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依頼完了と任務依頼


ソラは任務を終えると研究所の外へと出た。外へ出るとそこは山の中で、入り口部分は山の崖部分を改造して造られているようであった。目の前には高い木々が聳え立ち、それらの木々によって入り口部分は隠れるようになっていたのだろう。


しかしソラが出てきた研究所の入り口部分周辺は焦げた地面が残されており、周囲にあったであろう木々は全て焼け落ちていた。これはソラがやったことではなかったが、多分依頼していた組織か今回の研究所の組織が送り込んできた部隊によるものだろうと推測していた。


元々は研究所の入り口も隠れていたため、それを炙り出そうとした結果なのだろう。ソラはそんな跡地を後にし、森の中へと入っていく。いくらか進んだ後、大きな大木の傍らにサーフボードの様なものが置かれていた。


ソラはそれに触れると、ボード全体にまるで血管の様な紋様が走る。するとボードはひとりでに動き出し、ソラの前に浮かび上がる。


魔導具”マジックサーファ”と呼ばれるものだ。サーフィンという波に乗るスポーツから発想が進化したもので、海の波に乗るのではなく魔力そのものに乗れればそれは新しい移動方法の確立になるのではないだろうか?そういう発想のもととある魔導学者によって発明されたものである。


魔力に乗るのではなく最終的には風の魔術によって浮かばせることで解決し、それをボード全体に刻むことで人を飛ばすことを可能にしていた。後部には後方に風を噴出する魔術刻印が刻まれている。それによって空中に浮かび、移動することが可能なのだ。しかしあまりにも高すぎる高度は走れず、せいぜいが地上から10mほどが限界である。

それでも地上の舗装されていない道であってもスムーズに進むことができるため、移動の多い職の者は重宝している魔導具なのである。


ソラはそれの上に乗り、ボードの留め具を足に装着して落下を防止すると、魔力を流し込むことで風の魔術を発動させ移動を開始する。時速50kmほどの速度で移動を開始したソラはそのまま一番近い街に向かう。


一時間ほどで到着したソラは門の前で地面に降り立ち、門番に挨拶をしながら身分証を差し出す。


「お疲れっす」


「はいお疲れ様。身分証を頂きますね。・・・はい、確認しました。傭兵の方でしたか。どうぞお入りください」


そう言って一礼した門番にありがとうとお礼を言ってソラは門の内側へと入っていく。ソラはそのまま依頼者に連絡をし、端末を操作しつつ自分の泊まっている宿へと向かう。












宿へついたソラは自分の部屋で備え付けのソファーに座り込み、目の前に端末のモニターをいくつも表示させる。そこには今日行ってきた研究者たちのアジトで手に入れた情報や写真が表示される。


ソラの背後にまた半透明の幼女が現れると、後ろからそれらの画面を覗き込む。


『あれ?なんでまた開いてみてるのこれ?』


「いや、ここまでの研究設備をそろえている組織が気になってな。この国は小国ではあるが騎士団は優秀だ。昔にこういった闇組織によって国を荒らされてからはこういった僻地はかなり監視の目が厳しいはずなんだがな」


『へぇ?でもそんなの見て何がわかるの?』


そう言われてソラはいくつもの画像を空中に表示していく。ソラは端末を操作していき自動的にソラがおかしいと感じるようなマークや人の名前が刻まれているものを表示するように設定する。すると画像がすぐさま動き始め、自動的にそういったマークや名前を表示させていき始める。


「優秀な研究者ってのは自分の作品に何らかのマークを残すものだ。自分が作成したってことがわかるような、な。これだけの研究を行えるんだから優秀な証拠だ。そういうやつほど・・・ほらな、こういう風に自分の作品だとわかるようにするもんだ」


そう言って写真にはいくつかの名前が表示されることとなった。その写真には”I・D・S”という文字が記載されていた。


『I・D・S?名前のイニシャルってことかな?』


「一昔前ならこの名前を調べるのはめちゃくちゃ大変だったんだろうけどな。今は情報社会だ。ネットで調べたいものを入力したら掲示されているものを検索できる時代だ。このネットにこのイニシャルを入力すれば・・・あん?」


