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43 授業参観じゃあるまいし

土下座って最終兵器だよね。


する方にもダメージがあるし、

される方にもダメージがある。


だから止めよう。

男子生徒諸君。

俺が悪者みたいじゃないか。

意味も分からず土下座されたら、普通にビビるぞ。


くらえ、必殺土下座返し。


そんな俺と男子生徒三人による土下座合戦は、


「ええい、やめんか! 恥ずかしい!」


アンリ先生の拳骨によって終結した。


痛いっす。

本当に痛いっす。



転移勇者の襲撃事件があった翌日。

ランチタイムが終わりかけた頃、

アンリ先生とミレディさんに連れられて、

鈴木さん達を含む、比較的まともな六人の転移勇者がやって来た。

そして開口一番。

斎藤君が、


「すみませんでした!」


と土下座。

さらに、


「申し訳ないでござる!」


と松平君。


「本当にすみません」


と佐々木君まで続く。


そして冒頭へ戻る。

頭が痛い。

師匠のキックと同じくらい痛い。



今日は朝から皆興味津々だった。


休み明けに店へ来てみれば、

店は吹き抜けになり、

二階席ができている。

しかも今日は日曜日。

いつもモーニングだけ食べて現場へ向かう若い労働者達まで、

ランチを食べながら二階へ上がりたがる始末だ。


「どうやって一日で改装したんだ?」


と何度も聞かれたが、

そこは全部飲兵衛親方達の手柄にしておいた。

赤毛親方と茶毛親方の名前を出せば、

みんな納得する。


凄いぞドワーフ。


ドワーフの仕業と言えば、

だいたい説明がつく。


「スミズル親方とトレース親方かぁ」

「なら納得だ」


そう言われると、

普段から飲んだくれている二人だが、

少しくらい名声を利用してもいいよねと思ってしまう。


そんな注目の中で始まった土下座合戦。

当然ながら店中の視線が集まった。

恥ずかしい。

もの凄く恥ずかしい。



そこで、お披露目も兼ねて、

転移勇者達を用意した部屋へ案内した。


みんな驚いてくれると思ったのだが、

そんな余裕はなかったらしい。

真面目な顔で何度も謝ってくる。


なので事情を聞く事にした。

どうやら昨日の襲撃騒動。

その切っ掛けの一つを作ったのが、

斎藤君の何気ない一言だったらしい。


まあ、

悪気はなかったようだし、

襲撃してきた転移勇者達の様子を見る限り、

遅いか早いかの違いだった気もする。

だが今の斎藤君達にそう言っても、

納得しないだろう。


俺だって五十年生きてきた。

失敗なんて山ほどしてきた。

まあ、

犯罪に繋がった事はないけど。

だからここはおっさんらしく言う。


「解った」

「次から気を付けるように」


それだけでいいのかって?

充分反省したんだろう。

土下座もした。

アンリ先生に拳骨も貰った。

なら終わりだ。

終わった事をいつまでも引きずっていたら、


禿げるぞ。


『経験者は語る、ですか。』


そうそう。

……いや今はフサフサだし。


ほら。

飯は食ったか?

食ってないなら食っていけ。

それとも、

せっかくだからここを見ていくか?

お前達のために用意した部屋なんだ。


「昨日こんなの無かったでござるよ」

「店長さんチートでござるか」


俺じゃない。


この店がチートなんだ。


そう言うと、

鈴木さん達女子生徒は施設が気になるのか、

わいわい騒ぎながら見学へ向かっていった。


そしてここからが本題だった。

アンリ先生とミレディさんが、

改めて説明を始める。


「本当に申し訳ない、店主」


そう言って二人が頭を下げた。

もういいですって。

本人達にも謝ってもらったし、

襲撃した四人も捕まってるんでしょう?

