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第8話 ラウンド3【形成逆転】

ゴングが鳴ると、猛田の表情が明らかに変わっていた。

さっきの私のジャブが顔面に当たったことが、彼のプライドを大きく傷つけていた。

「てめえ……本気でムカつく女だな!」

猛田が低く唸るように言い、すぐに猛攻を仕掛けてきた。

今までの余裕は消え、苛立ちを隠せない攻撃になっていた。

「遊んでんじゃねえぞ! さっさと倒れて土下座しろ!」

ドン! ドン! ドン!

大振りのフックとストレートが次々と飛んでくる。

威力は相変わらず重いが、軌道が少し大きくなり、隙が見え始めた。

私は佐藤先生に教わったフットワークで後退しつつ、タイミングを計った。

「はあっ……はあっ……女子の分際で俺をここまで追い詰めやがって……!

許さねえぞ!」

猛田が怒りに任せて右の大きなフックを振ってきた。

私は腰を落としてかわし、すぐに左ジャブを返す。

パシッ!

再び猛田の顔面にヒットした。

「っぐ……!」

猛田が顔を歪め、後ろに一歩下がった。

その瞬間、遠くの女子たちから声が上がった。

「当たってる……!」

「茜ちゃん、頑張って!」

猛田は苛立ちを爆発させた。

「うるせえ! てめえら女子が何分かってんだよ!

この女、今日絶対にぶっ潰してやる!」

彼はさらに大振りの攻撃を連発してきた。

しかしその攻撃は感情的になり、フォームが乱れていた。

私はその隙を逃さなかった。

ガンッ!

右ストレートが猛田の顎にクリーンヒットした。

猛田の巨体が一瞬、硬直する。

私はすぐに左のボディブローも入れ、息を乱れさせた。

(いける……!

あいつの動きが、徐々に鈍くなってきてる……!)

全身が真っ赤なグローブのように熱い。

肩が痛い。

息が上がって、喉がカラカラだ。

でも、足はまだ動く。2ヶ月間の走り込みが、私のスタミナを支えていた。

猛田が荒い息を吐きながら睨みつけてきた。

「はあっ……はあっ……お前……本当にムカつく……!

女子の分際で、俺をここまで追い詰めるとは……!

絶対に認めねえ……男が女に負けるなんて……!」

私は荒い息を吐きながら、静かに答えた。

「私は……ただ、桃子を守りたかっただけだ。

あんたがしたことを、後悔させてやる」

猛田が歯を食いしばり、再び突進してきた。

「ふざけんな! 女が男に勝てるわけねえだろ!

その生意気な口、叩き潰してやる!」

しかしそのパンチは先ほどより明らかに遅く、予測しやすくなっていた。

私はステップを踏んでかわし、カウンターの左ジャブを顔面に叩き込んだ。

パシッ! パシッ!

連続で顔面にヒット。

猛田の鼻から薄く血が流れ始めた。

リングサイドの桃子が、声を限りに叫んだ。

「茜! その調子! 絶対勝てるよ!!」

遠くの女子たちからも、徐々に声援が大きくなっていく。

「茜ちゃん、強い……!」

「頑張れ……!」

私は拳を握り直し、声を振り絞った。

「私は絶対に負けない!

女が本気になったら、どんな男だって越えられる……!!」

猛田は息を荒げながら吐き捨てた。

「はっ……女の本気だと?

ふざけんな! 所詮は女、男には勝てねえんだよ!」

私はさらに叫んだ。

「女の本気を見せてやる……!!」

私は拳を握り直した。

(まだ……いける。

あいつのスタミナが、確実に落ちてる……

ここからが勝負だ)

3ラウンド終了のゴングが鳴った。

私はリングのコーナーに戻り、大きく息を整えた。

全身が熱く痛むが、胸の奥では闘志がますます燃え上がっていた。

(あと1ラウンド……

ここで、決める)

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