88 ようこそ天界社畜の職場へ
酒の匂いがきつい。
ねぇ、料理人としてこんなことを言うのもあれだけど。
お酒を飲まない人間にとって、酒の匂いって本当にきついんだよ。
窓は開いていて、外から風も入ってきている。
それなのに、なかなか匂いが抜けない。
飲兵衛親方達、一体どれだけ強い酒を飲んでいたんだろう。
俺は、部屋に漂う酒の匂いをどうしようかと考える。
人を呼ぼうにも、呼び出し用のベルなんてない。
そんな高貴な人が使うような物が、俺の部屋にあるはずもなかった。
相変わらず、ベッドとタンスくらいしか置かれていない、何もない部屋である。
いや。
今はベッドの側に、飲みかけの酒まで置かれているけど。
ええい。
何とか身体を動かし、酒瓶へ蓋をする。
これをどうにかしないと、いつまで経っても匂いが消えないぞ。
酒瓶を片づけようとしただけで、身体中に痛みが走る。
俺は力尽きるように、再びベッドへ横になった。
まだ身体がきつい。
これ、いつになったら治るんだろう。
しばらく呼吸を整える。
そうだ。
久しぶりに、あれを使えばいいんじゃないか。
俺はもう一度半身を起こすと、無意識のうちに世界樹の枝を手元へ呼び寄せた。
世界樹の枝が淡い光と共に現れ、俺の手に収まる。
酒瓶へ短杖を向ける。
漂う酒の匂いよ、消えろ。
そう念じながら、俺は術を使った。
「生活魔法《洗浄》」
途端に、部屋に充満していた酒の匂いが消えた。
よかった。
これで――。
いや。
何かがおかしい。
匂いだけではない。
ベッドの側にあった酒瓶も。
お猪口も。
全部消えていた。
「……えっ?」
何。
何が起きたの。
しかも、今の俺。
生活魔術《洗浄》ではなく、生活魔法《洗浄》って言わなかったか。
その違いを認識した瞬間、頭がぼうっとする。
全身から力が抜けた。
俺はそのまま、ベッドへ倒れ込む。
だが、背中がベッドへ落ちる前に、何かが身体を支えてくれた。
師匠だ。
念動力か何かで俺を支え、静かにベッドへ寝かせてくれる。
『まったく。』
師匠は俺の目の前を飛びながら、明らかに怒った声を出した。
『魔力反応を感じたから、急いで来てみれば。』
『勝手に魔法を使って。』
『ようやく魔力回路が安定してきたばかりなのですよ。』
『いきなり魔法を使うなんて、死にたいのですか。』
いや。
魔法じゃなくてですね。
生活魔術《洗浄》を使っただけで。
『はぁ……。』
師匠は深いため息をつく。
『ヴァルナさん。』
『自分のスキルを確認してみなさい。』
そう言われ、俺は久しぶりに自分の内側へ意識を集中する。
頭の中に、自分のステータスが浮かび上がる。
「こ、これは……」
今まで苦労してレベルを上げてきた魔術やスキル。
その多くの文字が、薄い色になっていた。
使えなくなったのか。
一瞬、血の気が引く。
良かった。
料理スキルだけは、ちゃんと残っている。
だが、その代わり。
薄くなったスキルと同じ名前の後ろに、新しい文字が表示されていた。
《〇〇魔法》
そんな名前へ、変わっている。
そして、スキル欄の一番上には、
《料理魔法3》
と表示されていた。
さらにジョブまで増えている。
《料理人?》
《魔法使い見習い》
《大地母神の使徒見習いの見習い》
何これ。
まず《料理人?》の疑問符って何。
《魔法使い見習い》は、まだ分からなくもない。
でも。
《大地母神の使徒見習いの見習い》って何。
見習いの見習いって。
俺、どれだけ中途半端なの。
『そういうことです。』
師匠が呆れた声を出す。
『本当に中途半端ですねぇ。』
『見習いとかは、あまり気にしなくていいですよ。』
『気にしたところで、どうにもなりませんから。』
どうにもならないんだ。
『本当はですね。』
師匠が俺のステータスを覗き込むように、側へ寄ってくる。
『ヴァルナさんが、
これほど早く魔法を使えるようになるとは思っていませんでした。』