『すごいね。めちゃくちゃいろんな情報出てくるよ?』


調べたイニシャルを見て検索欄に出てきたものはいろんなものが出てきていた。アニメや会社、果ては有名な冒険者の名前も出てきていた。中には会社の募集要項すらもヒットしていた。


「ちっ!んだこの量!?」


『あれあれ?もしかして余裕で調べれると思ってたんだ?ソラはまだまだなんだねー』


「煽ってんなクソガキが!つか検索結果2282件だと!?多すぎだろ!!」


『まぁでもこれってわざとなんじゃない?』


幼女の言葉にソラも悪態を吐きながら同意する。


「面倒だが一つの防衛策だな。だがここまでの規模で防衛策を展開できるのは逆に怪しいな。かなり力を持っている奴が背後にいるんだろう。これは情報屋に調べてもらうしかないな」


『およ?メッセ来てるよ?』


幼女に言われてソラも送られてきたメッセージに気が付く。そこには依頼者からの返信が記載されており、内容には10分後にここに来てほしいと場所が入力されたものが送られてきていた。


ソラはそれをみると画面をすべて閉じ、すぐに部屋のクローゼットを開いて小奇麗な服装に着替え始める。


「それじゃ依頼者に会ってくるよ。お前はどうする?」


『僕は適当にここで過ごしておくよ』


そう言って幼女はベッドに寝転がり、予備の端末を操作し始めネットを見始める。どうやら気になっている動画を見始めたらしくて足をぶらぶらしながら動画を眺め始める姿を見ていると、まるで年相応の少女のようだった。


ソラはそれをほほえましそうに眺めると部屋を出て行く。そのまま五分もしないうちに目的の場所に到着したソラは喫茶店の中に入る。店員に説明するとすでに依頼者は待っているらしく、奥の個室へと案内される。


個室に入るとすでに紅茶をもらっていたフードを被った依頼者が座っていた。ソラは依頼者の前に座りコーヒーを一つ頼むと、依頼者のほうに向きなおる。


「ご苦労様。それで?もう依頼は終わったの?」


「あぁ。依頼は完了だ。生存者はなし。研究所の資料はこのチップに入ってる」


そう言ってソラはチップを机の上に置く。依頼者はそのチップに手を伸ばすが、ソラはそれを遮るようにして手を被せる。それにどういうつもりだと視線を投げかける依頼者に、ソラは口を開く。


「まずは報酬が先だ。さすがに金額が金額だからな。俺はあんたのことを何も知らないし信頼も信用もない。だからこそ金を先に払って俺にあんたを信用させてくれ」


「なるほどね。ならまずは金額を先に払ってあげる」


そう言って依頼者は手を振るう。すると振るった手の軌跡に別空間の入り口が開きそこに手を入れた依頼者はそこから金銭を抜き取る。袋に入った金銭をそのままソラに手渡すと、ソラはその場で金額を数え始める。


数え終えたソラは笑みを浮かべて依頼者のほうに向きなおり、もう一度チップを差し出す。依頼者はそれを受け取ると、端末にそのチップを挿入し、内容を確認し始める。


数分後確認を終えた依頼者はコーヒーに口をつけているソラに向き直る。


「確認したよ、ありがとうね。にしてもここまで仕事が早いのはやっぱり”雷鬼(オルコ・トゥオーノ)”の為せる業なわけ?」


「さてな。だが正直今回の研究をしていた奴らには興味があるな」


「へぇ?なに、複製したい人でもいるの?」


「馬鹿言うな、そういうんじゃねぇよ。ただこの研究を続けれていたことに驚いてるのさ。この研究を進めるには莫大な資産と膨大な検体が必要のはずだ。そんな研究をここまでの成果を出し、その上自分たちの不始末がなければ外部に漏れる心配すらなかった。正直言うと恐ろしい」


ソラはすでにAランクという魔物の危険度ランクで上位に位置付けされている魔物を複製できていることに危機感を感じていた。一部の素材さえあれば身体だけではなく本能まで再現できていたのだ。外だけではなく内側の部分まで再現できていることにソラは特に危機感を感じていたのだ。


