↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

4 妖怪対峙

 それは猪というにはかなり大きい体躯をしていた。

 口元から左右に生えている牙だけでも、サクヤの腕より太い。アレに刺さるというのは、ほぼ確実に致命傷は避けられないだろう、と容易に想像できる。


 体毛は普通の猪より赤黒く。サクヤをまっすぐ見つめる瞳は赤褐色に染まっていた。


 そんな猪の頭の上辺りに表示されているウィンドウには、魔猪 Lv2と書いてある。


(レベル的には雑魚モンスターなんだろうけど、だいぶ容易く命を刈り取ってきそうな牙をしてらっしゃるんだが……)


 まっすぐ魔猪から視線を外さないように見据えながら、ゆっくりと腰の刀を抜き、両手でしっかりと握りしめる。


「……初バトル、よろしゃす」


 魔猪は後ろ脚で地面を蹴り、そのままサクヤに向かって突進をしてくる。


(速い、けども!)


 冷静に半歩右に動き、すれ違いざまに軽く斬りつける。

 切り傷からは現実のようにダラダラと血が流れていくわけではなく、赤黒い霧が血を思わせるように傷口から発生し、すぐに霧散していった。


(さすがにグロ系は年齢対象的にこんなもんだよな、まぁブシャアって大出血されたら卒倒もんか)


 サクヤはすぐに一歩踏み出し、魔猪に対して二撃。三撃。と刀を振り下ろした後にすぐ距離をとる。


(頭上にあるウィンドウに表示されているHPはちょっとだけ減っているだけ……筋力上げなかったからダメージがあんまり出てないってことかよ)


 小さく舌打ちをしたサクヤはまたも突進してきた魔猪を上手くいなし、一歩踏み出せば刀が当たるくらいの間合いを維持し続ける。


(これはゲームだ。つまりあの動きは攻撃モーションってやつで、俺に向かって突進してくる……なんか予備動作みたいなのがあるんじゃないか?)


 息を吐き、魔猪を観察する。

 軽く身体を翻して、周囲を牙で薙ぎ払うような動きをし、その後はサクヤを狙って突進してくる。


「それは避けますよ、って!」


 何度か攻撃をせずにそのまま避けるを繰り返し、サクヤは魔猪に対して感想を抱く。


(多分……突進して生まれた隙をついたプレイヤーが近づいてきたところを、牙の薙ぎ払いで応戦。プレイヤーが離れたらまた突進して……それの繰り返しみたいな感じか?)


 刀を握る力を強め、再度魔猪に対して構えを取る。

 鈍色の切先が日光に当てられて少しだけ輝いているようにもみえた。


「最初みたいに応じ技で行ってみましょ」


 サクヤの脳内に剣道の応じ技。つまるところのカウンターの選択肢がいくつか浮かび上がる。

 後の先、と呼ばれる条件反射のように勝機を掴み取るのはサクヤもある程度は無意識下で行える。魔猪との初撃も抜き胴の応用のようなものだった。


(攻撃スキルとかあれば一気に削れるんだけど……というかまぁ、どうやって取得するのか、発動方法もわかんないんだけどな)


 そんなことを考えつつ、ただひたすらに突進をいなし、それにあわせて斬りつけ、少しずつだが確実にダメージを与えていく。


 何度か攻撃を繰り返し、ついに体力ゲージが0になったようで、傷口から出る赤黒い霧とは違う紫色の霧が魔猪全体を包み、消えた。

 

「……初勝利」


 一礼し、刀を鞘に戻す。

 サクヤが流石に死体とかは残らずに霧みたいに消えるんだなぁ、と考えていると、眼前にテキストウィンドウが現れ、和楽器の効果音と共にレベルアップをしたことを告げた。


「おぉレベルアップ、テッテレテーってやつだな。詳しくは後で確認しよう」


 首を回し、両腕を広げて大きく伸びをする。


(この世界、さいっこうだ)


 つい無意識にニヤリとしてしまったサクヤだが、すぐに顔を元に戻し、レベル上げという狩りを行うことにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。