『それどころか、今世では精々、
料理スキルをある程度まで上げて終わるものだと思っていました。』
『残りは、天界で修行すればいいと。』
えっ。
何それ。
天界で修行って何。
『この世界へ転移する時、女神様に言われませんでしたか。』
『元の名前は真名だから、そのまま使うことはできない。』
『新しい名前も、意味のある物では、その性質に引っ張られてしまうと。』
思い出した。
だから、意味のない名前を与えると言っていた。
『確かに、ヴァルナという言葉そのものには意味がありません。』
『ですが、その名前を付けたのは誰ですか。』
誰って。
女神様だけど。
『普通は両親が、生まれた子供に、
将来こうなってほしいと願いを込めて名付けるものです。』
『ですが、ヴァルナさんは女神様から直接名付けられました。』
『つまり、大地母神様がヴァルナさんのゴッドマザー。』
『名付け親になったのです。』
『そして、人ではなく神に名付けられた。』
『その時点で、ヴァルナさんは女神様との間にパイプができたというか。』
『女神様に関連付けられてしまったのです。』
待って。
それって。
師匠の光が、邪悪に笑ったように見えた。
『そうです。』
師匠は、妙に楽しそうな声を出す。
『ようこそ。』
『天界社畜の職場へ。』
その言葉と共に、嫌な記憶が蘇る。
キッチンに舞い降りてくる、天界からの注文票。
その中へ紛れ込んでいた、神々や天界の住人達からの愚痴や悲鳴。
まるで俺の記憶を裏付けるように、空中から紙がひらひらと舞い降りてきた。
『入社オメデトウ』
『久々の新人だ。これで雑用から解放される』
『料理人だ、料理人。二十四時間いつでも出来たてが食べられる』
次々と、天界からのメモが俺の周囲を舞う。
えっ。
俺、天界に就職するなんて言ってないんですが。
確かに無職で、仕事は欲しかったですよ。
でも、ブラック企業だと分かっている職場へ、好き好んで入りたくないんですが。
『諦めなさい。』
師匠は冷たく言い放つ。
『あの時、天界へ来たのが就職面接だったのです。』
えっ。
あれ、事故じゃなかったんですか。
『事故ですよ。』
師匠はあっさり肯定する。
『偶然天界へ迷い込んだヴァルナさんを見極め。』
『問題ない人材だと判断したので、
試用期間として、この世界へ転移させたのです。』
事故で来た人間を、そのまま採用しただけなの。
それって、本人の了承なしにやっていいんですか。
『世の中、美味い話の裏には何かある。』
『そのくらい分かっているでしょうに。』
確かに。
美味しい話には、絶対裏がある。
『女神様は、きちんと状況と待遇について説明されました。』
『その上で、ヴァルナさんは待遇に追加を求めた。』
『断りたいのなら、断る機会はあったはずです。』
むむ。
うろ覚えだけど。
確かに、そんなやり取りをしたような気がする。
異世界転移だと聞いて、喜んでいた気もする。
『そして、活動するためのコードネームを与えられ。』
『ヴァルナさんは、それを受け入れました。』
師匠が、俺の目の前まで降りてくる。
『どこに問題がありますか。』
何か言いくるめられている気がする。
でも、何も言い返せない。
『そんなんだから、皆からチョロいと言われるのですよ。』
師匠は、また深いため息をついた。
『まあ、ともかく。』
『この世界で、私達のことを少しずつ知ってもらい。』
『スキルと身体を、ゆっくり鍛える。』
『そして寿命を迎えた後、天界へ迎えるつもりでした。』
『私の試算では、三百年ほど修行して。』
『運が良ければ、魔法を使えるようになるかなと思っていました。』
三百年。
俺、そんなに生きられませんよ。
『何のために、女神様から健康な身体をもらったと思っているのです。』
あれは、暴飲暴食をしても問題のない身体では。
師匠が、鼻で笑ったような気がした。