「ここまでの研究施設を隠し通せる組織がいるのか?」


「あは!すごいね。どこまで調べたのこの短時間で?正直調べさせないために速い合流したのに。やっぱり名持の傭兵は優秀すぎるよねぇ。それで?どこまで調べれたの?」


「何も調べれてはないさ。名前のイニシャルとこの国の上層部が絡んでるということぐらいか」


「あはは!本当にすごいね!じゃあそこまでたどり着けたんなら次は情報屋に行って情報を仕入れようとしてるわけだ。でも情報を仕入れるのにお金かかるでしょ。あたしが教えてあげるよ。イニシャル”I・D・S”。これはイレニア=ドラグ=ストラリアのイニシャルだよ。主に魔物生態学及び人種生態学に精通してる研究者で今はとある組織に雇われてるよ。組織の名前は”黄金猿(こがねざる)”。ここら辺の東部地域を根城にしている裏組織でこの国の防衛大臣とも癒着してる組織なんだよね。だからこそそこら辺の警備に物申せるんだよね」


「詳しいな。それになぜ言う?いや待て、待つんだ。俺は嫌だぞ!?」


「すっご、危機意識ってやつだ?でも残念うちからの正式な依頼だよ」


そう言って依頼書を机の上に差し出したフードの存在。ソラは嫌そうにそれを受け取り、中を見る。その中にはびっしりと今回の依頼内容とそれの報酬について記載されていた。


内容は簡単で”黄金猿(こがねざる)”の拠点をいくつか潰してほしいという依頼であった。その拠点の位置とそれに対する報酬が記載されており、いつ拠点を潰してほしいかまで記載されていた。


ソラはそれを見て空を見上げ、そしてコーヒーを震える手で飲み始めると、震える手でコーヒーカップを鳴らしながら机の上に置く。


「おい最後のほう脅し文句も書いてあるぞ。なんか俺の口座の番号まで記載されてるんだが?」


「うちには優秀な情報担当がいます!だから個人の銀行口座なんて余裕で特定できちゃうんだよね」


銀行の口座はかなりのセキュリティの強い銀行の口座を使用していた。冒険者協会という組織が出資している銀行で一番有名な銀行であった。そんな銀行であってもなぜか目の前の少女は特定し、目の前に掲示してきたのだ。


やろうと思えば口座に振り込まれている金全てを引き出すこともできたであろう。そんなことをせずに脅し文句に使ってきたということは、自分のことをしっかりとこき使うつもりなのだろうと判断したソラはため息を溢しつつ、その依頼書を懐にしまい込む。


「ちっ、めんどくせぇ依頼者だ。初めてだよここまで追い詰めてくる依頼者はよ。こんなに脅されて俺ら傭兵が素直に頷くと思ってんのか?」


「頷くでしょ?全財産かかってるんだし」


「はいすいません。やらせてください」


そう言ってソラは頭を下げる。依頼者であるフードの人物はけらけら笑いながらそれを見て喜ぶ。ソラはイラっとしながらも頭を上げると、そこにはフードをとって仮面をつけた女性が座っていた。

