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神様に異世界転生させてもらった。  作者: 隼昇〈syunsyou〉
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ミレイ視点(女子寮の一室にて)

ミレイ視点—

女子寮に来て2日目の夜、同室のエバンスさんが凄く落ち込んでいた。まぁ、だいたい理由は想像できるけど。

「エバンスさん、そんなに落ち込んでどうしたの?」

「えっ!?あ、そのすみません…。」

「どうして謝るの?何か悩み事があるなら僕に言ってよ。これでも僕は聞き上手なんだよ。」

「それは…。ではお願いしてもいいですか?」

「うん!」

「あの、私が落ち込んでいるのは今日の実技の授業のことなんですけど、」

やっぱりか。想像通りだね。

「マルクスに煽られて、ムキになって、なのに結局魔法はみんな覚えられなかったし、それに対してマルクスの方は全員が覚えていて。」

まぁあの教え方じゃ初めての人には無理があるよね。

「結局私は親の威を借ってるだけなんだと思い知らされました。」

エバンスさんのお母さんは元宮廷魔術師長で、とても有名な人だ。僕も王国勤めだから、小さい頃って言っても3歳くらいの時だけど、見たことがある。魔法の技能はそれはもう素晴らしく、初心者目にもそれが分かるほどだった。

「うん、確かにそうかもね。」

「えっ?」

「でもねエバンスさん、あなたの教え方は決して悪くなかったよ。使える人が聞けばちゃんと納得できるものだったと思うよ。」

困惑の表情を浮かべるエバンスさんは普段とのギャップがあって凄く可愛い。

「僕ね、実はボール系の技は使えるんだ。今日はあえて助言をしなかったけどね。」

「どうしてそんなことを?」

「理由は2つ。1つはアルル様にできるだけ褒められないようにだね。彼は次期国王候補筆頭だからね、あまり人を褒めすぎるのはいろいろと問題があるんだよ。本人も分かってる筈なんだけどねぇ(笑)それからもう1つは個人的な理由。僕がこの学園に入学した理由に繋がるんだけどね、シャンブルの監視って大義名分で無理を言ってここに来たんだ。魔法を使えるようになるためにね。」

「魔法を使えるようになるため?」

「そう。僕ね、本当に小さい頃エバンスさんのお母さんの魔法を見たことがあってね、それに憧れてたんだ。だから正直エバンスさんに嫉妬してたんだよ。あんなすごいお母さんが私にも欲しいなって。その嫉妬で今日は少し意地悪してみたんだ。僕って意地汚いよね。」

「しかし、彼女は私に親らしいことは何もしてくれませんでした。私が5歳の時にはもう家にはいませんでしたし、帰って来たと思ったら書斎に篭って何かの研究をする始末ですよ…。」

「確かリオル君に魔法を教えていたんだよね。良いなぁ、リオル君は。実の娘をほったらかしてまで魔法を教える何かがあったのかもね。」

「でもそのせいで私は独学で魔法練をしないといけなくなりました。父はとても穏やかな人でしたが、魔法についてはあまり詳しくはありませんでしたから。」

「独学なの!?てっきりお父さんに教えて貰ってたんだと思ったよ。それこそ宮廷魔術師長の夫なんだから。」

「父曰く、母は自分の優しいところに惚れたんだって言ってましたね。自分で言うところが残念ではありますが、本当にそうだと思います。」

「へぇー。立派な人なんだね。お仕事は何をしてるの?やっぱり王宮勤め?一回くらいはあったことがあるかも。」

「いえ、父は作家をしています。ヨハンの冒険譚ってゆうシリーズ本を書いているのですが…。知りませんよね?個人的にはすごく面白いんですけど。その本の主人公のヨハンのモデルって私の母なんですよ。」

えっ?今なんて?

「どうしました?固まっちゃって。」

「えーっと、ヨハンの冒険譚ってあのヨハンの冒険譚だよね。孤児の少年が伝説のハイエルフに育てられて成長していくってゆう。」

「知ってるんですか!?」

「知ってるもなにも、ファンだよ。あんなに面白い話がなんで有名にならなかったのかが分からないってこの前リオル君と話してたところだよ。」

「エバンスがそんなことを?」

「うん。確か彼、あの本を読んで将来は冒険者をしてみたいと思ったとかなんとか言ってたよ。」

「それはなんだか嬉しいです。はぁ〜ダメですね私。今思えば、エバンス自体にはなんの非も無いのに八つ当たりで彼を目の敵にしていました。」

「それに気づけたならいいんじゃないかな。ほら、彼優しいし。ちゃんと謝ったら許してくれると思うよ。」

「優しい、ですか?私にはとてもそうは思えないのですが。」

「そんなことないよ。まあちょっと子供っぽいところがあるけど、そこがまた魅力的なんだよ。」

「もしかしてシンクさんってエバンスことが、その、す、好きなんですか?」

「うん、好きだよ。」

なんか凄く驚いた顔をしてる。

「じゃ、じゃあクラシャ第一王子とのご関係は?」

急にどうしたんだろう。

「恋人同士だよ。あぁ!リオル君は友達として好きってことで、僕はアルル様一筋だよ。」

そうゆうことか。危ない危ない。二股疑惑になるところだった。

「はぁ、ビックリしました。まあ、とにかく明日謝ってみることにします。話を聞いてくれてありがとうございました。」

「いえいえ、こちらこそありがとう。同年代の女の子とこんな話ができるなんて思ってもみなかったから。ねえ、エバンスさんよければ私の友達になってくれないかな?」

「私なんかでよければ是非お願いします。」

「ありがとう!よろしくねシャルさん。あ、あと私には敬語は禁止。わかった?」

「は、はい。あ…。えーと、うん!こちらこそよろしくおね…よろしくねミレイさん!」

「うん!じゃあお休み。明日は頑張って!」

「もしダメそうだったらフォローしてね?」

「もちろんだよ。」

「よかった。じゃあお休みなさい。」

ふふん。私初めて同い年で同性の友達ができちゃった♪そのうち友達百人できるかな?


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