説得
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名前:榊 凛子
種族:普人族
年齢:16
クラス:聖女
状態:隷属・仮死・消化器官損傷・魔力暴走・意思薄弱・氷結
HP: 8 / 240
MP: 1606 / 780
STR:12
AGI:9
VIT:17(4)
INT:42(12)
DEX:19
MIN:14(6)
LUK:17
SP:48
保有スキル:
【異世界言語】【自己鑑定】【異空間収納】【神域の帳】【守護の盾】【癒しの光】
称号:
『聖女』『運命ノ愛シ子』
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――状態が酷い……
【鑑定】で聖女――サカキ・リンコを確認したが、瀕死のHPはともかく、最大MPを超える魔力が体内で暴れているようだ。 しかも――。
――「隷属」 何なんだよコレ?
―〈聖教国で出回っている魔道具によるものですぅ〉―
〈む? しーちゃんか、なんか久しぶりな気がするけど〉
―〈ちょっと手続きやら何やらでバタバタしてたですぅ〉―
〈ほぅ――〉
(だーれ?)
〈ん? あ! クルは直接しーちゃんと話したことなかったのか〉
(しーちゃん?)
―〈はいですぅ。 クルちゃん、よろしくですぅ〉―
〈クル、また後で紹介するよ。 帰ったら会えると思うしな。 もうちょっとだけいい子にしててくれ〉
(はーい)
――なごんでる場合じゃないな、魔道具……あの首輪か。
何れにせよ、俺が何をするにも、ココじゃ出来ない。 なんとか彼女をウチまで連れて行かないといけないが、今のままだとあの部屋から出して「氷の棺」の仮死状態が解けたら十数分ぐらいしか保たないだろう。
本人の生きる気力を呼び覚まして、それに賭けるしかない。
俺は部屋の中、氷柱に向き直る。 彼女の「死」を遅らせる為、隔絶されたこの空間では通常の声は届かない。 しかし俺には――。
――俺は【天啓】で呼びかける。
〈〈聞こえるか? 俺の声が聴こえたら応えてくれ〉〉
(…………)
〈〈頼む、聞いてくれ。 凛子ちゃん……だろう?〉〉
(…………誰? わたし……もう……)
〈〈俺の声が聞こえるか? 俺はあのトラック事故の時に一緒に居た男なんだ!〉〉
(あ……あなたは……迷宮で、わたしの目の前でみんなに殺されて……)
〈〈ああ、確かに俺はあの時死んだ。 だけど、あんたが天に送ってくれたから、迷宮に喰われずにこうして再び生を得ることが出来たんだ。 あんたには感謝してもしきれない恩がある〉〉
(……そう……よかっ……た……これで安心し……て……)
〈〈待ってくれ! 俺はあんたを助けたい。 あんたを助けて、あんたをこんなにした聖教国をぶっ潰して、二度とあんたみたいな「聖女」が生まれないようにしたい!〉〉
――其の為に必要なら“神”とさえ戦って見せる!
〈〈其の為にもあんたの力を貸して欲しいんだ。 だから生きてくれ! あんたが苦しんでいる間、のほほんと暮らしてた俺に言う資格はないかも知れない……でも生きてて欲しいんだ!〉〉
(……わた……し、生き……られ……る?)
〈〈あんたが俺を助けてくれたように、今度は俺があんたを助ける番だ! 絶対に死なせやしない! あんたの心も魂も、こんなくだらない世界にくれてやりたくないんだよ!!〉〉
(……帰りたい……わたし……)
――!
(あなたは……帰りたくない……の?)
〈〈正直、考えたことは無かったな。 この世界に送られて、いきなり殺されて、人間辞めることになっちゃったけど、俺には出逢いがあったからかな?)
(そう…………)
〈〈俺、神様と縁があるみたいでさ〉〉
(……?)
〈〈俺がこんなになったのは、おそらく、とある神様に嫌われてるっぽいんだよね〉〉
(そんな事……)
〈〈そいつの思惑が成功してたら、俺はココにはいなかっただろう。 でも、偶然か必然か、俺は色んな出逢いによってその思惑を外すことが出来たんだ。 その一つはあんたのお陰さ。 あの日迷宮で殺された俺をあんたが天に送ってくれなければ、俺はこの世界から消えていたんだ〉〉
(……よかった)
〈〈そんな俺の出逢いの中には、俺を好きだって言ってくれる神様もいるんだよ〉〉
―〈!! ……〉―
(ホント……なの?)
〈〈ああ、だから、俺は約束する! とまでは言えないけど、あんたと一緒に、あんたが帰る方法を探す手伝いは出来ると思うんだ〉〉
(……あ……ああ……)
〈〈その為にも、あんたは生きなくちゃいけない。
(……お、お……ねがい!……たすけ……て……!! ……わた……し、こ……んなボロボロ……のままで、し……死にたく……ない!)
――本当は悔しいに決まっている。 彼女の魂の叫び……
〈〈ああ、絶対に死なせやしない! だからあんたも、その癒しの力、嫌わないでやってくれ〉〉
(――!……ええ……わかったわ)
〈〈じゃ、またな〉〉
(ん……)
――ふぅ。
彼女が気力を取り戻してくれたなら、「聖女」としての力がプラスに働いてくれるだろう。 賭けには違いないが、なんとか連れて帰らないと――。




