とりあえず保留で
F-R-02-C
F:Female(女性)
R:Regular(標準体形)
02:Model-02(02型)
C:Custom(改造品)
――女性の標準体形02型の改造品。
【意思疎通】が記号の意味を読み取ってくれる。
――まるで工業製品か、ゲームのアバターみたいな表現だな。 というか、やはり俺やキリンの世界――地球――に関係ありそうな表示に思える。
こうして異世界が存在してるんだから、地球と言っても別次元だったり、時間軸が違ってたりしそうだけど……
「ボクの背中おかしいですぅ? 急に黙り込んだりされると、不安になるですぅ」
「……ご、ごめん。 きれいな背中だったんでつい魅入ってた。 」
「もぅ、またまたそんなこと言って困らせるですぅ」
そう言って、上を肌けたままいやんいやんするしーちゃん。 脇からちらちら見えちゃうから止めましょうね。
――考えるのは後でゆっくりしよう。 キリンとも相談したい――って今夜は無理か――しな。
隣では他の娘たちがきゃいきゃいとお風呂を堪能している。 今日も洗いっこになってるようで、キリンがぷーちゃんの洗礼を受けてるようだ。
――ってそっちも意識しちゃダメだ。 並列意識も嬉しそうに眼を設置するんじゃない!
「ありがとう。 いや、今日流すはずだった背中を見ておきたくてね」
「うう……ごめんなさいですぅ」
再び白シャツに袖を通したしーちゃんがしょんぼりしてしまう。
「ああ! 責めてるんじゃないから気にしないで。 お風呂をこんなにも気に入ってもらえて嬉しいくらいだから」
「そう言われると安心するですぅ。 いーくんと一緒だったから……気持ち良くて、このままずっと――って思ってたらノビちゃいましたぁ」
――男冥利に尽きるような事を言ってくれますね。
「あはは、またいつでも入りに来てよ」
「次こそ背中を流してもらうですぅ!」
そう言いながら両の手を握りしめ、気合を入れるポーズをして見せる。
「もう大丈夫そうだね。 みんなに伝えて一足先に戻ろうか」
「えっと……あのですね……」
「ん? まだ具合が悪いとか?」
「いえ、そんなんじゃないんですぅ。 その……さっきのアレをもう一回……」
――さっきのアレって、アレか?
「さっきのアレって……抱っこの事?」
「そ、それですぅ! その……さっきは意識がもうろうとしてて、堪能出来なかったというか……」
申し訳なさそうにもじもじするしーちゃん。
「女神様のお望みとあらば、否とはいいませんよ。 ただ……」
「何ですぅ?」
「下着ぐらいは着けて欲しいかなって……」
未だ裸白シャツなんだけど。
「こういうの、嫌いですぅ?」
ダブつく袖を指先で掴みながら両腕を開き、袖をつんつんと引っ張るように白シャツを揺すって見せる。 上まで止めずに少し開いた胸元が広がって、結構際どい事になっている。
「いや、好きか嫌いかって訊かれたら、大好物ですって答えるけど――」
「だったら、ボクもサービスするですぅ」
「……女子会を待たずに、ホントにしーちゃんの方が開けっ広げになっちゃったよ」
「こんな事するの、いーくんだけですぅ。 言わせないでくださいですぅ」
 ̄l ̄
「キリン! 聞こえるか?」
「なに~?」
「しーちゃん、大丈夫そうだからリビングまで先戻ってるから」
「は~い。 」
――まだやってるの?
「では、お姫様に失礼をして――」
さっきはいきなり抱え上げたけど、せっかくだからしーちゃんにも協力してもらおう。
①片膝立ちになる。
②膝に座って首に抱き着いてもらう。
③背中と膝裏に手を入れる。
④立てた膝と反対側に回りながら立ち上がる
まあ、双方に負担が少ないので、介護なんかでも使える方法だったりする。
「「…………」」
いざ実行に移すと、②で抱き着いた時に顔がすごく近くなって、昨日のアレを思い出してどぎまぎしてしまう。 しーちゃんも真っ赤になってるから、きっと思い出してるんだろう。
見つめ合ってても埒が開かないので、ままよっとばかりに抱き上げる。
「きゃあ♥」
しーちゃんの抱き着く力が強くなる。 くるっと半回転して立位からの横抱き完成である。
「いかがでしょうか、お姫様?」
「思ってたよりずっといいものですぅ」
「ちゃんと支えてますから、左手で肩に掴まるぐらいでいいですよ?」
しーちゃんはしがみ付いたままになっている。
「え~」
「え~とか言わないの! このままじゃ前が見難いから動けないよ」
「わかったですぅ」
ようやく力を緩めてくれたので、リビングに向かう。
「いーくん……」
「ん?」
「ありがとですぅ」
「何が?」
「色んな事全部ですぅ」
「どういたしまして、かな?」
リビングでしーちゃんを降ろし――しがみ付かれて駄々を捏ねられたけど――て、皆が風呂から上がるのを待つ間、背中の事を訊こうかどうか迷っていた。
ちなみにしーちゃんはパジャマに似た服――予めキリンが用意していたようだ――に着替えている。 先ほどの余韻に浸っているのか、ソファに座ってるんだけど、時折いやんいやんし出したりして、見てるとおもしろい。
以前、しーちゃんから根掘り葉掘り訊きだして『告知神ノ理解者』なる称号まで獲得したけど、それらしい話は出てなかった。 という事は、本人には自覚がない事になる。
型名っぽいところは、器として造られたホムンクルス的な肉体なんだろうか?
 ̄l ̄
 ̄l ̄
「あ~、いいお湯だった」
「存分に羽を休めたですよー」
『おとーさん、ただいまー』
((ごしゅじん~、だっこ~))
みんなが戻って来た。 色とりどりのパジャマ姿だ。
「おかえり――っておいおい」
駆け寄ってきたクルとぷーちゃんが、定位置とばかりに俺の膝と肩を占拠する。 クルがいい香りのする頭を押し付けてくるので撫でる。 さらさらの髪が手に心地いい。
ぷーちゃんも髪でちょっかいを掛けて来るので適当にあしらって遊ぶ。
「しーちゃんが面白いんだけど、どうしたの?」
皆が戻っても、ぼーっとしたり、にへ~っと笑ったり、いやんいやんしたりを繰り返している。
「いや、背中流せなかっただろ? 替わりにって抱っこして戻って来たんだけどね」
「……好きな男に抱っこなんてされたら、こうなっちゃうわね」
「そのうち再起動するだろう」
 ̄l ̄
「うぅ……恥ずかしいところを見られましたぁ」
「はいはい、そこらへんもじっくり聞かせてもらうわよ」
「しー姉、がんばですよー」
『おとーさん、おやすみなさーい』
((ごしゅじん、またあしたー))
しーちゃんが寝室へと連行されていった。
――さーて、俺の方は神様についてもう少し考えてみようかな……
お姫様抱っこ その2
①女の子に片足を上げてもらい、そちらを先に抱えておく。
②女の子は首にしがみつく。
③女の子が残った脚で床を蹴るのに合わせて、回りながら抱きかかえる。
こっちの方が簡単だけど、裸白シャツでやると、とてもはしたないことに……




