↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デザイア・ルーツ  作者: 時ノ宮怜
叶わぬ夢、欲望が這いよる
28/30

永遠の騎士

 最初の一個目の理由で、満足していた。

 二つ目の理由で、もはや胃もたれが起きそうだった。

 そんな状態でも、パティは三つの目の理由を口にしようとしていた。


「いや、もうなんか.........聞くと言ったのを撤回したくなってきたんだが......もうよくわかったからよくないか?」

「あら、ダメよ。聞くと言ったのだから、ちゃんと最後まで聞いてちょうだい?それに、この理由が一番克人には知っていて欲しいのよ」

「知っていて欲しい理由?そんなのがあんのか?」

「ええ、あまりこの街の勢力を知らない克人には知っていて欲しいヒトが関わるから」


 気疲れが強く、もうこれ以上は聞きたくなくなってきた克人は、遠慮したいと伝えてみるがダメだった。

 むしろここからが本番なのだからしっかりと聞けと言われる始末だ。

 どうせなら、最初にその話をしてくれた方が、残りを省けたのではないのだろうかと考えたが、これ以上文句を言っても変わらないだろうと諦めて話を聞く体勢になる。


「三つの目の理由はね、『永遠の騎士』が動き始めたからよ」

「.........『永遠の騎士』?なんだその、子供が創りそうなキャラクターぽい名前は......人か?」

「ええ、一応分類するならヒトで間違いないと思うわよ。アレを知っている人間からしたら、一緒にされたくないと思うけれど...............というか、やっぱり克人は知らないのね?有名過ぎて表で過ごしている人でも知っている人は知っている話だと思うのだけれど」


 聞き馴染のない称号のような名で呼ばれている人物を話題に出されて困惑する克人。

 実際パティの言う通り、この話は有名でありこの街で普通に暮らしている人間も知っている人は少なからずいた。

 だが、そこには注釈が付く。


 一定以上の教養を持っているならば、と。


 もしくは、それを教えてくれる誰かの元にいるならば、と


 今まで街のチンピラとして、誰とも一緒に行動せず、まともな教育も受けなかった克人にとっては、その条件を達成することは不可能であり、この話は初耳であった。


「いや、知らねぇ......騎士?」


 克人は確かにその言葉を知らない。

 その名前を知る機会がなかった。

 だが、その言葉から連想されるような人物には心当たりがあった。


 非常に強い心当たりが。


「まぁ、克人にとっては昨日のように思い出せるでしょう?あなたを攻撃したアレが『永遠の騎士』と呼ばれている存在よ」

「.........アレが」


 脳裏に浮かぶのは、炎を纏った騎士服の男。

 まだ記憶に新しい、体にもまだハッキリと火傷の痕が残っている。

 痛みは完全に引いたはずなのに、まだ熱はそこに籠っているかのように疵が主張する。

 印象深い、あの紅い一閃。

 自身を殺しかけた、あの一撃。


 克人にはあの体験は、苦い思い出としてしっかりと記憶に焼き付いてしまった。


「『永遠の騎士』は裏の世界、と言うよりその存在を知る全ての人間にとっては一種の天災、触れるべからず(アンタッチャブル)になっているのよ。強すぎるのよね、しかも一人で」

「ああ......」


 克人にもそれは良く分かった。

 きっと誰よりも理解しているだろうという自負があった。

 大量のマフィア構成員を一瞬で殲滅し、能力者だろうが関係なく焼き、自身を焼き切ったあの男。

 なるほど天災とはよくあの男を表していると感心するほどだった。


「そうか、あの時マスターがあの状況に冷静でいられたのは.........」

「そうだ。私は『永遠の騎士』のことを知っていたし、朱利からも炎が見えたという報告があったからな......状況からあの現場に来ていたのは察していたからだな」

「そういえば、そんな会話をしたな.........炎、あの騎士も能力者なのか?」


 純粋な疑問。

 というより、もはや事実確認に近い面持ちでの質問。

 あの力を見て、能力の存在について知った今では、あれはそう言う類のものだろうとしか思えなかったからこその質問だった。


「ああ、能力者だ。しかし、お前の思っている能力ではないだろうがな」

「え?炎だろ?」

「ふふ、違うわよ克人。彼の騎士の能力は、そういう物じゃないの」

「どうみても能力にしか思えない力だったけど.........?」


 だが、あの炎は能力によるものではないという。

 というかあれが能力じゃないってなぜ二人が知っているのかも疑問だった。


「アレはね、有名過ぎて彼の騎士を知っているなら能力も一緒に知る事になるのよ」

「そんなに有名なのか......」

「ええ、何せ前に克人に話したこの街の成り立ちを語った昔話の生き証人だもの」

「生き証人?...............ちょっと待て、この街ってどれぐらい前からあるんだ?というかあの昔話は何年前の話だ?」

「さぁ?正確な年数は、その間生き続けた人間にしか分からないんじゃないかしら?ちゃんと数えたことのある人間なんていないだろうから、正確なところは分からないわね。............少なくとも数百年前ってとこじゃないかしら?」


