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17/23

2026年7月2日 AM6:15

いつも通りの、目覚まし時計のアラームが鳴る。


「⋯あれ、寝ちゃってたんだ。」

アラームを止めて、のそりと起き上がる。

ノートPCは電源が入ったままだった。

深夜まで情報収集をしていて、そのまま寝てしまったのを思い出す。

衣服も外着のままで、昨日のジーンズと長袖をそのまま着ていた。

少し頭が重い。

目尻に違和感があるから、また少し、泣いていたのかもしれないと思った。


壁に掛けてある制服が目に入る。

期待はしていないけれど、確認はしなければならない。


部屋を出て、両親の寝室を覗く。

いつもなら、まだ寝ているはずの父の姿は、やはりない。

父の書斎は、覗かなかった。


1階に降りてリビングに入る。

リビングにもキッチンにも、母の姿はない。


テレビをつける。

地上波の朝の情報番組は全滅。

BS放送の録画番組はまだ放送を継続していたけれど、1局だけそれも停止していた、もう、テレビは長くなさそうだと思う。


昨日送ったクラスメートとのグループチャットのメッセージにも、既読は付いていないままだった。

もう、十分だと思ったので、それ以上何かを確認するのはやめる。


もう少ししたら、一応学校には電話をかけてみようとは思った。

「一応、皆勤だったんだけどなぁ。」

誰にともなく、つぶやく。


一度リビングを出て、洗面所で顔を洗って、歯磨きをする。

昨夜、寝てしまう前にライフラインの寿命については調べていた。

上水道については、設備の配置や機器構成にもよるようだけれど、数日~数週間は動き続けるだろうということだった。

「早ければ数日、かぁ。」

もう1日は経ってしまっているから、そんなに猶予はないかもしれない。

「準備は、していかないとね。」

鏡の向こうの自分に言い聞かせるように口に出す。


昨日からまとめたままだった髪を一度ほどいて結いなおす。

髪型を少し変えると、気分も変わった気がした。

「目元が腫れてるぞ?泣き虫さんめ。」

そう、茶化すように声をかけた。


そのまま玄関に直行して、外に出る。

雲1つない快晴だった昨日に比べると、多少、夏らしい白い雲が浮かんでいるのが見える。

青白黒の三色旗は、

「どこの国の国旗だったっけ?」

と、ぼんやりと考えながら歩く。


すっかり通い慣れた気がする陸橋の最頂部から街並みを見回す。

変わらない街並みの中に、焼け焦げて変わってしまった部分が見え隠れしている。

昨日、明るい時間帯に見た時よりも確実に延焼範囲が広がっていたことが実感できて、怖いという気持ちがまた少し顔を出す。


「このあたりにはまだまだ影響はなさそう、大丈夫。」

認識を確認するように、声に出す。

実際に、昨日に比べると火勢が衰えているところが増えていて、燻った燃え滓から細々と煙が漂っているだけになった地点もいくつかあるように見えたので、気持ちは楽になっていた。


「今日は、情報収集に集中しよう。」

そう決めて、陸橋の坂を下りる。


青い空と、白い雲と、黒い煙。

「確か、東欧の国だったような気がするな。」

そんなことを思いながら、家までの道を歩いていた。

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