もう一人の王
つづき
ヤリマスは槍を投げて襲いかかって来た。
木村先輩はすっかり熱が入って戦いの姿勢をとる。僕は乗り気ではなかったけど、魔法を唱える構えをして援護の準備をした。
「ボク様はマス・プリンス!パパ上の息子だ!つまり王子だ!」
攻撃が激しくなった。
「ボク様のお家は奪わせない!」
「へっ。お前の家を消す?つまりお前は俺が悪モノって言いたいのか?」
木村先輩が力任せに振るったナイフが槍を斬り裂く。
恐ろしい速度で先輩は寝返った。デデドン!
「悪モノ上等!ウェーイ!」
ヤリマスとハイタッチして走り去ってしまった。
どうしたものか。こうなったら先輩は何を言っても無駄だ。
たまに先輩は何を考えているのか
底が知れない。もうあの笑顔を見れない。なぜかそんな気がした。
一人立ち尽くしていると、岩陰から、
斧を持った三浦先輩が背後から声をかけて来た。
「あ〜。さっきの話コッソリ聞いてたんだけどさ。遠野さ」
「俺。野獣かもしれねぇ」
斧を担ぎ上げながら続けた。
「ほら。俺ってみんなよりゴツいし、力も強いだろ。それに野獣ってよく言われるし。もしかしたらって」
ちょっと恥ずかしげに続けた。
「俺、ヤンチャしてるけどさ。この世界好きだったんだよぉ!」
僕は笑顔で親指を立てた。
二人で木村を追いかける。
次回『昏睡の厨房』いいよこいよ!
いいよこいよ




