。恐らく母親である第二夫人に似たのだろう。茶髪の兄弟の中で唯一白銀にも似た薄い紫色の髪を持っている。

 そして子供相手にも容赦なく、かつ素っ気ない言葉を言い放ったため、妹のレナリアに足を蹴られていた。


「いっ……! おい、レナ! 人の足を蹴るんじゃねえ!」

「フーンだ。兄さんがちっちゃい子相手に意地悪言うからよ。ロアン、気にしないでね。兄さんはひねくれてるの」

「おい!」

「あ、そうそう。改めて自己紹介するわね! アタシはレナリア! これでもちゃんとした戦士なのよ? 剣も槍も弓も体術も、ぜーんぶ得意だから、困ったことがあったらお姉さんに言いなさい! 全員ぶっ飛ばしてやるから!」


 バチコーン! と綺麗にウインクを決めたレナリアは、とてもじゃないが貴族のご令嬢には見えない。ましてやこの地では『第四王女』になるなど、誰が思うだろうか。

 あまりの気さくさにロアンは圧倒されてしまったが、すぐに笑顔を作って「よろしくお願いします」と返した。


 ロアンにとって色んな意味で『初めて』だった。こんな大家族と出会うのも、宴会のような晩餐会に参加したのも。


 そしてここでの出会いがロアンの人生に大きな影響を与えるとは、まだ誰にも分かっていなかった。



キャラが増えてきたので、そろそろキャラクター一覧表を作った方がいいですよね。

特徴含めて作ろうと思います。

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