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無垢

迷宮と言えば?


 なんか生まれてるー!?


 【女神の残滓】……神の依代となった事で全てのエネルギーを奪われた物質。 僅かながら神気を宿している。 魔力との親和性が高く、一粒で低級の魔石に匹敵する魔力を蓄えることが出来る。


 まだ融合していない白い粒子を【鑑定】したら妙にハイスペックな説明が――これって只の砂じゃ無かったのか……とか言ってる場合じゃないかな?

 一体化した白い物体は、ドロドロしたゲル状から徐々に弾力を帯び、プルプルした白くて丸いゼリー状の物体へと姿を変えていく。


 ――というか、見た目は「お餅」だな……

 形や質感は所謂「スライム」のように見える。


 【スライム】……迷宮等、魔素溜まりと呼ばれる魔素の澱んだ場所で自然に発生する魔法生命体。 発生後、徐々に核を生成し、異物を消化・吸収するようになる。 発生する環境により様々な亜種が存在する。


 ――らしい。 ただ、あまりに高濃度な魔力溜まりでは発生と同時に弾けてしまう為、生きられないようだ。

 この部屋は、俺本体の魔力に加え、亜神(クル)の放出する魔力も合わさって、並みの濃度じゃ済まないはずなんだが……


 俺は恐る恐る、【鑑定】してみた。


 【スライム・イノセント】……濃い魔力溜まりの中で生き延びたスライムが極稀に進化するマギ・スライムの特殊個体。 通常のスライムが持つ「属性」を一切持たず、取り込んだ魔素を純粋な魔力として蓄えている。


 ――って生きられない筈のスライムが生き延びてるじゃないですかー!

 しかも特殊個体って、【女神(しーちゃん)残滓(お漏らし)】を素材というか核にしたからかな?


 ―〈なに、人聞きの悪い呼び方をしてるですぅ! お漏らしじゃないですぅ!!〉―

〈あ、しーちゃんしーちゃん! いいところへ〉

 ―〈な、なんなんですぅ?〉―

〈今、【降臨】出来ないかな?〉

 ―〈ん~? さっきお別れしたばかりなのに、もうボクに会いたくなったですぅ?〉―


 ……いやんいやんしてるしーちゃんが脳裏に浮かぶ。


〈じゃなくて! しーちゃんの抜けた人形(ドール)から変なスライムが生まれたんだよ!〉

 ―〈え? え? そ、それって、ボクといーくんの愛の結晶ーー!?〉―


 ――おいこら! それこそ人聞きの悪い呼び方すんじゃねー! つうか、まるで俺が産んだみたいな言い方しないでくれ。


 ―〈もー、いーくんのいけずー! 生憎、今は【降臨】は出来ないですぅ。 ボクも“神気”を消耗してるですぅ〉―

〈そうなのか。 コイツをどうしようか相談したかったんだけど……〉

 ―〈迷宮で生まれたんだから、ダンジョンマスターの言う事は聞くと思うですぅ。 せっかくだからペットだと思って可愛がってあげるですぅ〉―


 ――確かに、言われて見ればさっきから動かずにじっと――というかプルプル――してるな。

 名前――は下手に付けないほうがいいよな? 付けるにしてもクルと相談してからだ。


〈俺の言ってることが分かるか?〉


 スライムから手のようなものって言うか触手? がにゅっと出て、ピッと挙手する。

 なんかかわいい。


〈しゃべれないのか?〉


 今度はプルプルと体を振るが、次は背伸びをするように伸びたり縮んだりを繰り返す。


〈今は無理でもいずれはってことか?〉


 再び挙手。


   ̄l ̄(__∞__)

       ̄l ̄(__∞__)


 こんな感じで、(つたな)いながらもコミュニケーションを取った結果、


・主食は魔素。 で、俺やクルから放出されている分で徐々にお腹は膨れてるから、特に捕食行動はとらない。 俺(ダンジョンコア)は「おいしそー」とのこと。

・他のスライム同様、触れたものを溶かして吸収することでエネルギーを補給することも可能。「なんでもたべるよ」

・「みんな」で集まるのに魔素を多く吸っちゃってごめんなさい。(確認したらMPが2割程減っていた。)

・「みんな」とは、“女神の残滓”一粒一粒を核とした個々の微小な「スライム・イノセント」で、いまの体は数十万の個体が集まった群体なのだそうだ。 それが神経のようにネットワークを構築中で、いわば多細胞スライムのようなものらしい。

・ほとんどのスライムと同様、物理攻撃は無効。

・通常は弱点である魔法攻撃や、魔剣等の攻撃も、魔力を伴うものは全て魔素に分解して吸収しちゃうんだそうだ。


 ――なんか、とんでもなく強いんじゃないですかね? この子……

 で、なんとなく隅で体育座りしている人形(ドール)の方を気にしてるような感じがしたので、好きにしていいよと伝えてみたところ……


 ぷるんぷるんと移動して人形(ドール)まで近づいたスライムが、パクッと人形を飲み込んだ。

 食べるのかと思ったらどうも違うようで、人形の表面を隈なく覆ったかと思うと徐々に形を取り始め……


 ―〈あわわわ! 見ちゃだめですぅ!〉―


 サイズは変わらないものの、顕現した時のしーちゃんそっくりになったのだ。 ――当然の如くまっぱである。

 ――こんな事も出来るのかと感心しつつ、哀れなしーちゃんの為に、擬態は解除してもらった。

 今は人形みたいな素体が必要だが、慣れればスライムだけでも擬態出来るらしい。


 ―〈やっぱりいーくんはえっちですぅ〉―

〈やっぱりってなんだよ? しつれーな!〉


     ̄l ̄(__∞__)


 そんなこんなで朝になった。 もうすぐクルも起きて来るだろう。

 ――さて、どう説明しようかな……


まっぱが増えた。(やけくそ)

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