2026年7月4日 PM その2
お母さんのカップを出して、お茶を注ぐ。
一息で飲み干してしまって、かなりのどが渇いていたことを改めて自覚する。
「結構危なかったかもしれないな、今後は、本当に気を付けないと」
冷房が効き始めたのも相まって、ほてった身体が冷やされていくのを感じる。
外部から電力供給が停まっても自宅の電力系統は想定通り使えることを確認出来たら、今度は急激に身体の疲れを自覚した。
「思っていたより、停電のことが気になっていたのかもしれない。」
総合スーパーの状況を調べていた時にはあまり意識していなかったけれど、恐らくそうだったのだろう。
もう一杯お茶を注いで、ペットボトルを冷蔵庫に戻す。
カップをもって、HEMSのリモコンの前に戻る。
蓄電池の充電率は100%のままだった。
季節は夏、時刻は正午過ぎ、1年で1番太陽高度が高い時期で、エアコンもついていなかったのだから、太陽光発電分だけでおつりが出ていたということだろう。
「今後は、電力消費量と発電量の記録もつけていかないとね。」
ひとまず、しばらくは問題ないだろうと判断して、リビングのソファーに腰を下ろした。
改めて、持ってきたカップに口をつける。
少し頭痛がする。
残りのお茶を飲み干して、カップをおいて、そのままソファで横になった。
これは本当に危なかったなと、改めて反省する。
時計を確認すると、時刻はもうPM1時を過ぎている。
途中、図書館で涼をとれたとはいえ、夏の日中、
「4時間近くも歩き続けたのは、ちょっと頑張りすぎだったんだなぁ。」
改めて、反省する。
同時に、自分の限界がわかってきたのは良いことだとも思う。
「記録につけていくべきことが、たくさんある。」
天候、農作物の生育状況、電力の使用/発電実績、自身の体調。
どれも、以前は他の誰かがやってくれていたことだ。
「生きていくって、本当に大変なことなのね…」
多くの人が、自分の生活を支えてくれていたことに、失ったことで気付く。
気付かないよりはよかったけれど、もっと早くに気付いていればよかったとも思う。
もう、感謝の気持ちを伝えることも、できなくなってしまったから。
きっと、多くの人がそうだったのだ。
誰かが支えてくれていることが当たり前で、だからこそ気付かなくて、気付かないままで終わっていたはずなのだ。
だから、私だけが特別なわけでは、ないはずなのに。
「なんで、私なのかなぁ。」
この世界は、優しくて、気まぐれで、イジワルだ。
この世界は、私が一人残されて、そのことに気付いたことに、価値を見出してくれるのだろうか。
「…頑張っている私のこと、褒めてくれるのかな?」
そうしてくれたらきっと、私はもう少しだけ、頑張れるのに。
そんなことを考えながら、目を閉じた。




