漢のロマン
見捨てずに待っててくれた人、
ほんっ…………………………っとにお待たせして申し訳ない。
何年かかろうとも(おい)完結までは持っていきます。
――とりあえず地中や海中での移動は可能になったけど、やっぱお天道様の下で活動したいなあ。
「ということで」
「何が『ということで』か知らないけど、また変な事でも思い付いたの?」
「なんで変な事前提なんだよ?」
「自分の胸に訊きなさい」
――それ訊いたら並列意識が悪ノリして1人漫才はじめるぞ……
「つーか真面目な話迷宮をゴーレムで包んだら気軽に動けないかなって考えてる」
「あー、そういうことか」
『何のお話ー?』
「どういうことですー?」
「すー?」
横で聞いてたお子様組にはピンと来なかったようだ。
「えっと、私とクルちゃん、プルちゃんやしーしーちゃんはお外に出て遊べるでしょ?」
『「うん!」』
「でも、おにーちゃんはお外に行けないの。 分かる?」
そう言いながらキリンが本体の方――壁の向こうだが――を見る。
「みんな知ってのとおり、俺はこの迷宮そのもので――」
俺の本体――ってより御本尊の方が近いか――でもあるあの球体に、迷宮の重要な器官が詰まっている事。
要は心臓みたいなもので迷宮の中ならどこでも動かせるけど外には出られない事。
今のところ核の大きさや形を変えるのは不可能である事。
――などを説明する。
途中、
「――核を壊されるだけでなく、迷宮の外に晒されてもおそらく俺は死ぬんだろうな」
なんて事を口走ってしまい、クルにわんわん泣かれてしまった。 キリンと一緒に号泣するクルを必死で宥める羽目になったのは言うまでもない……
ちなみにプルは死生観が確立してないのか、俺が死ぬときは自分も死ぬときと今でも思い込んでるのか普通に話を聞いていて、突然泣き出したクルに驚いているようだった。
―〈そんなこと、ボクが絶対にさせないですぅ!〉―
〈俺だってそんな無茶しませんよ。 しーちゃん〉
余談になるが、以前は迷宮産の魔物としてその維持に迷宮のDPを消費していたプル――滑舌の良くなったクルに合わせた――だが、自己増殖獲得と同時にプラスに転じているので、「迷宮産」の縛りは既に解消しているのだ。
「――そんなわけで、今の俺が外で活動するには、人形に意識を移せばいいんだが、それが出来るのはこの迷宮の勢力範囲内に限られるし、人間らしくするにはプルの協力も必要だ」
――まあ、活動範囲については、地上で人形が動くのに合わせて地下の迷宮も動けば制限は無いともいえるが、正直面倒くさい。
その勢力範囲についてだが、迷宮核を中心に一定面積の陸地を含む円形だと、今の――星胚としての自分を受け入れた――俺は理解している。 俺の勢力範囲が異様に広いのは核が海のど真ん中にあって陸地がほとんど無いからだ。
だが俺の場合、地中だけでなく海中にも迷宮を拡げることが可能だ。 これは他の星種にも出来ることなのか、星胚だけの能力なのかは分からないが――。
とにかく、その気になれば海水と海底の間に空間を作って迷宮化することも出来るのだ。
「他にはクル――たぶんプルでも可能だろう――の身体に意識を移せば、勢力範囲外にも出ていけるし、身体を貸してもらえれば自由に動くことも出来る……けど――」
それは「俺が」とは言えないような気がする。
――えーと、クル? そんな「いつでもばっちこーい」みたいな期待の眼差しで見るんじゃありません。
 ̄l ̄
「――ということで、どうせ作るならちょっと大きめに作って迷宮ごと取り込みたいと思ってるんだがどうだろう?」
最初は俺とキリンの話しをおとなしく聞いていたお子様組だったが、さすがに飽きてきたのか「かまってー」×3攻撃がキツくなってきたので、万能シュークリーム様にご出動いただいた。
