真夏の騎士の夢
——ある男がいた。その男は生まれ持っての日光アレルギーだった。しかし神の悪戯か、その男は日焼けした男性に憧れを抱いてしまった。自らの肉体をそうしたいと強く願った。
その男は、とある時空の乱れによって、意図せぬ形で知識を手に入れてしまった。そう、闇の世界の知識だ。そこでは願いの強さが全てをものがたり、自らを望む姿へと変えてくれる。意思を込めて大地へとナイフを突き刺す。すると、大地のつんざくような悲鳴と共に、泉のように闇が吹き出してくる。
現実では手に入らなかった、強い肉体と、こんがり焼けた肌。それを同時に手に入れてしまった男にはもう後戻りはできなかった。
◇
騎士は羨ましそうに、茶色く焼けた僕らを見つめた。そのまま怒りのままにサーベルを振りかざす!
「ンァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
凄まじい咆哮と共に、鈴木先輩は檻を破り、騎士へ飛びかかった——。
覚醒した鈴木。いや、野獣先輩を止められるものはいなかった。
怒りに身を任せて暴れる野獣は、斧を奪い取ると、
騎士の顔を覆う兜を真っ二つに粉砕した。
「まずいデスy」
言い切る前に、兜は床につき、甲高い音を響かせた。時が止まったようだった。
日焼けに夢を見て、強大な力を得た騎士。その正体は木村だったのだ。
裏切られ、命を奪おうとした木村を許すことはできなかった。それでも、白い肌を持っていても、いや、日焼け家族として過ごした時間が短くてもそれは同じだ。見捨てる事はできなかった。
「戻ってこいよ!」
口が勝手に動いた。
「そうだよ(便乗)」
三浦先輩も僕と心はひとつ。
野獣と化した鈴木先輩もきっと同じ心だ。
しかしそれでも、闇の虜になった木村はショックと羞恥で声が届かない。
「ンァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
怒りとも、絶句とも違う、原初の魂の叫び。
咆哮が起きた——。
大切に磨かれたナイフを取り出し、高く飛び上がった。 野獣先輩の静止は間に合わなかった——。
次回『巨人』
いいよこいよ