そう思ったのだが、

どうやら別件らしい。


最近イベント続きで、

俺のお腹はもういっぱいなんですが。


転移勇者達のスマホ充電の件と、アルバイトの件。

それらは無事、帝国政府から許可が下りたらしい。


すごいな。


さすが帝国学園の教授であり、“勇者クラス”を任されているだけはある。

帝国学園といえば、この国最高峰の学び舎だ。

そこの教授ともなれば、帝国政府にも顔が利くのだろう。


「そこでじゃな、昨日の一件もあるが」


アンリ先生は小さく咳払いをする。


「はっきり言って、勇者クラスの奴らは少々扱いづらくての」

「間違いなく問題を起こすと思っておった」


えっ。

みんな昨日の奴らみたいなんですか。

それは怖い。


「いや、あれは極端じゃ」


アンリ先生は即座に否定した。


「じゃがな、表向きは大人しくても腹の中が読めん奴」

「既に怪しい貴族に取り込まれておる奴」

「ハニートラップに引っかかり、日本製の物目当てで問題を起こしそうな奴」

「その他色々じゃ」

「今日来とる六人など、可愛いものよ」


そう言って遠い目をする。


……苦労してるんだな。


「その対策として、まず充電は許可制じゃ」

「我とミレディ、両方の許可が必要となる」

「ここに来る時も、我らか講師の付き添い付きじゃ」


なるほど。

妥当だと思う。

昨日みたいな事件は二度とごめんだ。


「でじゃ」


アンリ先生が言いにくそうに続ける。


「ここからなんじゃが」

「あいつらのアルバイトの件じゃ」


何か問題でもあるのだろうか。


「一応、課外授業扱いとしての」

「監視も兼ねた指導員を付ける事になった」


話によると、

帝国学園商業科の教師が厨房やフロアに入り、

接客や料理の指導をしてくれるらしい。


ありがたい。


鈴木さんもバイトリーダー経験者らしいが、

やはりプロの教師がいるのは心強い。

給料も発生しないし、

実習という形で協力してくれるなら助かる。


しかし、

なぜかアンリ先生が歯切れ悪い。

ミレディさんも無言だ。

しかも肘で先生をつついている。

何だろう。

嫌な予感しかしない。


「そのな……」

「帝国学園の教師だけではの」

「生徒はともかく、その後ろにおる貴族が出てくると抵抗できんのじゃ」


ああ。

なるほど。


化粧品を持ち出せ。


日本製の品をよこせ。


部屋を使わせろ。


そんな要求をする貴族が出てくるかもしれないのか。

そりゃ困る。

俺はただの一般市民だ。

貴族なんて来られたら震えるぞ。


「解っておる」

「そこで揉めての」

「結局、来る事になった」


誰がですか?


「我の昔の講師じゃ」


昔の講師。

帝国学園の先生か。


「違う違う」

「母上の学生時代からの親友でな」

「その、我はそこそこの身分でな」


解っています。

騎士団のお偉いさんの家ですよね。


「いや、もう少しな」


もしかして、騎士団の幹部とか。

凄いなぁ。

騎士団って、バリバリの実力主義だと聞いている。


余程凄いんですね。

アンリ先生のお父さんって。

いや、お母さんかな。


ハンスさんやアンナさんをうちに派遣してくれているし。

しかも料理長までいる。

みんなから“姫様”って呼ばれているし。


……はっ。


まさか、貴族だったりしますか。

男爵様とか。

そういえばエルミナさんも子爵家の娘さんだったな。

もしかして、同じ子爵家とかですか。


だから初対面の時、ミレディさんが怒っていたんですね。


「いや、あの……もうそれでよい」

「偉いのは家であって、我ではないからのう」

「ただの家の七光りじゃ」

「じゃから、今まで通りでよいぞ」

「我は帝国学園の教授。ただのアンリじゃ」


なるほど。

エルミナさんも言っていた。

爵位を継げない子は平民になるらしい。

だから頑張って就職して働かないといけない、と。

それで帝国学園の教師かぁ。


うんうん。


納得してしまった。

それに今更、

アンリ子爵令嬢様とか。

アンリ姫様とか。

そんな呼び方をするのは気恥ずかしい。

少し寂しくもあるしな。


『頭の中、花畑だけでなく、お菓子の家も建っていそうですね』


失礼な。

別にいいじゃないですか。

それにお菓子の家って、最近お菓子も作ってますから。

むしろちょうどいいんです。


「話が逸れたが、貴族には貴族じゃ」

「母上の知り合いが力を貸してくれる事になってな」

「ここに通うと言っておるのじゃ」

「隠居の身とはいえ貴族じゃから、当然お付きの者も来る」


えっ。

それはありがたいような。

迷惑なような。


「すまんの」

「トラブル防止のための苦肉の策じゃ」

「隠居しておるから、そこまで気にせんでも……」


そこでアンリ先生は、疲れ切った顔で深くため息をついた。

昨日から色々あったし。

余程疲れているのだろう。


「お疲れのようですね」

「喋ってばかりですし、紅茶でも淹れて休憩しましょう」


そう言って紅茶の用意をする為に席を立つ。

その俺を、


“それは違います”


