吸魔
遅くなった上に少し短いです。
「とっても名残惜しいんですけど、限界のようですぅ」
やっぱ、しーしーちゃん作るのに気合を入れた分だけ時間が短くなったようだ。
「シー・シー! ボクの分までいっぱい可愛がられるですぅ!」
「まかせるですぅ!」
そんな「しーしーズ劇場」を経て、しーちゃんは帰って――分体ちゃんも置いて行かれる事なく一緒に――いった。
後に残った 大 、 小 の残滓はぷーちゃんが美味しく(?)頂きました。
―〈だから、お漏らし言うなですぅ!〉―
とまあ、俺だけは本体とも会話出来るんだけどね。
 ̄l ̄
クルとしーしーちゃんはお菓子の食べ過ぎでコロコロと寝っ転がっている。 それぞれぷーちゃんを抱いたり、ソファにしたりして寛いでいるようだ。
「でも本当に私が貰ってよかったの?」
〈ああ、俺にはポンポン生えるもんだしな。 キリンがその身体に慣れるにも、何かしらのスキルはあった方がいいだろ?〉
今回の【降臨】による「恩恵」はしーちゃんに頼み込んでキリンに譲った。
「正直乙女としては、あまり慣れたくないわね。 ヘンな称号が付きそうだし……」
〈あ~、どっちかというと体格的な話で、小さくなったから不便かなってつもりで言ったんだけど――〉
「あ、そうなの? だ、だったら平気よ。 ちっさいけど身軽だし、こんなことも出来ちゃうしね」
そういうと、キリンは隠してた角や羽や尻尾を出してピョンっとジャンプ――じゃなかった! 空中をふわふわと飛んでいる!
速くや高くは飛べないようだが、前後左右上下に自由に動ける上に、逆さだろうが寝そべってようが浮いていられるようだ。
〈いいなぁ〉
「へへー、いーでしょー。 でもあんまり長時間は飛んでられないみたいね」
そういって着地するキリン。
〈もっと落ち込んでるかと思ったから、ちょっと安心したよ〉
「今は(仮)の身体だしね。 コスプレ気分で乗り切ることにするわ」
――それなら。
〈えっと、ついでだから、種族的な事を差し障りのない範囲でいいから説明してもらえるかな? その……主食とか、睡眠とか、トイレとか〉
「いいけど、おにーちゃん【鑑定】持ってるんだから自分で確認すればいいんじゃないの?」
〈いや、さすがに【鑑定】でなんでもかんでも覗いちゃうのは気が引けてさ。 その……年頃の女の子なんだし、隠しておきたい事とかもあるんじゃないかって〉
「迷宮主なんてやってる割に、人間味がありすぎるんじゃないの?」
〈心まで人間辞めるつもりはないからね〉
「そっか。 」
〈ん?〉
「なな、なんでもないわ。 じゃあ、ぶっちゃけるけど――」
曰く、主食は人間(男性)の「精」である事。「吸魔」は「夢魔」のように淫夢を見せたりせずに、直接人と交わることで「精」を吸い取る種族だが、食事として実際に必要なのは生命エネルギーであり、定期的に人と交わり取り込んだ「精」を生命エネルギーに変換する必要があるらしい。 今は不思議とお腹が空かないが、お茶やお菓子、普通の食事も摂れるからねと力説された。
ただし、成長する為には「精」そのものを摂る必要があるようだ。
睡眠については吸魔としては夜行性なのだが、本来の種族から変異したからなのか「夜型の人間」程度で、夜も普通に眠れそうとの事。
トイレは、これまた必要なし。 。 実際、変異してからかなりの時間が経っている。
「あと、スキルは精神系っていうのかしら? 【幻惑】や【魅了】とか【催淫】なんてヤバそうなのがあるのと……」
〈どうした?〉
「種族固有みたいなんだけど…… ――」
〈わー! わー! 言わなくていいから!〉
「あーあ、結局ほとんど教えちゃった」
――最後のはワザとだろ。
〈あとは、さっき貰ったスキルか。 何を貰ったんだ?〉
「ナ・イ・シ・ョ」
〈おま、ここまでぶっちゃけといて……〉
「私が欲しかったスキルには違いないわね。 まあ、すぐに分かるわよ」
 ̄l ̄
――それにしても、人――人間は1人も居ないが――が増えたよなあ。
食事の準備をしながらしみじみ思う。
俺とクルしか居なかった迷宮に、今やぷーちゃん、キリン、そしてしーしーちゃんまで居る。
どう考えても、この部屋だけで暮らせるとは思えない。
今夜はクルのベッドを2段にして凌いでもらうとして、本格的にこの迷宮を改装する時が来たようだ。




