表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/90

ちちとして (おふろーⅢ)

加筆修正のつもりが書き下ろしに……


※お待たせしました? 加筆完了です。


 ――いや、

 正確には(あか)い魔力の塊が、俺の身体――上半身の一部、肋骨で覆われるぐらい――を形作っているように見える。

 肩から先や胸から下は無い――というより、朱が急激に薄れてそこから先を維持出来ないといった感じだ。


『おとーさーん! あたまおわったよー!』


 ――お!


 俺は顔を上げて(・・・・・)クルの方を見――てすぐに顔を逸らした(・・・・・・)

 クルは濡れた髪を持て余し気味に右手に持ち、首をそちらに傾けながら、身体をこっちへ向けている。


『つぎ、どーするのー?』


 ――と訊かれても、DT(ドーテー)が女の子のお風呂の入り方なんて、詳しく知ってちゃいけない気がするんですよ? まあ、身体に触れないようにしながら水分を取ればいいのかな?


〈少しお水を絞って、もう一回「おだんご」にしようか。 濡れてるからやり易いと思うぞ〉

『わかったー』


 ――って、クルちゃんや? そのままこっち向いてするんですか?


〈クル? 鏡を見ながらの方がやり易くないかい?〉

『だいじょーぶだよー、あたしちゃんとおぼえたもん!』


 ――なのにどうして頑なにパンツを被ろうとするんでしょうか?


 その言葉通り、最初に比べるとかなりテキパキと髪をまとめ上げていく――のだけど……頭に集中してるからか、膝がだんだん緩んできてますよ~? それ以上開くとヤバイですよ~?


 横を向いて(・・・・・)ても、360度の視界が、クルの仕草を伝えてくる。 人間、目の端に動きがあると、そっちを意識しちゃうんです。 俺の場合、イコール“視ちゃう”んですよ……

 ――斯くなる上は、少し上でぽよんぽよんしてる丸い物体に集中するしか――。


『おとーさん、どーお?』


 ――神よ!


 ―〈!? ~~~~~~~〉―


 ――も、戻って来てたんだー。 ま、また今度、お話しよう――。 (ごめんね)

 ―〈 (う、うん…… ) (あ、ありがとですぅ)〉―


 ギリギリのところでクルが横を向き、左手で押さえた「おだんご」を見せる。 確かにちゃんと纏め上げられているようだ。「ちゃんとおぼえたもん!」は実績に裏付けされた!

 ――なのにどうして頑なにパンツを被ろうとするんでしょうか?


〈おー! ちゃんと出来てるぞ〉

『やったー! えへへー』

〈もう一回ピンで留めて――よしよし! 次は、濡らさないでおいてたタオルを――〉

『これー?』

〈――そうそう、それ! それで「おだんご」を下から支えるようにしながら、頭を巻いちゃおう〉

『うん!』


 ぎこちないながらもクルクルとタオルを巻いていくクル。 横は向いているが、両手を上げてやや胸をそらしての作業だ。

 ――ほんと、おっきくなった(・・・・・・・)よなぁ……


『できたー、かな?』

〈いいんじゃないかな? あ、端っこは折り込んで留めるんだ。 そうそう!〉

『わーい、つぎはからだをあらうんだよね?』


 ――うん、それ(・・)も身体だけどね? どうして(おっぱい)を持ち上げながら訊くのかな?


〈そーなんだけど、クル? 例えおとーさんにでも、そういう事をしちゃだめだ!〉

『むー、なんでー?』

〈クルはまだ思った事がないかも知れないけど、俺はそういうのは「恥ずかしい」事だと思ってる〉

『はずかしいことー?』

〈そうだ。 簡単に言うとだな、おとーさんが「もうクルと一緒にお風呂に入りたくない」って思うような事なんだ〉

『えっ……』


 胸を持て余すように揺すっていたクルの動きが止まる。


〈いいかい? 俺はクルの事が大好きだ。 これは神に誓って断言する!〉

『う、うん』


 ――まだ表情が硬い……そりゃそうか、タイミング間違えたかな~。

 それに引き替え……


 ―〈 (そ、そんな……) (ち、誓うだなんて……)〉―

 ――こっち(しーちゃん)はだんだん調子が戻ってきたのかな? ――っと。


〈同時に、俺はクルの「おとーさん」なんだ。 だからかな?「大好きな“娘”にこういう事はして欲しくない」っていうのがあるんだ〉

『そーなんだ……』

〈でもなー、正直に言うと、「いいぞ、もっとやれー」っていう俺もいるんだよ?〉

『――へ?』


 ――クルが目を丸くする。


〈クルは俺と繋がってる――あの赤い糸を見たら疑いようも無い――から、さっきみたいな事をした時に、俺が心の中で喜んでるのが分かってるんだろ?〉

『うん! わかるよー! おとーさん「えへへー」ってなってるもん!』


 ――ぐはぁ!!!

 ―〈ぷっ! くくくく……〉―


〈ソ、ソーダッタンダネー。 そうやって“喜んでる俺”をもっと喜ばそうとして、あんな事(おっぱい揺ら)したり、こんな事し(パンツ被っ)たりしてた――違うかい?〉

『ううん! そーなの。 おとーさんによろこんでほしくてー』


 ――ホント、俺にはもったいない娘だよなー。


〈俺はもっと――せめてクルの心が今の身体に追い付く位に大きくなるまで――クルの「おとーさん」でいたいと思ってる〉

『あ、あたしも、イクルにずーっと「おとーさん」でいてほしい!』

〈でも、クルがしてるあんな事やこんな事は、“(おとーさん)”は嬉しいけど、クルの“父親(おとーさん)”としては嬉しくないことなんだよ〉


 ――我ながらややこしいなあ。


〈クルの“父親(おとーさん)”としては、もっとクルと遊んであげたいし、褒める時もクルの頭を撫でてあげたい――〉


 ――その為にも俺は身体を、手足を取り戻したい!


〈――そして、もっと「悪戯っ子」のクルや「甘えん坊さん」のクルを見たい!〉

『うん……うん!』


 クルはこっちを真っ直ぐ見て頷いている。


〈――だったら?〉

『おとーさんが「恥ずかしい」とおもうよーなこと、しないよーにする?』

〈そーだ!! クルの「おとーさんによろこんでほしい」って気持ちだけで、おとーさんこんなに嬉しくなるんだぞ! やっぱりクルはいい子だなー!〉

『えへへー。 あたし、いたずらもいっぱいするー!』


 ――お、おてやわらかにね?


〈さあ! 身体もきれいに洗っちゃおう! お湯から出て時間経っちゃったけど、寒くなったりしてないかい?〉

『へーきだよ! このおへやぬくいもん!』

〈よーーし! じゃあ、おとーさん見ててやるから、教えた通りにひとりで洗ってごらん〉


 クルは輝くような満面の笑顔で――、


『うん! がんばるぞー!』


 そう言って鏡に向かった。


   ̄l ̄(__∞__)

       ̄l ̄(__∞__)


 きゃーきゃー騒ぎながら身体を洗うクルの背中を見ながら、俺はさっき覚えた違和感を思い返していた。

 ――俺、“頭が生えた”かも知れない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