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感情の境界線  作者: めだまやき
第二章 暗躍する能力者
14/30

見えない筋道

彼女である向井実咲から情報を受け取りため食事に出た主人公、八倉志乃。


これまでも情報と重ね合わせて導き出される答えはやはり新たな能力者の存在

学校のない日曜日に動き始める主人公の思考の渦。


そして…


「そうゆうことだ。俺はこれから山崎さんと一緒に医者に話を聞きにいかないといけない。頼む志乃、犯人を見つけてほしい。明日からは俺たちも協力するからさ。」

 陽太がこの時点で川岸のいじめの犯人が真柴であることを知らなくて幸いした。もちろん真柴が犯人出ないと確実に言える証拠はないが協力者に裏切られたいま真柴がこんな行動に出るとは考えずらい。犯人の目星はついている。真柴を裏切った共有コントロールの能力者だろう。だが、今の時点で陽太にこれは伝えない。

「わかった。俺もやれることは限られてくるけどできる限り情報を集めておくよ。」

「ほんとか? ありがとな…志乃。」

「ああ、じゃあまた。」

 通話を終え、俺はもう一度見た目は高級なレストランの中にいることを再認識する。

「ねぇ、もしかして電話の相手は如月君?」【川岸君のことなんでしょ?】

「悪いな実咲。せっかく話の途中だったのに。」

「いいよ。それで、どこまで話したっけ?」【忘れちゃった】

「えっと…あっ、確か綾瀬と帰ってる途中に山崎に連絡したって感じだった気がする。」

 一度電話を挟んでしまうと話が混ざり、何を話していたかわからなくなる。

「あ~それだね。あのね、さっき夏乃に電話してみたらさ、川岸君の呼吸器と点滴が外れてって言ってたよ。」【あれ、もしかして…】

 そこまで言って俺の表情を見た実咲は話すのを止める。

「あはは、それ今の電話でちょうど聞いたんだよ。ほんとにタイミング悪いなぁ。」

「やっぱりそうだよね。夏乃、如月君も一緒にいるって言ってたし。も~、私必要なくなっちゃうよ。」【また先越されちゃったなぁ】

「そんなことないって。だっていろんなところから同じ情報が入ってるってことはそれに信憑性があるってことだろ?」

「ん…それは、そうだけど。」【私って回答じゃないからね?】

「そんなこと思ってないって。それに実咲さえよければだけどこれから動きやすくなるしな。」

「え? そんなことないって、いま私なんて思ってたの?」【全然意識してなかった】

「私は回答じゃない、って。あれ、間違ってた?」

「ううん、たぶん間違ってないと思うけどそんなこと思ってたんだ~って。」【ちょっとびっくり】

 俺の読む感情はその人がその時に思っていることだ。真柴のように感情をほぼ完璧に制御できている人も少数いるが、それは俺の能力を知ってこそのものだろう。感情の大半は本人がそれと意識、もしくは無意識のイメージとしてそれを認識できている。が、今のように時に自分ですら認識できていない感情が入ってくるときがある。それはいったい何なのか。本心か、それとも偽物か、あるいはほかのものなのか。俺自身、未だそのことは理解できていない。


感情とは一時的なものだ。本心とは大きく違う。いいな、志乃?


 この言葉には確か続きがあったはずだ。ただ、思い出そうとするたびにその記憶は曖昧なままそこで終わってしまう。

「あとさ、志乃。これから動きやすくなるってもしかして今日動くの?」【役に立てるといいな】

 ただ、今それを考えたところで答えが出るわけでもない。

「ああ。さっき真柴に話を聞いてて、あいつは裏切られたことが分かったんだ。」

「裏切られた? 真柴君が?」【ありえない】

「いや、間違いない。あいつの口から、感情からそれが事実だってことが確認できたんだ。あいつは裏切られた。しかも裏切った協力者は能力者だ。」

「ちょ、ちょっと待って。真柴君裏切られて、しかもその人は能力者? 頭が追い付かないよ。」【ど、どうゆうこと?】


 俺ま真柴の家で話したことを実咲に伝える。なぜ川岸健人がいじめられ、どのようにして真柴が強盗を働いたかまですべて。同時に共有コントロールがどういった能力であるかの俺の考察も話した。

「ん~、にわかに信じられない話だね。あの真柴君が人に裏切られることがまず信じられないし、しかもその子が共有コントロールの能力者だなんてさ。何のために真柴君に強盗をさせてるのかもわかんないし。」【信じられないことだらけかも】

