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マーベラス!

万が一お食事中の方がいたらすみません。

避けるほどではないと思いますが……


『あれ〜?』


 どうやらクルが起きたようだ。 間仕切りの裏――寝室でいいや――からガサゴソする気配と共に声が上がった。


〈どうしたんだ?〉

『パンツがないよー?』


 ――なぬ?


〈バンツは穿いて寝たんだろう?〉

『うん、だけど……』


 ――一体どうしたんだろ? 穿けなくなったのか? ま、まさか、オ・ネ・シ・ョしちゃったとかだったらどうしよ――って、あれ?

 そういえば俺、トイレ作ってなかった――。 俺自身、そんなの必要ない身体というか生き物(星胚)だし、クルも今まで何も言わなかったから……って元々ドラゴンなんだから“トイレ”って概念自体持ってない可能性もあるっていうかそっちの方が確率高そうな気がするな……

 と、隣の部屋か? 俺が見てない時に隣の部屋には毎日行っていたから……ここはダンジョンで、すぐに吸収されちゃうし、俺に“嗅覚”がないから気付かなかっただけなのか? うーん……


『おとーさーん? パンツ~!』

〈い、いったいどうしたんだ?〉

『きがえのパンツがないのー』


 ――ん?


〈今日はパンツ替える必要ないだろう?〉

『だってー、きのうのあさは「それも着替えるんだぞー」っていってたでしょー?』


 ――ああ! そういうことか!


〈夕べ、お風呂の後に着替えてるだろ? またお風呂入った後か、寝る前に替えればいいんだよ〉

『そっかー。 じゃーこのままはいてるー』


     ̄l ̄(__∞__)


 少しして着替え終わったクルが出てきた。


 …………


『おとーさん?』

〈あ、ああ、おはようクル。 よく眠れたかい?〉

『うん! あの“ぱじゃま”がもこもこしててきもちよかったー』

〈そ、そうか。 気に入ったのなら 色んなのを用意するぞ〉

『わーい!』


 会話しながらも、俺の目はクルに釘付けになっている。 色を取り戻した俺の“眼”には、目の前の女の子はあまりにも綺麗で、可愛くて、眩しすぎた。


 さらさらと流れる長い銀髪は光を帯びて煌めき、透き通るような白い肌に猫を思わせるクリッとした大きな眼、紫がかった深紅の瞳はやはり猫のように縦に窄まるようだ。 紅い唇、やや上気した頬はピンクに染まっている。

 今日の服は、少し襟ぐりの開いたロングセーターにミニのタイトスカート。 すらりと伸びたこれまた白い脚もだが、なんといっても開いた胸元を押し広げるかの如く前面に押し出される2つの膨らみに目を奪われてしまう。


 …………


『おとーさーん? なんかへんだよ? だいじょーぶ?』


 ――いかんいかん! 娘に見惚(みと)れるなんていかんぞ!

 今まで灰色の世界だったからこそ、俺はおとーさんで居られたのかも知れないな。 最初からこのフルカラーの強烈な容姿で、無邪気に無防備に接して来られてたなら、俺の理性は吹っ飛んでたに決まってる!

 ――おっぱい揉む? とか続いてたら手を伸ばす自信があるぞ。 うん、伸ばす手は無いけどな!


〈ああ、大丈夫だよ。 それよりちょっと確認しておきたい事があるんだけど、いいかな?〉

『なーに?』


 小首を傾げる仕草がいちいち可愛くて困ってしまいます。


〈クルはおトイレとかどうしてたのかな?〉


 ――もうストレートに訊こう。 【意思疎通】さんに丸投げだ。


『といれー? あ! まおーちゃんが「おしっこ」するときに、おかーさんがつれていくばしょだー!』

〈――ってクルはトイレ行かないの? いや、「まおーちゃん」って誰?〉

『あたし、おしっこしないもん! おかーさんもだよー。 でも、「まおちゃんは“おしっこ”や“うんち”するからあの人に頼まれてトイレを作ったのよ」って、おかーさんがいってたー!』


 ――マーベラス! 真のアイドルがココにいた! ――じゃなくて。


〈で、「まおーちゃん」って?」

『まおーちゃんはまおーちゃんだよ? はんとしぐらいまえにおきたおねぼーさんでー、ねるまえはあたしのおねーさんだったのに、ねてるあいだにあたしがおねーさんになっちゃったのー!』


 ??? まおーちゃんって「魔王」ちゃんって事? そういや『眠っていた「魔王」が活動を再開した』とか“(あいつ)”が言ってたけど、その魔王!? てかクルの妹なの?

 寝る前はお姉さんで起きたら妹ってことはその間成長してない? 眠ってた=封印ってことか?


『あーーーーーーっ! なにこれー? かわいーーーー!!』


 ――なんだなんだ? あ!

 見ると、クルが真っ白なスライムに抱き着いている。 だ、大丈夫だよな、溶けたりしないよな?


 しゅぴ!


 クルに揉まれながら、スライムが大丈夫! とばかりに“(触手)”を上げる。

 ちゃっかりと魔力の方は頂いているようだ。


『うわー、むにゅむにゅしててきもちいー!』

〈クル! ほどほどにしてあげなさい。 その子が窮屈そうにしてるぞ〉

『このこはなーに?』


 ――うーん、どう説明しようか……


〈ゆうべ、この迷宮で生まれたんだよ。 「スライム・イノセント」っていう種族で、この迷宮を守る最初の「仲間」だね〉

『おなまえはー?』

〈まだ付けてないんだけど、クルは名前があった方がいいのかい?〉

『だってー、あたしは「クル」でー、おとーさんは「イクル」でしょー? このこだけなまえがなかったら、なかまはずれになっちゃうよ? なかまはずれはダメよっておかーさんいってたもん!』

〈そっか、そうだね。 じゃあ、クルが何かいい名前を考えてあげなさい〉

『わー! いーの?』

〈おとーさんも考えるからな、どっちがいい名前を考えるか競争だぞ〉

『うん! がんばるぞー! えーと……』


 ――俺が下手に「名付け」たら、また進化しちゃったりしそうだし、下手すると死んじゃうかも知れないしな。 まあ、あまり変な名前を付けたりはしないだろ。 だよね?


 しゅぴ!


 自分の運命を知ってか知らずか、スライムが手を上げる。


 ――かわいいやつめ。


 うんうん唸ってるクルを尻目に俺はそう思った。


名前は未定。 まだ迷ってたりw


∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽

〈どうしたんた?〉→〈どうしたんだ?〉に修正

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