口元が開いているタイプの仮面で目の下の部分には涙のマークが刻まれ悪魔のしっぽの様なものも記載されている。


それをみたソラは少し驚き、そして尋ねる。


「ちょっと待て。その仮面の紋様もしかして・・・”悪魔の星(エトワール・ノワール)”か!?」


「えまって知ってんのウケるんだけど。どこで知ったの?」


一瞬真顔に戻った依頼者の女はすっと立ち上がり腰から短剣を抜き放つとその切っ先をソラに向ける。


ソラはやべっという顔をしてどうにか言い訳を探そうとするが、目の前の存在を見て言い訳できないと察したソラは素直に知った訳を話し始める。


「降参だ。話すよ。まぁ知ったのはたまたまなんだが昔ちょっと依頼中に事故ってな。その時に依頼対象のブッキングがあってな、その時に戦った奴が名乗っていったんだよな」


「あ!あの時のガキか!よくもあの時はあたしの依頼対象殺したな!」


「いやお前かよ!つかあの後襲ってきてクソ無駄な戦闘させただろうが!!めちゃくちゃしんどかったんだぞあの戦闘!」


「うっさい!あたしなんか組織戻ってお仕置きされたんだからね!?しかもあんときあんたのこと殺せてなかったからそれでも怒られたし!」


「いや知らねぇよ!?おいやめろ短剣向けんな!悪かったって!やめてくれコーヒーがこぼれちまう!」


ソラのその情けない姿を見て溜飲が下りた女性は息を大きく吐いて短剣を仕舞う。


「まぁいいや。今回の”黄金猿(こがねざる)”の拠点襲撃の件だけどあたしも一緒に行くから。もともとあたしの任務でもあったからねー」


「だったら一人でいいんじゃないのか。あの時から5年も経ってる。あの時よりも強くなってるなら想像したくもねぇ」


「お互い様なんだけどね。てか資料見てた時に見たんだけどフラッシュウルフの倒し方えぐくない?殴りつつ電撃を体内に流し込みまくって倒したって脳筋すぎでしょ」


「るせぇ。あいつを倒すのはそれが一番早いんだよ。基本的に異常なまでの素早さなんだ。攻撃時に奴の速度を阻害する何かをしなきゃジリ貧で負けちまう。だから体内に電流ぶち込むのが一番なんだ。そういうお前はどうやって倒すんだよ」


「闇に沈めてハメ殺し」


「クソ脳筋」


「はぁ????あんたよりスマートな殺し方ですぅ!!」


幼稚なやり取りをしながら二人は言い争いを続けていた。


そんなことしているとは知らない半透明の幼女は未だに宿で端末の画面で動画を見ているのだった。











































その夜ソラは宿に戻り、自身の贔屓にしている情報屋から届いた情報をウィンドウに表示して眺めていた。


そこにはイレニア=ドラグ=ストラリアについての情報と”黄金猿(こがねざる)”の情報、”悪魔の星(エトワール・ノワール)”の情報が記載されていた。


イレニアについては研究していたものについての情報がびっしりと記載されており、最近の動向についても事細かに記載されていた。特に研究していた内容についてはとても細かく記載されており、何を専攻していたのかがよくわかるものだった。

送られてきた資料の中には論文も含まれており、ソラはそれを読み進めていく。


その中には生物の中には設計図となる要素が含まれており、その要素を解析していけば身体の一部だけですべての身体情報を呼び起こすことができるとされていた。しかしその設計図を解析、または取り出す方法が未だに確立されておらず、夢の論文とされたと書かれていた。


そんな論文を同じように半透明の幼女が後ろから覗き込んでいた。


『すごいねこの子。こんなにも人体構造について熟知してるなんて・・・大分やってるね』


「あん?どういうことだボルテ?」


ボルテと呼ばれた半透明の幼女は論文を指さしながら答える。


『多分だけど何人もばらしてるよこの子。じゃないとここまで人の稼働限界や内部構造について理解できないと思う。もしかしてこの人に出資してる人たち人材派遣か奴隷商売でもしてるんじゃない?どうでもいい人間使って実験してると思うよ』


「だからここまで詳しいってことか?面倒な出資元居るなぁ。んで予想通り”黄金猿(こがねざる)”は奴隷売買を裏でやってるわけか。それで金銭も手に入れつつ実験体も手に入れてるわけか」


『”黄金猿(こがねざる)”かぁ。今度ここに殴り込みに行くわけ?』


「まぁな。無理やり依頼ねじ込まれたわけだが・・・だがまぁ依頼は依頼だ。受けたからにはしっかりこなすさ」


『なるほどねー。で?この”悪魔の星(エトワール・ノワール)”は何で調べたの?』


「まぁ気になったしな。あとは依頼主だったんだが前々からずっと調べててようやく進展があったんだ。見ろよこれ、構成員だがこんな奴らがいやがる」


そう言ってソラは情報屋からの情報を夜通しで眺めていたのだった。










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