表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
47/52

舐めるなよ!

「雷魔法【大】暴雷ッ!」


 前方に六つの閃光が走る。それはザカライアの脇をすり抜けて後方の壁を穿った。ザカライアは一瞬だけぴくりと眉を吊り上げたが、すぐに俺の懐に踏み込んで剣を振るう。白刃が俺の左肩を削いだ。痛みに顔が歪む。


「っ……!」

「お粗末だな。代償は小さくないぞ」


 この男は少しでも隙を見せれば容赦なく攻め立ててくる。失敗が許される回数は多くない。有効そうな手立てを考えて、次の手を打たなければ。当たらなかった場合のリスクを文字通り痛感したが、後悔している暇はなさそうだ。


「考えるのは良いことだが、対応しきれるかな?」

「くっ……!」


 そして隙はすでに、彼の手によって俺の肩に刻まれてしまった。防ぐのも手いっぱいだ。だが一つ思いついた。狙いをつけずに当てる方法。彼が絶対にいる居場所は、剣の範囲内。


「雷魔法【大】爆雷ッ!」


 鍔迫り合いの状態から、俺は魔法を発動した。これまでのように手先で狙いをつけず、全身から放電する。それは間合いにいたザカライアを巻き込んだ。


「予備動作無しで、魔法を……っ」

「自分を……中心とした、全方位型なら。……構える必要は、ないでしょう?」

「しかし不慣れなようだな。魔法を放った君自身もダメージを負っている」


 ザカライアは多少ひるんだが、それでも俺から大きく距離を取ることはしない。同じタイミングで俺も痺れていたのだが、なんとかザカライアに斬り殺されずに済んだ。


「ええ、それで目が覚めました。感謝します、ザカライアさん」

「感謝だと? ずいぶん余裕だな!」

 

 余裕なんてなかった。痺れの感触が残ったままザカライアの剣を受け、躱す。受けるたび、動くたびに感じるびりびりとした刺激が、今は心地よく思えた。


「俺は……まだまだ強くなれる! 雷魔法【大】――」


 剣に雷を流して振るう。ザカライアの剣とぶつかった瞬間、雷が弾けてザカライアを襲う。


「ぐ……」

「雷迅剣、ってところか」


 ガード不可の剣戟。自分の新しい魔法に確かな手ごたえを感じる。歯をくいしばって耐えたザカライアは、心なしか笑っているように見えた。


「多彩だな。将来有望じゃないか」

「そう思うなら通してもらえませんか! 雷魔法【極大】雷迅剣!」

「だがまだまだ、まだまだだ!」


 ザカライアは雷を纏った剣を受けずに躱し、彼の剣技は巧みなフェイントも交えて受け太刀さえ許されない。ほとんど地面を転がりまわっているような始末だった。そして俺が剣を振るうたび、当たらずとも雷の威力は弱まっていく。三度ほど空を切った頃には、ほとんど効果は失われていた。


「思ったより拡散が早い……か」

「付け焼き刃で倒せる私ではないぞ?」


 ザカライアの指摘は、自分でよくわかっていた。負けられない戦い、ミスを許されない状況に、初めての魔法。俺は最大出力で撃つのをためらっている。かといって加減して様子見すれば、雷迅剣のように対応されてしまう。考えろ。


「これなら……どうだ? 雷魔法【極大】――」

「また雷迅剣だと? 舐めるなよ!」


 再度、剣に魔力を集める。ザカライアはそれと同時と言っていいほどの反応速度で、魔法の発動前を狙って斬りかかってくる。俺はその突進を剣で受け止める。剣に込めることができた魔力はわずか。痺れはないが、雷撃が目的ではない。これで十分だ。


「雷光剣!」


 俺の剣が落雷を受けたように白く輝く。


「な……しまった! ぐああああっ……!」


 剣が放つ光を直視したザカライアは目を覆い、よろめいて後退する。初めて見せた大きな隙。すかさず雷迅剣で攻撃する。一撃で仕留めるつもりだったが、さすがと言うべきか。ザカライアはギリギリのところで体を捻り、致命傷を避けた。


「この、程度では……ぐうっ……!?」


 剣の一撃に耐えたザカライアだったが、直後に雷迅剣の痺れが襲う。込めた魔力が増えた分、先ほどより痺れの時間も増えているようだった。


「雷魔法【極大】雷迅連斬!」


 辛うじて急所を避けるザカライアだったが、雷迅剣は当たりさえすれば痺れてしまう。俺はその隙に再び雷の剣で斬りかかる。痺れているザカライアは避けきれず……あとは彼が倒れるまで雷迅剣を繰り返すだけ。これは……いわゆるハメ技だ。


「か、は……」


 血だまりのできた床に、ようやくザカライアが伏せた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読んでくれてありがとう!
すごく嬉しいです!

もしよければ、

上記の☆☆☆☆☆評価欄に

★★★★★で、応援していただけるとすごく嬉しいです!


『ブックマーク』

『感想』

もいただけると励みになります!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