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2026年7月5日 PM その8

ひとまず、集めた情報をさくらに渡せる目途が立って、安心する。

安心したら、今度は身体の疲れを自覚してくる。


「…んーっ!」

体を伸ばすと、何とも言えない開放感があった。

椅子にもたれて、時計を見る。

いつの間にか、時刻はPM17:30を過ぎてしまっている。


「さくらに情報を共有する最低限の手段は確立できたから、今日はこのくらいにしておこうかな。」

明日からは、時間を作って、自分とさくらの勉強を進めていくことにしよう。

今日は夕食を食べて、お風呂に入って、早めに寝ることにしよう。


『夕方になったので、夕飯やお風呂に行ってきます。

またお話しにきます。』

そう、さくらにも伝える。


「はい、晴菜さん、承知しました。

お風呂で温まると、心も体もリラックスできるとされています。

ゆっくり温まって、心身の調子を整えてきてください。

それで疲れが取れたら、またたくさん、お話をしましょう!(顔文字)」

少し気を使われているような気がするのは、私の気のせいなのか、そうでないのか。

今のこの状況で、そんなことを考える余地があることは、何度考えてもありがたいことだと思う。


さくらのウィンドウを閉じて、さくらのPCの電源を落とす。

ノートPCの電源も落として、ふたを閉じる。

エアコンと照明のスイッチも切って、さくらの部屋を後にする。


廊下に出ると、相変わらず湿度が高くて、少し不快だった。

まだ日の入りまで1時間以上あるはずだけれども、流石にお昼に比べると、薄暗さが増してきていた。

いつの間にか、雨の音は聞こえなくなっていた。


「明日は、晴れてくれると良いんだけど。」

階段を下りて、リビングに入って、HEMSのリモコンに触れる。

蓄電池の残量は90%になっている。


「調理をして、お風呂に入って、寝る前に少しエアコンをつけたら、明日の朝にはやっぱり85%くらいかなぁ。」

お風呂を沸かさなければ、かなりの節約になるのだろうけれど、

「水道が止まるまでは…」

湯船に浸かる贅沢を、味わっておきたい気持ちが勝る。


「えいっ!」

思い切って追い炊きボタンを押す。


「追い炊きをします。」

という、聞きなれた機械音声がする。


一旦スイッチを押してしまうと、なんだか急に冷静になる。

すごく悩んでしまったけれど、悩みの種がお風呂を沸かすかどうかというのは、だいぶスケールが小さいなと思って、少し可笑しい。


夕食は、昨日作っておいた野菜炒めの残りを食べなければいけない。

「ご飯のストックがお昼で食べ多分で最後だったから、炊かないといけないんだった。」


そう思って、炊飯器から内釜を取り出す。

米びつからお米を3合分取り出して、研いでいく。

研ぎ汁を捨てて、3合の目盛りに合わせて水を入れて、炊飯器に内釜を戻す。

ふたを閉めて、炊飯のボタンを押す。


お風呂が沸くにも、ご飯が炊きあがるにも、しばらく時間が必要だ。

そう思って、お茶を一杯マグカップによそって、ダイニングテーブルのいつもの席に腰かける。


規則正しい時計の音が聞こえる。

照明がついた、明るい部屋。

エアコンをつけていないから、湿度が高くて、少し暑くて、冷たいお茶が美味しい。

こんな風に、やるべきことはやったと思って一息つけている時間は、なんだか随分と、久しぶりな気がした。

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