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3日目の休みは寮の部屋でゴロゴロして過ごした。特に予定が無かったのと、昨日シャルと冒険者になったことで久しぶりにヨハンの冒険譚を読んでみたかったからだ。
「本当にこの物語は面白いな。なぜこれが有名にならないんだ?前の世界なら芥川賞いけるぞ。特にヨハンがかっこいい。地獄のような鍛錬の日々をくぐり抜け、立派な冒険者になっていく過程が男の中の男だぜ。その内俺もSSSランカーになってやる。」
と決意を固めるのだった。余談だが、後日ミレイによってヨハンのモデルがクルーナ先生と聞かされて、1週間ほど放心状態になってしまったのは言うまでもない。だってあのクルーナ先生だよ?ないない。あの人が男の中の男とかありえないから。鬼畜で見境なくて、ついでにお酒が好きなのにすぐに酔ってしまう人だからね。結論、ミレイに「嘘をつくならもっとうまい嘘をつけ」と言ってやった。かなり微妙な顔をしてシャルの方を見ていたが知らん。スルーだ。ま、とにかく寮から1歩も出ることはなかった。
そして、その日俺は夢を見た。そこで久しぶりに俺の兄弟にあった。
「やぁ、リオル。久しぶりだね。」
「本当だよ。最後に出てきたのはいつだった?」
「人をお化けみたいに言わないでくれよ。今日はとある報告をしに来たよ。」
「報告?」
「そう。とても悲しい報告だ。これは君次第だろうけど、僕の予想では君はすごく傷つくことになる。そして、とても後悔するだろう。それでもこれはなんとしても伝えとかないといけない。」
いったいなんなんだ?
「なんだよそんな真面目な顔で。」
「リオル、いいかい心して聞いてくれ。」
本当にこれはしっかり聞いておくべきだろう。いつもヘラヘラしているリンクが、意を決したように俺の目をみてくる。
「実は、————————————————。」
なっ!今何て!?
「残念ながら本当のことだ。詳しくはわからないけど君が今日、部屋にいる間に起こってしまったみたいなんだ。」
まさか、そんなことなんてあるかよ。俺が寮でダラダラしてる内に…。最悪だ。俺は一体何をしてたんだ。
「おい、リンク!どうにかなんないのか!?」
「ごめんけど、こればっかりは方法がない。」
「そんな…。」
畜生っ!なんて悪夢なんだ!解決法はねぇーのかよぉ!
俺はこの時、悪態しかつくことが出来なかった。
一体何がっ!この続きは明日更新です。