とでも言いたそうな目で、ミレディさんが見ていた気がした。

気のせいだろう。

多分。


キッチンで紅茶を用意して戻ると、今度は鈴木さんから文句が飛んできた。


「おっさん、こっちのお風呂場は立派なスーパー銭湯みたいじゃん」

「昨日入った、日本の高級リゾートホテルみたいなサロンがいい」


何を言っているんだ。

そんな若いうちから贅沢を覚えたらいけません。

俺なんて、本格的なお寿司屋さんに行ったのは社会人になってからだぞ。

しかも上司のおごりで。

それなのに最近の子は、小さい頃から普通に行くとか。


「それいつの話?」

「昭和ってもう歴史の授業でしか出てこないじゃん」


うう。

これがジェネレーションギャップという奴か。


だが駄目なものは駄目。

あっちは従業員用。

ヘイムファミリー用なのだ。

ほら、松平君も何か言ってあげて。


「えっ、僕でござるか」


松平君が困ったように頬を掻く。


「確かに、さっき見たお風呂場も脱衣所も、

 実家の銭湯より立派でござるよ」

ほう。

家は銭湯だったのか。

懐かしいなぁ。


「男と女じゃ違うのよ」

「差別は駄目でござるよ、鈴木氏」


うん。

もう、うるさいから放っておこう。

それにな。

あっちは一応、俺の家なんだぞ。

プライベート空間なんだ。

見知らぬ学生に勝手に歩き回らせる訳にはいかないだろう。

うちにはリナちゃんやソレイアちゃんもいる。

その為に、不便だけど渡り廊下で仕切ったんだ。

そう言うと、天宮さんが鈴木さんの袖を引き、静かに顔を横へ振った。

鈴木さんは少し不満そうだったが、

しぶしぶ納得してくれた。


昨日の子達に比べれば、本当にええ子らやわ。


そして皆の分の紅茶を用意する。

一息つけるかと思ったが、

アンリ先生がまた頭を抱えた。


「そうじゃ……この件もあったんじゃ」


そう言ってまた悩み始める。

やがて、重い口を開いた。


「店主」

「さっきの引退した貴族の件じゃが」

「先ほども言った通り、母上の学友でのう」

「今度来る時、一緒に来るそうじゃ」


一緒に来るって。

確かお付きの人でしたよね。

ミレディさんが大きなため息をつき、天を仰いだ。


「違う」

「店に行く事を楽しそうに話す二人に、母上がふてくされてのう」

「一度一緒に来るそうじゃ」


その瞬間。

生徒諸君の動きが止まった。

斎藤君なんて、手が震えて紅茶がこぼれそうになっている。


まあ、そうだよな。

アンリ先生も、この年になって職場というか

半分プライベートな場所に親が来るなんて嫌だよね。


授業参観じゃあるまいし。


恥ずかしいよね。


アンリ先生が本当に嫌そうな顔をしているから、

ほら、生徒諸君まで固まっているじゃないですか。


でも、これで原因が分かりました。

お母さんの件で疲れているんですね。


ささ。

俺の一番スキルレベルが高い紅茶をもう一杯飲んでリラックスしましょう。

まだスキルに振り回されてはいるけど、

だいぶ自分の感覚で淹れられるようになってきたんですよ。

そう言って、新しく紅茶を淹れる。


アンリ先生は湯気の立つカップを見つめ、ぽつりと呟いた。


「これじゃ……母上も、ばあやも、あの二人も……」

「店主」

「そちの淹れる紅茶を確かめに来るんじゃぞ」


えっ。

そんな大げさな事なんですか。

確かに貴族の方々に紅茶を淹れるのは緊張しますけど。

ここは再開発地区の下町の店ですよ。

一体何を確かめに来るんです。


アンリ先生はソファにもたれ、片手で顔を覆った。


「店主よ」

「まだ話が沢山あるが……もう我は疲れた」

「少し休ませてくれ」


そして動かなくなった。



