―キリン―
遅くなってしまいました。 半分は大雪の所為です。
……寝付けない。 そういえば吸魔って夜型なんだっけ……
お風呂から上がって用意していた浴衣に着替えた私たちを見て、おにーちゃんは目を丸くしてた。 成功だ! クルちゃんの胸元から除く谷間に目が泳いでいたけど、アレは仕方が無いと思う。
そのままクルちゃんとしーしーちゃんはぷーちゃんを枕にして一緒にベッドの中へ。 私はおにーちゃんと少し話をしてから、こうして上のベッドに上がって寝そべってるんだけど……
下からは、クルちゃんとしーしーちゃんの寝息が聞こえてくる。 お風呂ではしゃぎ過ぎたのか、すぐに寝入ったようだ。
今日は本当に色んな事がありすぎて、正直混乱している。 目覚めたら幼女――角、羽根、尻尾つき――で裸で、目の前にはあの人がいて……
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今にして思えば、私は最初から計画的に「道具」として扱うべく嵌められたんだと分かる。 漏れ訊いた話だと、私の前の聖女が召喚されたのが18年前。 時を同じくして王国で召喚された勇者と共に見事魔王を封印したが、その後勇者共々行方がわからなくなってしまったらしい。 2年前にその聖女がとある村で保護されたが、不治の病の為に去年亡くなったとされている。 でも、私の扱いを考えると、保護した後の聖女を、聖教国がどんな風に扱ったかは想像に難くない。
あの神様は、召喚先で転移者がどういう扱いを受けてるのか知っているんだろうか?
何度目かの迷宮――その頃には、目の前で繰り返される惨劇にも、劇薬に蝕まれる身体の痛みにも心を動かされなくなっていた――の攻略も終盤にさしかかっていた。
夥しい蟲に囲まれる中、弾かれたように前方へ駆け出した勇者さんをなんとなく目で追った。 前方に光の柱が立ち、その中に人影が見えた。 新たな魔物を召喚しようとしてるのだろうが、言われた事しか出来ない私にはどうしようもない。 そう思ってたら――。
光の中から現れたその人の顔を見て、私は思わず声を上げた。 あの日、周りの誰もが動かない中、トラックに轢かれそうになっていた私の手を掴み救けようとしてくれた唯一の人――短い髪を総髪にしていて、一房だけ額にかかっていたのが印象に残っている――だったからだ。 それがなぜかその時のままの服装で現れたのだ。
あっと思う間もなく、踊りかかった勇者さん達にズタズタにされたあの人。 どう見ても救からないと思った私は、せめて神様のところへ送り返してあげようと、この世界に来て「聖女」として初めての祈りを捧げた――。
竜王と対峙した時、勇者さんも悟ったんだと思う。 聖教国は何かがおかしい。 魔を統べる魔王に付き従い暴虐の限りを尽くす「暗黒竜」、それが神々しいまでに光輝く竜だったのだから。
最期、私を救けようと竜王とお話ししようとして、私達を操ってた影みたいな男に殺されてしまった。 あの僅かな時間があったから、私はあの男の呪縛が完遂する前に意識を失い、夢現の中、聞こえてきたあの人の声に縋った。
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――キリン。
あの人が付けてくれた私の新しい名前。 この名前自体に凄い力が籠っていて、それが私の魂に印されているのがわかる。 そうして生きながらえ、あの人――おにーちゃん――とも再会する事が出来たんだから、感謝しているんだけど……だけどね、私がこんな身体になっちゃったのは半分以上勇者さんの所為だと思う。
あの勇者さん……最初は他の娘達の色仕掛けにも抵抗してたんだけど、迷宮2つも潰す頃には精神的に参ってて、そこを私以外の4人で一斉に襲っちゃったもんだから、箍が外れたみたい。 後は所かまわず盛っちゃって、私の前であんな事やこんな事まで、見せつけるように……見られて興奮するタイプだったのかしら?
おかげで男の人のおちん○んを見慣れちゃってる私がヤバい! でも記憶にあるパパのや、勇者さんのに比べても、おにーちゃんのはヤバいと思うんだけど…… 、
こうして魔物の身体になったからか、討伐隊として数多の魔物や魔族――普通の人にしか見えなかった――を淡々と只の肉塊に変えていくのを目の当たりにして、壊れかけていた筈の私の心が随分と楽になっているのが分かる。 あのまま奇跡的に命が救かったとしても、人のままの心では耐え切れずに、遠からず命を絶っていたかも知れない。
私が本来の種族、始祖? になる為には、今の身体に足りない魔力を摂り入れないといけないんだけど、その為にはまず一人前の吸魔になる必要があって、大人になるには男の人の「精」を搾り取らないとダメみたい。
おにーちゃん、本体はダンジョンコアだって聞いて驚いた。 神様何してるのよ!――って。 でも試行錯誤の末に、人形やスライムを駆使して、人間そっくりの身体を動かせるようになってる。
このままいけば、本当に人間みたく生物的な機能を備えた身体を取り戻してしまうんじゃないかと思う。 神様の親友もいるしね。
その時が来るまでに、私もナニか練習しないといけないのかしら……あう。
クルちゃんもしーちゃんも、おにーちゃんの事が大好きみたい。 私もきっと好きになっちゃってる。
女神様がくれた恩恵……使うならその時にしようって思う。 今は私の内で疼く本能――「ヤっちゃえ、ヤっちゃえ」ってヤバいの――が暴れ出さないようにしないと……やっぱ創作活動で発散するしかないかなあ……けど段々エロくなって行きそうなのよねー。
ふゎ……ねむ……ぷーちゃん、こっち……