やれやれとでも言いたげに、俺の頭上を回る。
もう嫌だ。
完全に、女神様達の掌の上で踊らされてるじゃん、俺。
『ですが、ここで幾つもの誤算が起こりました。』
師匠が、少し疲れた声を出す。
『クリスタルの山の麓で、静かに店を経営する。』
『料理をしながら、少しずつクリスタルを消費し、地道に修行してもらう。』
『そのつもりだったのです。』
師匠が俺の顔を覗き込む。
『それなのにヴァルナさんは、次々とイベントフラグを立て。』
『大勢の人と縁を結びました。』
『縁が縁を呼び。』
『最後には、女神様の降臨まで実現させてしまった。』
師匠は、しばらく俺を見つめる。
『ヴァルナさん。』
『貴方、何者ですか。』
何者って。
ただのオッサンですが。
『ですよねぇ。』
師匠は納得したように頷く。
『メタボの、どこにでもいる普通の人間なのに。』
『ただの、善寄りのチョロいオッサンなのに。』
そこまで言う必要ある。
師匠は、いつものように俺の頭の上へ乗る。
『まあ、それこそ考えても仕方ありませんね。』
『何かあれば、私が責任を持ってピーしてあげます。』
えっ。
俺、ピーされるの。
何もしてないよ。
『何かあれば、と言ったでしょう。』
師匠が、子供をあやすように俺の頭を軽く叩く。
『さて。』
『それよりも、力の制御を覚えなければいけません。』
師匠が、酒瓶のあった場所へ視線を向ける。
『飲兵衛親方達が泣きますよ。』
『まだ飲み残しがあったのに。』
泣くのは、そこなの。
『今まで使っていた魔術が、魔法へと変わりました。』
師匠の声が、少し真剣なものになる。
『輪ゴム鉄砲が、大陸間弾道ミサイルへ変わったようなものです。』
『力加減を間違えると、大変なことになりますよ。』
何それ。
ここ最近、こんな話ばかりだ。
知らないことを教えられて、驚きっぱなしだ。
しかも、大陸間弾道ミサイルって。
皆が使っている魔術だって、十分すごいよね。
『言ったでしょう。』
『魔法使いは、この世界の法則そのものを書き換える存在だと。』
『先程も、酒の匂いを消そうとした。』
『ですがヴァルナさんは、無意識に、
その匂いの発生源ごと消してしまったのです。』
『気をつけないと。』
師匠の光が、静かに俺の前へ降りる。
『敵対する者の武装だけを消すつもりが。』
『本人ごと消しかねませんよ。』
それは怖い。
俺の背筋が寒くなる。
『きちんと力を制御できるようにならなければ。』
『大切な人まで、巻き込んでしまいます。』
そうだな。
確かに、これは笑い事ではない。
『上手く使いこなせるようになれば、色々なことができます。』
『それこそ、チートし放題ですよ。』
師匠が、わざと意地悪そうな声を出す。
どうせ俺がチートしようとしたら、力ずくで止めるだろうに。
師匠が、小さく笑った。
だが、その直後。
師匠は世界樹の枝へ視線を向けると、静かな声で話し始めた。
『ヴァルナさん。』
『これは警告です。』
部屋の空気が、少し変わった気がした。
『ヴァルナさんが望む、望まないにかかわらず。』
『貴方は魔法使いになってしまいました。』
『ただの《洗浄》ですら、先程の力です。』
『何気なく振るった力が、とんでもない結果を引き起こします。』
そうだな。
何せ、大陸間弾道ミサイルだからな。
『なぜ、他の魔法使い達が世俗に関わらないのか。』
『よく考えてください。』
『あの人達も、無情なわけではありません。』
『皆、とても人情味のある人達です。』
『ですが、関わらない。』
『それは、自らが振るう力の大きさを知っているからです。』
『そして、人々に頼られる度に力を貸していては。』
『人類がいつまで経っても、独り立ちできないと知っているからです。』
そうか。
俺以外にも、七人の魔法使いがいる。
以前、アンリ先生から聞いたことがある。
天宮さんを助けるため、魔法使いへ協力を求めた。
けれど、断られたと。