沈黙に耐えられない。

というか、どうしたらいいのか分からない。

そこで俺は、近くにいた冨樫さんへ声をかけた。


「そうだ、冨樫さん」

「パティシエキッチンでも見学するか」

「ありがとうございます」


どうやら来てくれるようだ。

他の生徒諸君はどうするのかと思った、その時。


「私、エマお姉様にお会いしたいです」


お・ね・え・さ・ま。


ですと。

天宮さん。

何か変な物でも食べました?

あの邪――。


「旦那様、お呼びでしょうか」


出たな。

有能で完璧だけど、サボり魔の腹ペコ星人め。


「エマお姉様、会いたかったです」


天宮さんが、完全に乙女モードでエマさんの前へ進む。


「すみません、エマお姉様」

「まだ正式に許可が下りておらず……」

「でも許可が下りたら、学業があるのでフルタイムは無理ですけど」

「放課後や休みの日にはここに通って、お手伝いします」

「そして、エマお姉様みたいになりたいんです」


どうやら《狂戦士》の件でエマさんに助けてもらい、

恩を感じたというか、憧れているらしい。

それ、苦しい時に助けてくれた王子様みたいに見えているだけだよね。

人生、早まってはいけないと思うよ、俺は。


「いいでしょう」


エマさんは、にっこりと微笑む。


「しかし良いのですか」

「ここは給料が安いですし、旦那様は変態で何をされるか分かりませんよ」


おいおい。

確かに給料は安いかもしれないが、

変態じゃないし、何もしてないでしょう。


「まさか、エマお姉様」


天宮さんの目が鋭くなる。


「何かされているのですか」


ねぇ。

もう《狂戦士》じゃないんだよね。

怖いんですけど。


「大丈夫ですよ。ヘタレですから何もされていません」

「でも、いやらしい目とかで……ほら、斎藤君みたいに」

「ふうっ」


エマさんは芝居がかった仕草で髪を払う。


「美しいとは罪ですね」


だから、そんな事してないって。

見ろ。

女性陣の目が怖い。


もうやだ。

天宮さんはここでエマさんとお話でもしていなさい。


残りは――。


「私、柑奈を一人にしたらセクハラされそうだから付いて行く」


もうやだ。


男性陣は何々。

昨日の襲撃を防いでくれた人達に会って謝りたい?

いいけど、土下座は駄目だからね。

本当に迷惑だから。

飲兵衛親方達は、多分この時間なら“リアカーMr-Ⅱver4.9”の車庫か、

ムラマサ親方の所にいると思う。

行くなら表からな。

裏を通るなよ。

ベルンさんは店の方にいるはずだ。


そう言いながら、店まで一緒に向かう。


「ごめんね、ハンスさん」

「洗い物、一人で任せて」


ハンスさんは笑って手を挙げてくれる。

他のみんなも掃除などをしてくれていた。

本当にいい人達ばかりだ。


そうだ。

今ここにいる人だけにでも先に伝えておかないと。

帝国学園の先生と、引退した貴族が二名。

転移勇者の監視と指導に来る事。

あと、一緒にアンリ先生のお母さんも来る事を。


準備もあるからな。

引退したとはいえ貴族が来るんだ。

失礼があったら面倒だから。


その後。


ハンスさんは大量に皿を落とした。

木の皿で助かった。


セバスさんはグラスを拭きながら固まった。

そんなに強く拭くと割れちゃいますよ。


アンナさんは膝から崩れ落ち、白目をむいた。

まずいよ。

気道確保。

師匠、応急処置魔術ないの。


ベルンさんは口を開けたまま呆然としている。

男子生徒達が困っているよ。


ブラスさんは相変わらずの笑顔だった。

笑ってないで、アンナさんの手当てを。


なぜか一瞬で阿鼻叫喚となってしまった。


Why?


