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ぷるとごしゅじん

お待たせしました。


 ――おいしいって言ったのかな?


 なんか声が聞こえたというか響いたというか……以前クルの身体を借りた時に、クルと話をした時の感覚に似ているような気がする。


〈ひょっとして、ぷーちゃんなのか?〉

(わー! やっぱり))( (こえがとどくように))( (なったんだー!))((( (やったー!!))))


 囁くようでいて、さざめくようで――ちっちゃい子供たちがすぐ傍で内緒話をしているような――くすぐったい思念が声となって伝わってくる。


〈やっぱりぷーちゃんなのか〉

((( (うん! そーだよー))))

〈いつかは話せるようになるって言ってたけど、昨日の今日って早くないか?〉

(だってー))( (さっきたべたのが))( (とーっても))( (おいしくて))( (みんなに))( (このかんどーを))( (つたえなきゃ!))( (っておもったのー)


 ――シュークリームの影響力が止まるところを知らないんですが。


〈じゃあ残りも食っちまうぞ? 実際美味いしな〉

((( (うわうわうわ!!))))( (ほんとにー?))( (まだあるのー?)

〈この感覚って、分裂してる他の()たちにも伝わってるのかい?〉

(みんないっしょ))(( (そうそう)))( (だからえんりょなく?))((( (どんどんたべてー!))))


 ――はは。 それじゃご期待に応えますか。

 俺はまだ手に持っていた食べかけのシュークリームを口の中に入れた。 舌で転がすようになるべくゆっくりと味わってみる。


((( (んん~~~~))))( (うまいぞー!))(( (おいし~~い!!)))

〈喜んでくれるのはいいけど、感動の余り踊り出したりしないでくれよ?〉

(だいじょーぶ))( (あっちでむぎゅって))( (されてるほうは))( (みんなでこおどり?))( (ちょっとぷるぷる))( (してるー)


 抱き枕がプルプル震えてほんとに起きたりしないんだろうかとも思ったが、ぷーちゃんが言うのなら大丈夫なんだろう。


〈ところで、自分で食べた時はどうなの? 胃袋担当(・・・・)が吸収してるでしょ?〉

(うすあじー?))( (ほとんど))((( (あじしないよー))))

〈へー。 まあいちいち味を感じてたら食べられないものもありそうだからなー〉

((( ()ぅそう!)))(だからー)(おいしーものは)(ごしゅじん(・・・・・)に)(((おまかせー!)))


 ――おお!? ぷーちゃんのボリュームが上がってきた。 てか俺はご主人なのな。


〈ぷーちゃんの声が大きくなったぞ。 とても聞きやすくなった〉

(ほんと?)(おもいがつたわったー!)(((ごしゅじんだいすきー!!)))

〈お~? ありがとな〉


 ――あ! そうだ。


「ぷーちゃん、こっちの()は聞こえるかい?」


 俺は声を出して確認してみる。


(きこえるー)(っていうか)(((ぷる(・・)がおてつだいー)))(してるよー?)

〈ああ、それは分かってるよ。 クルやキリンの声もちゃんと聞こえてるのかなって?〉

(((きこえてるー)))

〈これって、今は俺だけに話し掛けてるんだよな?〉

(うん)(そーだよー)(みんなねてるー)(すやすやー)


 ――たぶん接触してる対象を個別に選んで思念を飛ばすような感じなんだろう。


〈じゃあ、明日みんなが起きて集まったら紹介するから、その時に話しかけてみてくれ〉

(((わかったー!)))


 ――いきなり枕に話し掛けられたら、みんなビックリするだろうしな。


〈こんな時間まで長く付き合わせて悪かったな。 もう共有解くから、ゆっくり休んでくれ〉

(そんなにつかれないよー)(きにしないでー)(ごしゅじんたんとーは)(((ほまれ!)))

〈お、おう……〉


 俺は【知覚共有】を解除する。 人形(ドール)を覆っていたぷーちゃん(B)は一塊となり、ベッドの方へぷるんぷるんと弾みながら移動していった。

 その後、俺は新しい人形(ドール)の設計をあれこれ考えては試作を繰り返し、一応の納得がいく形のものが出来上がる頃には明け方に近くなっていた。

 正直見た目はグロいが、頭、首、胸、手、足を人の骨格っぽいものに変え、その他は従来通りの球体関節人形のままにした。 これで指先まで細かな動きが出来るのと、多少飛んだり跳ねたりが出来るんじゃないかと思う。


 ()が明るくなる頃、ベッドの方から今日の俺担当(ぷーちゃんB)がやってきて、新しい人形(ドール)を覆い、俺に擬態してくれる。


〈おはよう、ぷーちゃん。 今日もよろしくな〉

(ごしゅじんー)(((おはよー)))(よろこんでー!)


 ――さあ、新しい1日の始まりだ!


『おとーさーん……これ、どーすんのー?』

「お、クルは早起きだ……な?」


 振り返ると、これでもかと浴衣を着崩したクルが、余った帯を握りしめて立っていた。


「クル、下着は着けてないのかい?」

『おねーちゃんが「着物や浴衣には要らないのよ」ってー』


 ――キリンのやつめ、ヘンなところでこだわりを……ん?

 ふと見ると、クルがこっちをじーっと見ている。


「どうした、クル?」

『おとーさんがしゃべってるー!!』


 たーっと掛け寄ってくるクル。 イロイロと零れてますよ?

 どうやらキリンは着替えを用意せずに寝ちゃったようだ。 先に言っておいた方が良かったか。


「あ、ああ。 ゆうべ思いついて改良したんだよ。 こうやって話せるようになったし、一緒にごはんだって食べられるようになったぞ」

『ほんとー!? やったー、いっしょにごはんだー!!』

「こら、ぴょんぴょん跳ねるな!  (イロイロ) (見えちゃうから!) とりあえず先にコレを着てきなさい」


 俺はTシャツとパンツを出してクルに渡す。


「ついでにキリンとしーしーちゃんも起こしてきてくれるか?」

『はーい! おねーちゃーん!!』


 クルは大声でキリンを呼びながら、間仕切りの奥へと戻っていく。 今日も賑やかな1日になりそうだ。


クルの台詞で『~」→『~』に修正。

「イロイロ見えちゃうから!」ルビ化失敗してたのを修正。

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