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情報整理

クロエと合流したソラはそのまま宿をとり、宿の部屋へと入っていきそこで情報供給を行い始める。


「さて、俺の集めてきた情報はこんな感じだ」


そう言ってソラは持ち帰った情報をスクリーンで提示する。するとクロエは少し驚いたような顔をしてその情報を見つめていく。


「えーすっご。驚きなんだけど。あたしと同じじゃない?」


そう言ってクロエも同じ資料を提示してくる。ソラも驚きの表情を浮かべ、まさか同じ情報屋に辿り着いていたことに驚く。


「まじか。もしかしてお前も”導きの星”を利用してんのか」


「”導きの星”?あぁリンファのことね。あの子の情報って信用できるものばかりだからねぇ」


「このままだと仕入れた情報は同じだなぁ」


まぁいいやと言ってソラとクロエはとりあえず仕入れてきた情報の精査を始める。


「今回ので手に入れたのはイレニアの論文に現在の動向、”黄金猿(こがねざる)”の本拠地の地形情報、経済状況に人員。あとは”灰狼会(はいろうかい)”の動向か」


イレニアの論文には”黄金猿(こがねざる)”の襲撃前にすでに目を通していたためそれをスルーし、”黄金猿(こがねざる)”の拠点情報に目を通していく。


「和式建築か。ここらへんじゃ珍しいよな」


「そだね。和式建築は基本的に東方の島国の建築様式だからね。この様式だと気が基本的に使われてて廊下とかは歩くと軋むんだよね。だからあんまり隠密が向かないんだ」


「屋根裏があったろ。そっちから入り込むのはどうなんだ?」


「屋根裏なら入り込めるよ。実際今も入り込んでもらってるし」


「仕事が速いな。そういや援軍が来るって言ってたのは隠密部隊が援軍なのか?」


ソラが尋ねるとクロエは今回の援軍について説明してくれる。


前回の作戦を援護していた雫率いる銃撃魔導部隊と呼ばれる部隊が10人。全員が銃という装備を身に着けており、魔力を介さない攻撃も可能とした遠距離攻撃部隊である。


情報管制官もこの街に入り込み、一緒に隠密衆もこの街に来て情報収集にあたっている。隠密活動と暗殺に重きを置いた部隊で敵に見つからずに現在も情報を集めているのだそうだ。


そしてクロエが率いている実働部隊も街近辺に配置されており、戦闘とともに突入する手はずになっているとのことである。その数は20人。


「戦闘団は30人くらいか。それで相手は?」


「護衛が100人常駐してるね。それに”灰狼会(はいろうかい)”からの援軍が100人。それにこの国の騎士団が500人は集まっているらしいよ」


「おいおいそんなに人数差があるのか。どうするつもりだ?」


その問いかけにクロエは悪そうな笑みを浮かべ、重そうなケースを取り出す。中には何枚もの紙幣が入っており、中には100万ほどの大金が入っていた。


「いやな予感がするな」


「正面突破して囮になってほしいんだよね」


「ちっ、やっぱそういうことか。俺の昔のことを聞いたうえでのお願いだよな?」


ソラは昔に依頼で戦争に参加したことがあった。


傭兵として参加し傭兵部隊を編成され、その中で戦果を挙げようと戦場を駆けまわっていた。


その際に自軍が敵軍の軍略にまんまと嵌まり。壊滅の危機に陥ってしまったのだ。その際に傭兵たちは総大将が無事に撤退できるように殿をするように命じられたのだ。


金だけの関係のため傭兵たちは反対したが、敵軍はそんな事情を知る由もなく総大将目掛けて突撃してくる。


傭兵たちも自分の命を守るために反撃を行い、その場にとどまって戦うことになったのだ。


その際にソラは相手の陣地に一人で突貫し、逆に相手の指揮官を討ち取ってしまう偉業を成し遂げたのだ。


その際の戦いざまから雷を纏う鬼ということで今の異名である≪雷鬼(オルコ・トゥオーノ)≫が生まれたのだ。


そのことを知っていたからこそクロエはソラが一対多数の戦闘が行えると判断し、お願いしたのである。


「だが囮になったとして俺の回収はどうする?目標の確保か殺害ができたとしても俺は囲まれたままだぞ?」


「そこで正規の小王国軍の出番ってわけ。防衛大臣の派閥ではなくて今の現国王の近衛騎士団が動いてる。ここであたしたちが騒ぎを起こせば突入する手はずにもなってるよ」


「援軍いるんじゃねぇか。まぁ流石に少なすぎるか」


「援護は雫たちがしてくれるから問題ないと思うけどね。あたしは隠密衆を引き連れて本拠地に侵入。”黄金猿(こがねざる)”の幹部の排除とイレニアの確保を目指す感じかな?」