師匠のニューワールド講座㊴

なぜ転移勇者は野放しなのか編


「師匠」

『なんですか』

「アステリア帝国って」

「騎士団もあるし」

「治安維持にも力を入れてますよね」

『そうですね』

「なのに」

「今回の転移勇者達って」

「野放しというか……」

「他の貴族とかに取り込まれてますよね?」

「可哀想だけど」

「もっと厳しく監視したり」

「帝国が保護したりしないんですか?」

『ふむ』

『良い所に気付きましたね』

『そこが』


『今のアステリア帝国の弱点です』

『以前から何度か話している』

『第一皇子の婚約破棄騒動』

『覚えていますか?』

「ざまあ案件のやつ」

『そうです』

『あの事件によって』

『帝国』

『特に帝室は』

『多くの貴族達から信用を失いました』

「そんなに?」

『そんなにです』

『あれ一件だけで』

『お手紙将軍にとっては会心の一撃でした』

「うわぁ……」


『アステリア帝国は建国から約百年』

『ですが』

『長命種も多い世界です』

『当時を知る者がまだ生きています』

『つまり』

『表向きはまとまっていても』

『内側ではまだ完全にはまとまっていないのです』

『六大神を始め』

『多くの神々は』

『必要以上に地上へ干渉しません』

『その隙を突いて』

『邪神やトリックスター達が』

『好き放題やっているのです』

「またお前らか」

『混沌が大好物ですからね』


『煽る』

『争わせる』

『対立させる』


『実に楽しそうです』

「迷惑すぎる」

『帝国も手をこまねいている訳ではありません』


『帝国学園』

『騎士団』

『行政制度』


『色々整備しています』

『ですが』

『百年程度では足りません』

『帝国はまだ若い国なのです』

『しかも』

『ようやく落ち着き始めた所へ』

『転生者や転移者が現れます』

『しかも毎回』

『絶妙なタイミングで』

「嫌な偶然だなぁ」

『偶然でしょうかねぇ』

『第一皇子の件も』

『転生者が関わっていますし』

『今回もそうです』


「つまり」

「今の帝国って結構危ない?」

『正直に言えば』

『危ういですね』

『もし今』

『大規模な侵略が起きれば』

『かなり危険です』

「そこまで?」

『他国は』

『転生者や転移者を利用して』

『軍事力を強化しています』

『邪神やトリックスターも』

『積極的に支援しています』

『戦争の火種を育てている訳です』

「じゃあ帝国も同じ事をすれば」

『駄目です』

『それをやった結果が』

『二〇〇年戦争です』

『転移勇者を兵器として扱う』

『転生者を権力争いに利用する』

『それを始めたら』

『帝国は帝国ではなくなります』

『ですが』

『帝室内部ですら意見が割れています』

『後継者争いがありますからね』

『帝国強化の為に使うべきだ』

『いや自派閥の為に確保すべきだ』

『そんな連中が暗躍しています』

「うわぁ……」


『中央政府も』

『取り込みたいのですよ』

『本当は』

『保護もしたい』

『ですが』

『誰が敵で』

『誰が味方か』

『分からなくなり始めています』

『転移勇者達も被害者です』

『望んで来た訳ではありません』

『だからこそ』

『強引に拘束もできない』

『同情する者も多い』

『結果として』

『帝室』

『貴族』

『神殿』

『各派閥が』

『我先に取り込もうとしています』

「なんか詰んでない?」

『まだ詰んではいません』

『ですが』

『日に日に状況は悪化しています』

『どれだけ積み上げても』

『邪神やトリックスターが』

『盤面をひっくり返していきますからね』


『だから今』

『帝国政府が欲しているのは』

『時間です』

『そして』

『民をまとめる象徴です』

『二〇〇年戦争の英雄達』

『騎士団』

『それだけでは足りない』

『もっと重みがあり』

『即効性があり』

『帝国全体を一つにできる何か』

『それを探しているのですよ』

「大変なんだなぁ帝国も」

『ええ』

『そして大抵そういう時に』

『厄介事の中心には』

『転生者・転移者がいるのです』

「なんか俺まで嫌な予感してきた」

『気のせいではありませんね』

『非常に嫌な予感がします』

「やめて!?」




作者メモ

※本編のおまけ設定です。読み飛ばしても問題ありません。

※本編とは時空が違います。

※本編の都合により、設定が変わる事があります。


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