『一度、先例を作ってしまえば。』
『次から次へと、助けを求める者が押し寄せます。』
『その全てを断る覚悟がありますか。』
あの人は助けたのに。
どうして自分は助けてくれないのか。
そう責められるということか。
それは、辛いな。
『今のヴァルナさんは、まだ魔法を上手く使えません。』
『ですが。』
『使えるようになった時、どうしますか。』
師匠が、俺の頭を撫でる。
『力の制御を覚えなさい。』
『そして。』
『力を使わないことを覚えなさい。』
その言葉が、胸の中へ重く沈む。
『それが無理なら。』
『辛いのなら、言いなさい。』
『女神様にお願いして、力を封じてもらいます。』
その瞬間。
俺の手にある世界樹の枝が、強い光を放った。
そんなことをする必要はない。
自分が守ってみせる。
そう主張しているように見えた。
「ありがとう」
俺は、世界樹の枝を優しく撫でる。
でも。
俺はどうだろう。
目の前に、助けを求める人がいる。
そして、自分には助ける力がある。
そんな時。
俺は、その人を見捨てられるのだろうか。
『はぁ……。』
師匠が、再びため息をつく。
『少し考えすぎです。』
『大体、今のヴァルナさんが使える魔法は、料理魔法だけですから。』
『美味しい料理を作ったり。』
『それに付随することしかできませんよ。』
なんじゃそりゃ。
空を飛んだり。
雷を落としたり。
アイスストームを放ったりはできないの。
『本当に厨二ですねぇ。』
師匠が呆れた声を出す。
『できるわけがないでしょう。』
『そんなものは、人として天寿を全うし。』
『天界で修行してからですよ。』
師匠が、小声で何かを呟いた。
『もっとも、魔法使いになった以上、寿命はかなり延びていますから。』
『生きている間に、覚えてしまうかもしれませんが。』
何か聞こえた気がしたけど。
まあいいか。
なんだ。
心配して損した。
料理魔法なら、できることも限られるもんね。
というか。
具体的には、何ができるの。
『私が、いつもやっていることなどができますよ。』
師匠が、小さく手を振るように動く。
ああ。
あれか。
キッチンで食材や調理器具が空中を飛び交い、
自動的に料理が作られていく、あの光景。
『あれは、自分が習得している料理スキルより、
二段階低い料理を自動で作る魔法です。』
なるほど。
それは便利そうだな。
……待って。
師匠が自動で作っている料理って、師匠の本来の腕より二段階も下なの。
あの美味しさで。
それなら。
もし師匠が、自分の手で本気の料理を作ったらどうなるの。
あれより美味しいの。
師匠が、どうだと言わんばかりに腕を組んでいるように見える。
マジか。
すごいよ、師匠。
一体、どれだけ高い所にいるの。
『ヴァルナさん。』
師匠が、再び俺の前へ移動する。
『これから、沢山の者が来るでしょう。』
『権力者。』
『自らの欲を満たしたい者。』
『貴方を利用しようとする者。』
『そして、本当に助けを求めている者。』
『幸い、アンリを始め。』
『沢山の人が、貴方の周りにいます。』
『皆さんを頼りなさい。』
『皆、すでに心得ています。』
『そういうことは全部、皆さんに任せて。』
『今まで通り料理をして。』
『ヘイムを経営して。』
『皆さんと楽しく過ごせばいいのです。』
師匠は、ゆっくりと俺の前を飛ぶ。
『今まで通り。』
『ただの料理人として修行し。』
『料理人として、人を助ければいいのです。』
『魔法使いだということなど、今は忘れなさい。』
『そんなものは、後から幾らでもついてきます。』
師匠が、俺の目の前で止まる。
『ヴァルナさんは。』
『ヴァルナさんらしくあればいいのです。』
師匠。
良いこと言ってくれる。
でも。
それが一番難しいよ。
俺らしくって。
俺自身が、何なのか分からないよ。
『まあ。』
師匠が、明るい声へ戻る。