「真柴の強盗についてはなんとなく予想できるけどな。」

「でもさ~、ホントにその裏切った協力者はいるのかな?」【自作自演かもしれないよ?】

 確かに実咲の言うことは一理ある俺も真柴が裏切られることに関しては信じられなかったし、そういわれるのも無理はない。

「つまり能力者はいないってことか?」

「どうなんだろ。真柴君が共有コントロールかもしれないね。」【可能性は…】

 その可能性は限りなくゼロに近い。実咲の感情を聞き終わる前に俺は口を開く。

「それはない。共有コントロールがさっき話した通り他人を操れる能力で、真柴がそれを持っていたならそもそも俺は地元にいたまんまだよ。それに他人を操れるなら精神的に痛めつけて陥れるなんて面倒な手段はとらないだろ?」

 理由を一つ上げるだけなら簡単に否定できるが、繋がりが全くない二つの出来事をそれによって説明することができるなら途端にそれは信憑性が増す。

「そうなのかな…。それで、これから何するの?」【動くんでしょ?】

 実咲はイマイチ納得いっていない様子だったがしょうがない。

「ああ、これから真柴の協力者を探す。正直に言ってあいつの協力者が誰なのか全く目星がついてないんだけどな。」

「じゃあ私は何をすればいいかな?」【そろそろ役に立たないとね】

 前にも考えたが、山崎夏乃を陥れるにあたって彼女を観察する人物がいたはずだ。他クラスにいる生徒を陥れるにはその人物の性格や言動、生活などの情報が欠かせない。となるとより詳細な情報を得るためには女子生徒を引き込むのが自然だろうか?

「実咲、山崎さんがいつも話してる人って誰だろ。」

「夏乃と? 川岸君の方じゃなくて夏乃の周辺を調べるの?」【それでいいのかな】

 共有コントロールの能力者は真柴を徹底的に堕とすつもりだろう。個人的な恨みでそうゆうことをするのは構わないが他人に被害を出すのは明らかに間違っている。

「肉体的な被害にあったのは確かに川岸だ。そして精神的には山崎を。B組の、というか学年屈指のリーダー格を真柴は狙った。協力者はそのことをさらに大きくするためにコトを大きくしたんだと思う。」

「つまり協力者を見つけることは犯人を見つけることにつながるってわけね。」【じゃあ捜そっと】

「明日から本格的に動く。だから今日のうちに実咲は山崎さんといつもはなしてる人をピックアップしておいてほしい。」

「夏乃の友達を疑いたくはないけど…ここまで来たらもう引けないねっ。」【やる気出てきた】


 そのあと一時間程度実咲とそれについてはなし、俺たちはレストランから出た。

 家に帰りついた俺はさすがに疲労を感じ、ソファに寝転がる。

「いろいろと起こりすぎだ。真柴のことを相当恨んでないとこんなことにはならないんだろうな。でもその恨みってなんだ? 高校に入学してから真柴は裏の顔をほとんど見せていなかったはずだ。それなのに恨まれるなんておかしいよな…」

 思わず、考えていたことを独り言のように(いや、独り言なんだが)口にしていた時、インターホンが鳴る。

「はーい」

「よっ、志乃」【話したいことがある】

「政希。どうしたの?」

 扉を開けると政希が制服姿で立っていた。とりあえず俺は政希を部屋に入れる。

「で、どうしたの政希?」

「突然押しかけて悪いな。早速だけど本題だ。今日俺部活してたんだけどさ、なんかすごいもん見つけたんだ。」【マジで怖かった】

「気にしないで。それで、何見つけたの?」

「俺たちはいつもA組の教室で練習してるのは知ってるよな。」【まさかね】

「うん。火曜の放課後に話したときに聞いたよ。」

「練習の時はドラムとかも置くから机はいつも動かしてるんだ。今日も同じように動かしてたんだけどさ、運んでる途中で川岸は真柴のせいでこうなった。って書いてある紙が志乃の机から出てきたんだよ。川岸ってBの山崎夏乃? の彼氏だろ。なんかあったのか?」

 政希からその紙を渡されてよく見てみるとそれにはパソコンで打った字で確かにそう書かれている。その紙を裏返すとそこには


真柴を許すな


と印字されていた。


随時加筆修正を行っております。ご了承ください。








【お知らせ】




来年一月より水曜日と土曜日に更新を行うことにしました。




より一層感情の境界線を応援していただけると幸いです。

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