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18/24

2026年7月2日 AM7:15

「ただいまあ。」

当然、"おかえり"の声はない。

鍵をかけて、靴を脱ぐ。


下を向いて靴を揃えながら、

「おかえりー。」

なんとなく、言ってみたくなった。


リビングに入って冷蔵庫に向かって、まずは冷たいお茶を一杯飲んで、朝食の準備に取り掛かる。

食パンをトースターにセットして、ダイヤルを回す。

卵を溶いて、フライパンに油を引いて、お母さんみたいにきれいな卵焼きにはできないから、かき混ぜてスクランブルエッグにする。

野菜室からミニトマトの残りを出して、卵と一緒に盛り付けて、ケチャップをかけた。

冷蔵庫からいちごジャムと牛乳を取り出して、食卓に運ぶ。

"チンッ"と、トースターがなる。

今日は焦がす前に取り出せた。


いつもの席に座る。

手を合わせて、

「いただきまーす。」


食べながら、ふと視線を上げた先、キッチンの照明スイッチの横に、壁に掛けられたタッチディスプレイが見える。

Home Energy Management System(HEMS)のコントローラ。

昨日の夜、色々なことを調べていく中で、私を1番安心させてくれた装備だった。


私の家に、太陽光発電のパネルが設置されているのは知っていた。

だから、仮に電力供給が途絶えたとしても、ある程度は、そう、例えばノートPCを充電しておいて、保存した情報をある程度自由に閲覧できるくらいには電気が使えるのだろうとは思っていたのだ。

けれどAIアシスタントが、どうやらある程度どころではないということに気づかせてくれた。


昨夜、

『家庭用の太陽光パネルが12枚設置されている場合、どの程度の電力を供給できますか?』

そう問いかけた私に、太陽光パネルの発電容量だけでなく、それが一般的な家電ならどれくらいに相当するのかといった形で、AIアシスタントは丁寧な回答を返してくれた。

そして、その最後に、

「一般的に、太陽光パネルを設置した住宅には、合わせて蓄電池とHEMSが設置されることが多いです。Harunaさんの自宅に蓄電池が設置されている場合には、⋯」

と付け加えて。


父が新築のこの家を内見していた時に、『この家はな、たとえ核戦争で文明が崩壊しても10年は戦えるすごいやつなんだよ!!!』と力説していた意味がよくわかった。

「まさか、本当に文明が崩壊しそうになるなんて思ってたわけじゃないと思うけどね…」

そうつぶやきながら、食パンをかじる。


家のガレージには、自宅と同時に買い替えたEVが停まっている。

こちらも父が『V2Hがないオール電化なんて、味噌の入っていない味噌汁みたいなものだから!!!』と力説していたのを思い出す。

太陽光パネルによる発電、家庭用の蓄電池とEVの大容量バッテリによる蓄電、そして、それらと家電設備を統合して電力使用量を分析・制御するためのHEMS。


どの家電がどれくらい電力を消費しているとか、太陽光パネルがどれくらいの電力を発電しているのかとか、今までちゃんとは見ていなかったのだけれど、昨夜にAIアシスタントに指摘してもらってから、このコントローラで過去の履歴を確認した。

そして、仮に発電がほとんど停止したとしても、節約すれば電池だけで1週間くらいは電力を維持できるらしいということに気付いて驚いた。

仮に外部からの送電が止まっても、当面は冷蔵庫やエアコン、PCが継続して使える。

そのことにすごく安堵感を覚えて、お父さんが守ってくれているような気がして、力が抜けてしまったのを思い出す。


そんなことを考えていたら、いつの間にか、時刻はAM7:15を回ってる。

いつもなら、もう家を出る時間だなと思った。

しばらくは隔日での投稿になる予定です。

次回は8/25(火) 20:40頃の更新を予定しています。

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