 克人は開いた口が塞がらなかった。

 数百年前、それほど昔にこの街は出来たとパティは言う。

 そして、その街の成り立ちを語った昔話の生き証人が『永遠の騎士』だと言う。


 その二つが同時に成り立つ真実ならば、騎士の年齢もまた数百歳とならなければいけない。

 だが、人間がそんな長い間生きていける訳がない。

 そもそもあの騎士は服装こそ時代錯誤のような騎士服を着ていたが、容姿は老け込む前の青年といった印象であり、若々しさすら感じるものだったはずだ。


 驚きつつも、聞かされた話をパーツにしてつなぎ合わせれば何を言いたいのかは分かる。

 つまり、『永遠の騎士』の能力とは、


「不老不死の能力?」

「正解よ。街が出来る前、もっと無秩序に願いを叶えられていた頃から生き続ける、不老不死の、文字通り永遠に生きる騎士。それが『永遠の騎士』アレクシスという災害の名よ」


 克人は驚いていた。

 驚くとも、能力とは人の願いの形だ。

「死にたくない」と願って頑健な肉体を得た克人と、比較すればより分かる。

 一体どんな願いを捧げれば不老不死なんて無茶苦茶な能力になるのか。

 克人には想像すらできなかった。


「ようするに、不老不死だからこそ、アレ本人もまた昔話のように語り継がれて有名になっているのよ。その能力も、目的もね。能力は不老不死、過去には首を切り落とされても生きていたと言われているわね、戦闘に使っている炎は葬備によるもの、そしてその目的はー魔女を根絶すること」

「魔女......!」


 先ほどパティから聞いたばかりの単語が再び出てきた。

 目覚めてすぐに能力と魔女について話たのは、この話をするためだったのかと納得する。

 確かに先に聞いて、脳内で咀嚼した後でないと情報量でしっかりとした理解をすることは難しかったかもしれないと克人は考えた。


「なんで魔女を狙うんだ?」

「さあ?それは誰も知らないわ。ただいつの時代でも魔女とは敵対していたらしいわ。そして、魔女に関わる者にも容赦がなかったそうよ」

「魔女に関わる者って.........」

「ええ、分かるでしょ?このストリガルは、恐らく魔女の力によって作られている。そしてそれを取引していた場所に『永遠の騎士』が現れて、関係者を皆殺しにしていた。もう、こうして持っているだけでも目をつけられておかしくない状況ではあるのよ」

「な、なるほど」


 使わない理由の三つ目。

 十分すぎるほどよくわかった。

 克人もあの騎士とやり合う事になるのが確定している機械なんて持っていたくないし、使うなんて考えたくもないなと考えを改める。

 これは使わない、使えないどころではない。

 一刻も早く手放すべき代物なのだと理解した。


「なら、早く手放したほうがいいんじゃ?」

「そうね、これを普通に回収してきただけならそうしたいところだけど......今回は克人のおかげで騎士本人から直接譲ってもらっているから、そう慌てなくてもいいと思うわよ?」

「そうなのか.........」


 場合によってはあの騎士とこの喫茶で戦う事になるのかと、少し及び腰になっていた克人はパティの言葉で安堵の息を吐く。


「なんで張本人がよくわかってなさそうなのかわからないけれど、最初に言ったでしょう?これは克人の功績なのよ?」

「俺の?」

「あの騎士から譲歩を引き出したというのは素晴らしい事だわ!アレは融通の利かない暴力装置のようなものだもの。でなければ天災とは呼ばれないわ。それを相手に一つはくれてやると言われたのは功績と呼ばなきゃあなたの疵が報われないわ」


 克人はそれで最初にこの部屋に入った時にパティと朱利がはしゃいでいたのを思い出した。

 そうか、天災相手に得るものがあったからこその功績という意味だったのか。


「それに騎士が動いていると分かれば、これから私たちも動きやすいもの」

「......?逆じゃないのか?あんなのが動いているなら、下手に動けなくなるんじゃ?」

「そうとも言えない。確かに下手な関り方は出来ないが、私達は今回に限れば完全に騎士と同じ側に立っているとも言える。だから比較的安全に行動が出来るだろう。それに、騎士が動けば派手で目立つ。私達は、そこに便乗するだけで楽に仕事ができる可能性がある」

「ああ、そういうね」


 マスターが言うのは要するに、派手でまず無視できない存在が勝手に動いてくれるからそれに乗じて調査を進めて、万が一騎士に動きがバレても、見逃してもらえる可能性も少なくないという事だ。

 それは確かに、何もかもを想定するより余程楽なのかもしれない。


「マスターが言ってくれたけれど、私たちの方針としてはそういう事になるかしら。つまりは騎士が本格的に動くまでは静観。動きを察知したら、大急ぎでそこに行って情報だけ回収して撤収。今後はそういう動きで行くから、常に出撃出来るように心構えだけしといてくれると助かるわ」

「なら、それまではやる事ない感じか?」

「そうね、それまでは普段通り過ごしてもらいたいけど......流石にこんな状況で店は開けられないから、本当に自由時間にしてしまおうかしらね」

キャラクター紹介

<名> アレクシス・エルンスト・ヴァルグレイブ

<称号>永遠の騎士

<年齢> 不明

<願い> 不明

<ステータス>

STR 70(220)

CON 999+

SIZ 75

DEX 80

AGI 90(240)

POW 150

<取得技能> ・紅閃

<起動キー>『誓いを此処に』

<装備>

頭・なし

胴・騎士服

腕・なし

腰・騎士服

脚・旧式=加速式脚部装甲

<武器>

・なし

<アクセサリ>

・火葬『ヴォルヴァルグ』

<能力>

不老不死

<詳細>

遥か古より生き続ける騎士。

掲げる誓いを守るために永遠を戦い続けている。


魔女とそれに関わる全てを焼き尽くす

その苛烈さから天災とも呼ばれている

少しだけ常識がない


エネルギーカラーは赤


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。