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おや? しーしーちゃんのようすが……


「はあ~、クルちゃんってこんなに早起きだったのね~」

『おねーちゃんはやく~』

「またあんたはそんなこと(・・・・・)して~」

『えへへー』

「はいはい、もう少しだから――」


 ベッドの方からガサゴソと着替えている気配と共に、そんな会話が漏れ聞こえてくる。

 少し寝るのが遅かったキリンは、いきなりクルにアタックされたようで、「ぐえっ」とか、カエルが潰されたような声を上げていた。


 しばらくすると、みんな揃って――しーしーちゃんはまだ寝てるのか、クルに運ばれて――出てきたんだけど……


「なあ、どうしたらお揃いでTシャツとパンツだけ(・・)ってチョイスになるんだ?」

「どうしてって、おにーちゃんがコレ着なさいってクルちゃんに渡したからでしょ? ココ(・・)じゃいつもそうしてたのかなって――」

「そんな訳ないだろ。 もしキリンが起きられなかったら困ると思って渡しただけで、その時はその上から浴衣を着せるつもりだったんだぜ」

「そうだったのね。 てっきりおにーちゃんの趣味なのかなって思ったのよ。 それなら郷に入っては郷に従えっていうから私も合わせた方がいいのかなって……」


 ――妹の俺に対する評価が酷いんですが。


「なにげに酷くね? せっかく服飾関係を任せてるんだから、そこはクルの為にも常識的な服装でお願いしたいんだが」

「分かったわ。 でも今更面倒だし、今朝はこのままでいいでしょ?」

「しょうがない、今日だけだぞ」


 立ち話もなんなので、みんなで席に着く。 しーしーちゃん、よく寝てるな~。

 少し遅れて、枕係のぷーちゃんもぷるんぷるんとやって来る。


「ところで、その声はどうしたの?」

「おー、ずっとスルーされてるから気付いてないのかと思ってたわ。 ちょっと人形(ドール)を改良して、おしゃべり&食事も出来るようにグレードアップしてみた、的な?」

「それってちょっとどころじゃなくて凄いじゃない! ちなみに味の方はどうなの?」

「ああ、確認したけどバッチリだ。 味覚を共有してるぷーちゃんにも大好評だったぞ」

「へー、これで食事がいっそう楽しくなるわね」

『みんなでいっしょにごはんなのー!』


 俺だけ食べ物を口にしてなかったからな。 特に触れてなかったけど、みんなには気を遣わせてたのかも知れないな。


「あ、そうだ。 もう一つお知らせがあるんだけど」

『なーに?』

「気になるじゃない」


〈ぷーちゃん、自分で挨拶してみるかい?〉

(((うん!)))(みんなに)(ちゃんと)(きこえるか)((ちょっとふあん))(だけど……)(((がんばる!)))


「それは、本人(・・)からお願いしようかな」


 しゅぴ!――っと、いつものように()も上げてぷーちゃんが応える。

 いきなり動き出したぷーちゃんに、クルとキリンが少し驚いている。


「ぷーちゃんこっちこっち、ほら。 みんな、とりあえずぷーちゃんと手を繋いで貰えるかな?」


 俺はぷーちゃん――俺の身体としーしーちゃん担当を除く――をテーブルの上に呼ぶ。

 ぷーちゃんはクルとキリンにむけてにゅっと触手を伸ばし、2人はそれを手に取った。


((あーあー))(きこえるー?)((おはよー))(((ぷるだよー!)))

「きゃっ! え? なにこれ? ぷーちゃんなの?」

『わー! ぷーちゃんすごーい!!』


 2人ともちゃんと聞こえたようだ。


「2人とも聞こえたみたいで安心したよ。 まだ声が弱いから、そうやって触れてないと聴こえないみたいだけどな」

((もっと))(がんばって)(みんなと)(ふつーに)(((おはなしするのー!)))

「だそうだ。 ぷーちゃん、これからもよろしくな」

((まかされたー!))(ごしゅじんの)(きたいに)(((こたえるぞー!)))

「ご主人って――、そっか。 この迷宮で生まれたなら迷宮主(ダンジョンマスター)はご主人って訳か」

「本人の希望で眷属契約も結んでるからな」

『ぷーちゃんすごいんだよー!』


 ――あれ?


「ところで、しーしーちゃんがまだ寝てるんだけど、今の声聴こえてないのかな?」

「そういえば、あの子の身体ってぷーちゃんだったわね」


〈しーちゃん?〉

 ―〈はいですぅ。 最近いーくんが構ってくれないですぅ……〉―

〈その為のしーしーちゃんじゃなかったのか?〉

 ―〈なのですけど、半ば別人格なので、こうやって寝ちゃってると無理に起こすのもかわいそうなのですぅ〉―

〈それでなんだけど、しーしーちゃんが寝てても、耳に入る音や声はそっちで聴こえてるんだろ?〉

 ―〈聴こえるですぅ。 あー、その、キリンちゃんの寝言も……〉―

〈それはそっとしとこう。 で、今ぷーちゃんがみんな(・・・)に話しかけたんだけど、聴こえてたか?〉

 ―〈え? そうなんですぅ? ボクには何も聴こえなかったですぅ〉―


「今、しーちゃんに確認したんだけど、どうやら聴こえてないみたいなんだ」

「それって……どういう事なの?」

「今のままだと判断しづらいな。 クル、しーしーちゃんを起こしてやってくれないか?」

『はーい! しーしーちゃーん! おきるのー』


 クルがしーしーちゃんをツンツンとつつく。


「うにゅぅ……もう食べられないですぅ……」

 ―〈ウチのシー・シーがすみませんですぅ……〉―


「おや? こんなところにシュークリームが――」

「どこ? どこですぅ!?」

「「『…………』」」

 ―〈……ホントにすみませんですぅ……〉―


「ぷーちゃん、もう一回お願い」

(あのこは)(ぷるに)(さわってないから)(きこえないよ?)

「え? でもしーしーちゃんの身体もぷーちゃんなんだろ?」

(さいしょは)(いっしょ)(だったけどー)((ずっとねてる?))(そーそー)(あのこたち(ぷーちゃんC))(ちょっと)(まえから)((うーん?))(まざってる?)((それだ!))(いごこちよくて)(とけちゃった)(((みたいな?)))


 ――それって……


しーしーちゃんに自覚はなさそうですが。

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