囚われし野獣
ダンダンダンダン!
長い階段を登り切り、ついに僕ら一行は鈴木邸屋上へと辿り着いた。
空には、真夏の昼間らしくない美しく艶やかな満月と、闇が吹き出し、コントラストを生んでいた。
鈴木先輩はぶら下がる檻に囚われ、騎士への咆哮を続ける。
呼吸を整え、騎士に近づく。
お互い無言で武器を取る。満点の星が煌めく。その瞬間戦いは始まった。
檻の中の鈴木先輩は、怒りの咆哮を続ける。
「ヌッ!フッ!フッ!ああああああぁああああぁぁああああああああああ!」
騎士へ攻撃を続けながら、僕らは気づいた。今までずっと。最年長の鈴木先輩に負担をかけすぎていた事に。
先輩の心にも寄り添えていなかった事に。
騎士はあまりにも早かった。僕は呪文を唱えた。
「カワイイナァ・大地君!」
地面が割れ、騎士は片手を地面についた。
協力もまた、愛である事を思い出した。
三浦先輩は、斧で騎士の肩を粉砕する勢いで。
それでも、力任せではなく、仲間を、世界を守るための行動の様に見えた。
愛の力で騎士の漆黒の鎧は砕け、肩が露出した。
月明かりを反射するほどの色白い肌が見えた。
一瞬僕らの脳裏にある人物がよぎった。
騎士はその瞬間を見逃さなかった——。
騎士は、片手で肩を押さえたままだったが、僕たち二人の急所を的確に、強力に切り裂いた!
「ンァァァ!」
あまりの痛みに意識を失いかけた。三浦先輩は僕を支えてくれた。
騎士が迫る。
僕らの首元に、蛇の様に長く、湾曲したサーベルを錬成して突きつけた。
次回『真夏の騎士の夢』
いいよこいよ