なるほどとソラは納得の声を漏らし、机の上に広げた地図に視線を戻す。


地図上には基本的な”黄金猿(こがねざる)”の人員の配備と騎士団の位置などの大まかな位置が記載されたこの街全体の地図が浮かび上がっていた。


「リアルタイムでこの人員動いてるんだがどうなってんだこれ」


「うちの子たちが対象となる人物にこれ打ち込んでるの」


そう言ってクロエは小さな針の様なものを取り出す。かなり小さいもので、何かに刺さっていても気が付かなさそうなほどである。


「これはうちで開発した超小型発信針っていってね。この針に特殊な魔力が刻み込まれててそれをうちの情報官が受け取ることでその魔力の位置を特定してマップに落とし込んでるの。どう?すごいっしょ」


「やばすぎだろ。配置が筒抜けなのは普通に相手がわからしたら致命的だぞ」


(本当にやばいなこの魔道具。こんなの護衛依頼とか受けてこいつらから護衛対象を守るってなった時めちゃくちゃ大変じゃねぇか)


「てかこんなにいろいろ情報出してるがいいのか?俺は傭兵であってお前らの組織の人間じゃないんだぞ?」


「平気平気!問題ないよ!どうせ覚えてられないし!」


「そんなに俺が馬鹿だと思ってんのか?」


「ばーかばーか」


青筋を立てながらソラが問い返し、クロエはそれに対して煽り返してくる。


ソラはイラつきのまま素早い動作で懐から短剣を抜き放ちクロエに投げる。クロエはそれを上空に弾き、短剣を天井に突き刺す。


「いやあぶな!?殺す気じゃん!」


「その程度で死ぬわけねぇだろ。それで結構日はいつにするんだ?」


「三日後の夜だね。それまではもう少し情報収集かな」


「了解。さて、んじゃそろそろ飯でも食うか」


ソラは立ち上がって壁に掛けてあったコートを羽織り、部屋の外へ出る。クロエも服を着替え一緒に外に出ると、そのままソラにいろいろと教えていた店主の店へと二人は歩いていくのだった。












































宿のテラス席でソラは一人で椅子に座り、酒を飲みながら夜の街の景色を眺めていた。


そんなソラの席に一人の少女が腰かける。その存在は半透明の存在でソラにしか見えていないボルテであった。


(「おいおいクロエもいるのに出てくるのか?」)


(『どうせまだ見えないよ。僕のことを認識できるのは君だけ』)


そう言ってボルテはソラに指をさす。


現在二人は頭の中で思考するだけで会話をしていた。傍から見ればソラは一人で月見酒を楽しんでいるように見えたことだろう。


(「それで?今日はどうしたんだ?」)


(『なんか感じちゃったんだよね。同族っぽい気配』)


ソラはその言葉に口に含んでいた酒を吹き出しそうになる。なんとかそうなるのを防ぎ、思考を続ける。


(「おいおいどういうことだ!?同族の気配だと!?お前みたいなやつとやり合うなら俺は逃げるぞ」)


(『ステイステイ。同族()()()ね。多分前の施設にいたやつの完成品に近い奴じゃないかな?』)


(「そんなのがこの街に潜んでるってことか。その気配はどこらへんだ?」)


ボルテは指をさすと、その先には和式建築の”黄金猿(こがねざる)”の拠点があった。


(「やっぱあそこか」)


(『多分地下にいると思うんだけどなーんか変なんだよね。気配が変化し続けてるんだよ。それも急速に。まるで生まれ変わりを短時間で繰り返してるみたいな』)


ソラはボルテの言葉を聞いてそれがどういう状態なのかを考える。そしてリンファが最後に告げた言葉を思い出す。


(「時の祭壇」)


(『え?ソラ知ってるの?僕もそれだと思ってたんだよね』)


(「いや、今思い出してそう言っただけなんだが・・・知ってるのか?」)


ボルテは時の祭壇について説明を始める。


時の祭壇とは遥か昔に作られた”古代兵器(アーティファクト)”のことで時間を操るとされる装置の事である。


装置の置かれた場所を中心に半径100Mほどを範囲にして時間を操ることができる空間を作り出すのだ。時間を操作することでその空間内の時間の進みを早くすることで、その中のものの成長などを加速させることができるのだ。


そんなものが”黄金猿(こがねざる)”に置かれているのではないかとボルテは予想したのだ。


(『まさかそんなものまで持ち出されてるなんてね。今回の相手はかなり難敵みたいだね』)


(「”古代兵器(アーティファクト)”にボルテの同族の気配、あとはこのリストの傭兵や敵幹部クラスの厄介さってところだな」)


ソラは目の前にいくつものスクリーンを浮かび上がらせ、その中にいろんな人間の情報が浮かび上がっていく。


その中には過去ソラと一緒に任務をこなしたり、敵として戦った相手が何人か存在していた。


中でも二人組の傭兵が相手側にいると知ってソラは今回の作戦がかなりしんどいものになると予想できていた。


未来のやばさを想像しつつ喉に酒を流し込むと、空になったグラスを机の上に置き立ち上がる。


「まぁどうにかなるか」


『ま、本当にやばい時は心の中に問いかけてね。今だったら・・・5分、かな?それ以上は僕がしんどいからだめだよ』


「理解したよ」


腕を振るうことでその場に展開していたスクリーンがすべて消え去り、ソラはその場を後にする。ボルテは小さく頑張れと声をかけ、その場から霧のように消えていくのだった。







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