手に入れたもの
遅くなってすみません。
次の展開との繋ぎが纏められず、短くなってしまいました。
※前話の最後を少し改稿しています。
…………
――沈黙が痛い。
クルは俺を上から下まで――行かずに途中で止まった?――眺めたあと、にっこりといい笑顔で親指を突き出した。 その笑顔がとても気になるけど気にしちゃダメだ。
〈クル、おとーさんが裸ん坊だって教えてくれてありがとうな!〉
『えへへー』
〈服を着るから、ちょっと待っててくれ〉
『はーい』
俺は「DP交換」でTシャツとジーンズを出して着る。
――よし、テイクツーだ!
〈クル、こっちおいで〉
『なーに? おとーさん』
――近いよ? と、とりあえず身長は勝った! 仮とはいえ、娘より小さい身体ってのは心理的にキツイからなあ。
俺は恐る恐る、クルの頭に手を置く。
『おとーさん?』
〈クル、俺はお前と出会った時からずっと、こうして頭を撫でてやりたいって思ってたんだ〉
サラサラとした輝く銀髪を指先に感じながら、ゆっくりとクルの頭を撫でる。
クルは眼を閉じて、気持ちよさそうに俺の手に体重をあずけてくる。
〈クルがこの迷宮に来てくれなかったら、俺は今頃この世にいなかったんだよ〉
クルが驚いた顔でこちらを見上げる。
〈ホントの話だよ。 クルが来てくれたお陰で、クルの事が見えるようになり、クルの話す言葉が聴こえるようになって、クルとお話し出来るようになった〉
『うん、あたしもおとーさんとおはなしできてからさびしくなくなったし、とってもおいしーごはんがたべられるよーになったし、イクルがおとーさんになってくれたし、クルってなまえもつけてくれたし、うれしいことでいっぱいなのー』
〈ああ、クルが大きくなっちゃったと時はびっくりしたけど、クルはクルのままだったし、裸ん坊のクルが服を着てくれるようになったし〉
『もう! おとーさんのえっち~! おとーさんだってさっきはだかんぼだったくせに~!』
――おや? 裸ん坊に反応するようになったのか?
〈あはは、そうだったね。 一緒にお風呂も入ったし、クルのお陰であったかいお湯も堪能できて、おとーさん涙が出そうだったよ〉
『またいっしょにはいるんだもん!』
〈そうだな。 こうして生きているから、一緒にお風呂も入れるし、こうやって愛しい娘の頭を撫でることも出来るようになった〉
『あとはあたしが「およめさん」になるだけなのー』
〈そうだn……っておいおい?〉
――あ、アブねー!!
『ちぇー、もうすこしだったのにー』
――ってワザとですか? なおさらアブねー!!
〈前にも言ったけど、おとーさんじゃなくなっちゃうぞ?〉
『それはやだー!』
〈だろ? だったら俺を困らせるようなことはしないで欲しいな〉
『は~い……』
俺はクルの頭をポンポンと叩く。
〈クル、残念だけどおとーさんはそろそろこの身体から出ないといけない〉
『え~っ! なんでー!?』
〈これがおとーさんと人形だけだったらいいけど、ぷーちゃんにも借りてるからね、返してあげないとかわいそうだろ?〉
『うん……』
〈おとーさん、考えてることがあるんだ。 それがうまくいったら、ずっとこの姿でクルの側にいられるかもしれない〉
『ホント!?』
〈ああ、だから今日はここまでにしよう〉
『うん、じゃあさいごだからー』
――うわっ!
クルが俺に抱き着いてきた。 倒れそうになるのをなんとかこらえる。 柔らかな胸の膨らみが押し付けられ、俺がようやく手にした感触をこれでもかと刺激してくる。
あと、ぷーちゃん? ソコはおっきくしたり固くしたりしなくていいからね? それは意思じゃなくて本能だから疎通してないハズなんだよ? 主からのお願いだぞ。
〈クル、びっくりするじゃないか!〉
『えへへー』
〈じゃあ、ちょっと離れなさい〉
『はーい』
俺は、名残惜しさを感じながら、人形との【知覚共有】を解除した。
――ぷーちゃんAとぷーちゃんBが合体する前に、何か怪しげなやりとりをしてたような気がするけど、見なかったことにしよう。
前書きに前話の改稿を追記。