『また魔王が出てきたら、全力で戦ってもらいますが。』
そう言って笑い出した。
だから。
その魔王って何。
店先の別次元に、封印されているんだよね。
本当に大丈夫なの。
出てこないよね。
戦闘なんて無理だからね。
『何を言っているのです。』
師匠が、呆れたように俺を見る。
『力のない者達も、戦ったのですよ。』
『力を持つ者が戦わなくて、どうするのですか。』
そりゃ分かるけど。
俺は、料理しかできないんですよね。
『冨樫は、それで戦いましたよ。』
マジですごい。
『まあまあ。』
師匠が宥めるように、俺の頭を軽く叩く。
『復活したら、という話です。』
『そんなにポンポン復活して、たまるものですか。』
ですよね。
今の、フラグじゃないですよね。
お願いだから、違うと言って。
『そんなことより。』
師匠が突然、勢いよく飛び上がる。
『収穫祭ですよ、収穫祭。』
『大地母神様の、一大ビッグイベントです。』
師匠が、嬉しそうに部屋の中を飛び回る。
そういえば。
忘れてましたよね。
そのビッグイベント。
『師匠キーーック!』
師匠が勢いよく飛んでくる。
俺の顔の横を通り過ぎ、そのまま枕へ突き刺さった。
『何か言いましたか。』
いえ。
何も言ってません。
師匠は枕から抜け出すと、再び元気に飛び回る。
『今年は、色々なイベントが目白押しですよ。』
『ヘイムも、そのイベントの一つです。』
えっ。
何かあるの。
『さあ。』
師匠の光が、いつも以上に輝く。
『稼ぐぞう!』
とても張り切っている。
ねぇ、師匠。
常連客以外、ほとんど来ていないんじゃないの。
何をするつもりなの。
ねぇ。
だから、俺だけ仲間外れにしないで。
ちゃんと教えてよ。
師匠のニューワールド講座 83
~魔法使いの日常編~
師匠
『なんです。』
魔法使いって普段何をしているんです。
世俗に関わらないって言ってましたけど。
『さぁ。
何をしているんでしょうね。』
みんな本当に引きこもりで、
自宅警備員ならぬ、
世界樹警備員みたいな。
『世界樹の側に工房――
つまり家を建てて、
そこへ引き籠っていますからね。
本当に何をしているのでしょう。』
『世界樹の世話と言っても、
魔法使いが清く正しく生きていれば、
世界樹もそれに応えるように育ちます。』
『悪党が世界樹を手に入れようとしても、
触れられるのは魔法使い、
精霊や妖精、
そしてハイ・エルフくらいです。
落ち葉一枚、
折れた枝一本すら持ち帰れません。』
『それを知らず、
魔術素材にしようと盗みに来る者を迎撃するくらいでしょうか。』
『あとは、
自然とできた町や村で暴れる者を懲らしめたり。
もっとも、
そんな馬鹿をする者も滅多にいません。』
『本当に……
何をしているのでしょうね。』
師匠も知らないんですか。
『噂ではですよ?』
『顔を知っているのが、
身の回りの世話をしてくれる者くらいしかいないのをいい事に――』
『売れない小説を書いて、
近くの町の出版社へ持ち込み、
「また次回頑張りましょう」
と言われて帰ってきたり。』
『魔法で異世界からゲームを取り寄せ、
工房に引き籠って、
廃ゲーマーになっていたり。』
『巨大な図書館を建て、
一日中本だけ読んでいる者もいますね。』
『スポーツチームのオーナーになった者。』
『海辺の孤島に工房を建て、
釣りだけしている者。』
『売れない画家になった者。』
『雪山に工房を構え、
ウィンタースポーツ三昧の者。』
あのう……
妙に具体的なんですが。
しかも七人分ありません?
『さぁ。
何の事でしょう。』
『私は本当に知りません。』
『なにせ魔法使いとは、
俗世に関わらない、
神秘に包まれた存在ですから。』
絶対知ってるよね、それ。
作者メモ
※本編のおまけ設定です。読み飛ばしても問題ありません。
※本編とは時空が違います。
※本編の都合により、設定が変わる事があります。




