表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レディ・ヴィエラは揺るがない  作者:
幼少期-領地編-
19/40

伯爵家の子供達


 伯爵家の子供達と遊ぶことになったが、ここで問題が起きた。

 人形遊びがしたいフランと、剣の訓練がしたいグランツが喧嘩を始めたのだ。


「なんでよ! お人形ならみんなで遊べるじゃない! 剣のくんれんなんて、レディにはできないわ!」

「だったら見てればいいだろ! なんで男が人形あそびをしなくちゃいけないんだ!」


 ワーワーと取っ組み合いの喧嘩を始めた二人を、慌ててエルディオンとイリアスが止める。

 この二人、姉弟でありながらも非常に仲が悪かった。


「エルディオンお兄さま! こんな意地の悪い子はほうって、二人であそびましょう!」

「おまえみたいなワガママ女、こっちからねがいさげだ!」

「待て、グランツ。今のはいいすぎだ。まったく……母上もめんどうごとを押し付けてくれるぜ……」


 最後にこっそり悪態をついたイリアスだが、しっかりとグランツの口元はハンカチ越しに塞いでいる。グランツはムスッとしていたが、尊敬するイリアスに止められたのだ。暴れるような真似はしなかった。

 一方そのやり取りを眺めていたヴィエラは「バカバカしい」と顔を顰め、ロアンは「すごいなぁ」と二人の剣幕に圧倒されていた。


「アイゼンヴァルトはキシの家門でもあるんだぞ! 剣のクンレンをするのはトーゼンだろ!」

「剣よりお金のほうが大事だわ! それにお父さまだって剣がニガテじゃない! それに、剣をかうのにもお金が必要なのよ!? わかってるの?!」


 フランの『ごもっとも』な意見にグランツは言葉に詰まる。それでも何か言い返そうとしたところで、エルディオンが手を叩いて意識を分散させた。


「はい。そこまで。フランもグランツも、熱くなりすぎだ。それに、剣もお金もどっちも大事だよ。どちらか片方が優れている、なんてことはないんだ」

「……はい」

「ごめんなさい……」


 尊敬するエルディオンに叱られ、二人の姉弟は同時にシュンとする。そして傍観していたヴィエラが「お前たち」と声を掛ける。


「一つ、確認なのだけど。お前たちは“家門”のことをどれだけ知っているの? グラディアスとアイゼンヴァルトの関係は?」

「えっと、公爵家をささえるためにいるって……」

「公爵家と兵士たちのためにいるって……」


 突然『家』についてどこまで知っているのか問われ、二人はまごつきながらも答える。だがその曖昧な答えにヴィエラは呆れたように嘆息した。


「甘いわね。その程度の認識だからわたくしたちの前でケンカなんてするのよ」

「ヴィエラは手厳しいなぁ」

「いや、お前が賢いだけだからな、ヴィエラ。普通の子供なんてこんなものだぞ」

「あら。おほめいただき光栄だわ。イリアスお兄様」

「褒めてねえって」


 高慢な妹にうんざりとした顔を向けるイリアスだが、ヴィエラは無視して年上の姉弟に向かって歩き出す。

 そしてビクリと体を反応させた二人を見上げながら、小さな『女帝』は勝ち誇ったような笑みを浮かべた。


「よろこびなさい。お前たちに“特別授業”をほどこしてあげる。いかに自分たちが愚かだったのか、骨身にしみこませなさい」

「は、はい……」


 幾ら年下であろうと、気品と威厳を持つ姿には誰もが圧倒される。ましてや子供ですら分かる輝きを放っているのだ。

 ヴィエラの高慢な物言いでさえ気にならないほど、二人の姉弟はヴィエラの空気に飲み込まれていた。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