今は隣の部屋で「鬼ごっこ」をしている……のだが、宙を飛びまわったり、壁や天井を蹴って移動したり、伸ばした髪を操ってワイヤーアクションさながらに跳ね回る「鬼ごっこ」なんて俺は知らないぞ……
「どこがちょっとなのよそれ? すっごく大きくなりそうじゃない。 移動するなら核だけ取り込んで常識的な大きさ――って今一つピンとこないけど――にした方がいいんじゃないの?」
「それも考えたんだが、それだと迷宮の部屋や風呂を使うのに、毎回ゴーレム解除して地中に潜ってから部屋を作るってことになる」
「うわぁ、面倒くさそうね。 そこが他の迷宮の勢力範囲だったりしたらもっと困ったことになりそうだし――」
そこまで言いかけてジッと俺を見るキリン。
「考えたら迷宮としてのイクルさんにとって核だけの状態って――」
「――頭と手足引っ込めた亀、かな?」
「外で活動したいって話なのに本末転倒よね……ごめんなさい」
そう言って謝るキリンはバツが悪そうに俯きながら上目遣いでちらちら俺の顔色を覗っている。 。
「あー、そんなに気にするなよ。 どのみち最終的には似たような状態になる予定だからな」
「どういうこと?」
「ざっくり言うとだな、まず核を取り込んだ状態で、出来るだけ大きなゴーレムを作る」
「ええ」
「次に作ったゴーレムの中で可能な分だけ部屋を――内装はまあ後回しかな――作っていく」
「それで?」
「次は作った部屋を【空間圧縮】で小さくする。 要は容積を変えずに体積を小さくするってことだな」
「何よそれ!? 初耳よ」
キリンが身を乗り出して詰め寄って来る。 近い近い。
「落ち着けって、今は使ってないから。 まあ、俺は自分の迷宮をまだ使いこなせてないというか、ヨチヨチ歩きみたいなもんだからな。 みんなが寝てる間とか、暇なときにあれこれ試行錯誤してるんだよ」
「いずれする事が無くなった時に、何をしでかすか心配なんですけど?」
「そっちかよ? まあ寝ることはない代わりに、体感時間をコントロールすることは可能だからな。 特にする事がなければ夜は早送りみたいに出来るし――」
「え!? なにそれ羨ましい」
「そうか?」
――俺はぐっすり寝て夢を見られるみんなの方が羨ましいぞ。
「他の迷宮は知らないが、この迷宮はこの能力を獲得しちゃったんで、折角だから活用しないとな」
「うわあ……ますますチートじみてきたわね」
「まあ、圧縮を維持するにはDPを消費する――といっても日々の供給量からすれば気にならないが――のと、今のところ逆は出来ないけどな」
「逆?」
「体積を変えずに容積を増やすってこと。 これが出来てればわざわざ大きなゴーレムを作る手間も要らない」
「そうね。 ところでその圧縮された部屋にはどうやって入るの?」
「ああ、入口から出口まで徐々に圧縮率を変えた通路になるかな。 くぐり抜けたら部屋にあった大きさに圧縮――っても本人は感じないけど――されてるよ。」
「へー」
「あと迷宮ならではの利点があるんだけど、そいつは作ってからのお楽しみってことで」
「焦らすわね――」
「「『ただいまー』」ですよー」
――お、クル達が戻って来たようだ。
「おかえり。 かなりドタバタしてたけど楽しかったか?」
「『うん!』」
「ですよー。 でもちょっとしー姉が困ったことになってるですよー」
「なんだそりゃ?」
〈おーい! しーちゃん?〉
―〈………きゅぅ……〉―
「ありゃ、目を回してる?」
「はいですよー。 先に音声共有して状況確認するですが、ボクたちが楽しそうなんで気になったのか、鬼ごっこの最中に繋がっちゃって――」
「あー、わかったわかった。 今度から激しい運動する時は、予めしーちゃんにお知らせしとこうな」
「はいですー」
「とりあえず全員そろったんで、この後ゴーレム作り始めるぞ」
「なんか本音が漏れてるわよ……」
ちょっと繋がり悪いので、もうちょい回復したら加筆なり挿入なりするかもです。




