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月歌VSダラス 5

投稿遅くなり申し訳ございません(汗




二つの炎が舞う。

燃え上がるのは黒い炎。

片方は天を焼き尽くす勢いに燃え、もう片方はたき火のような弱い炎。

炎を操るのは二人。

前者はダラス、後者は月歌だ。

炎の勢いはダラスが圧倒的だ。月歌の炎など、暴風の前の火の粉と変わらない。

そも月歌が操る炎は、元々はダラスの炎。

『月神祈書』の効果で相手の力の一部を奪っているに過ぎない。

しかし、月歌の表情は穏やか、反対にダラスの顔には焦りが現れ始めている。


月歌が舞う。それと共にダラスの炎が大きく揺らぎ、その勢いが大きくそがれる。

「このっ!」

ダラスが黒炎を操る。逃げ場が無いよう四方同時に放たれた炎。しかし、月歌が再びくるり、と回ると炎が揺らぎ、綻びが生まれる。


とん、と月歌は前へ。それだけで炎の包囲網を抜け、一歩ダラスへと近づく。


「なん、なのだ」

ダラスがなんとか絞りだしたのはそんな言葉。

ダラスはこの状況に混乱していた。


相手は防具をつけていない。

素っ裸だ。局部と胸周辺を真っ白な光で隠しているだけの姿だ。

変態だ。

まごう事なき変態だ。


月歌は男だ。何が悲しくて男のヌードを見なければならないのか?とダラスは心の底で思うが、しかし元々美少女としか思えない容姿と華奢な身体付。

男性の象徴があるはずの局部を光で隠し、平らなはずの胸元も確認できないようにすることでどう見ても美少女の際どい姿にしか見えない。


頬が赤くなるのを意識しながらダラスは考える。

何でこいつは脱いだ?それが理解出来ない。

少しでも、黒炎がその柔肌を焼けば、月歌は簡単に燃え尽きる。


ダラスの炎は、それ程までに強力だ。

通常であれば、その動きに緊張が現れるはずだ。

しかし、理解の出来ない力で、その炎を防いでいるとはいえ、月歌の動きには迷いはない。


まるで、黒炎の動きがすべて解っているかのようなそんな動き。

(まさか、それがあいつの能力?)


そう考え、ダラスは自分で否定する。

月歌は、炎を分解している。『相手の攻撃を予想する能力』ならダラスの攻撃をかき消すことなど出来ないはずだ。


思考の檻にとらわれつつあるダラスの頬を何かが掠る。

それは、月歌が放った黒い炎。頬にジンジンとした痛みが走る。

そのあり得ない現象にダラスが激高する。


「何なのだ。貴様は一体なんなのだ!!」

『月神祈書』を使えば、ダラスの炎をコピーすることは出来る。

しかし、あの炎でダラスを傷つけるのは本来不可能だ。


黒い炎は、ダラスの構成する身体そのもの。

本来であればダラスにダメージを与えることは出来ないはずなのだ。


しかし、こうして現実にはこうして手傷を負わしている。

そんなダラスの様子に、月歌は可笑しそうに笑う。

くるくると回りながら手を伸ばせば、そこにあるのは銀に輝く月。


「んふふ、月ってさ。太陽が無ければ輝くことが出来ないよね?だけど、その輝きは太陽のそれとは全く別物」


月歌の独白を無視し、ダラスが炎を放つ。

その炎を月歌の五感が捉える。


視覚が、聴覚が、触覚が、嗅覚が、味覚が

その炎の本質を捉えてくれる。

いや、その炎だけではない。この世界を構成するすべてを感じ取れるような、そんな万能感。「あはっ」

月歌は、笑う。

ダラスの予想した『相手の動きを予想する能力』というのは半分当たっている

元々、月歌は巫女の一族だった。

大崩壊前の神社などにいるような神主をサポートするようなそれではなく、古来より続くシャーマンとしての巫女の役割を担っていた一族だ。

その役割は雨乞い。月歌の一族には時折、不可視の力の流れを詠むことが出来る者が現れた。

月歌は思う。世界はこんなにも鮮やかなのに、どうして誰もそれに気づかないのだろう?と


月歌の五感が捉えているのは色とりどりの糸が紡がれていく世界。

風が吹けば、細い水色の糸がゆらゆらと舞い、その糸に触れた葉が風に舞うと土を表す糸がふわりと、水色の糸に絡みつく。


見えるということは、触れることが出来るということ、触れられるということは、操ることが出来るということだ。

大崩壊前だと、精々、雲の動きを変え雨を降らす程度しか出来なかったが、スキルや魔法が存在するこの世界。操れる力は数多く存在する。

大地を走る竜脈の力、あちらこちらにある空間の歪み、そして、ダラスが作り出している黒い炎の力。


月歌にしか捉えることの出来ない世界。無数の、無限ともいえる糸が解れ、絡み合っていく

その中で、黒い炎に繋がる|糸(力の流れ)が目に入る。


月歌は、その糸に軽く触れる。

それだけで炎の軌道が代わり、月歌とは関係ない地面を焦がす。


「オーダー『異典焚書』」

欠かさずに、月歌は『月神祈書』を使う。

地面に触れ、はじけた黒い炎の断片を本の力でかき集める。

別に、『月神祈書』を使わなくても同じような現象を起こすことは出来る。

だが、『月詠』のリソースをそこに裂くのは勿体ない。


集めた黒い炎。その炎も月歌から溢れる糸に触れ、僅かにその性質を変えていく。

その炎を放つと、警戒したダラスが大きく距離と取ろうとする。

その隙を突くように、月歌は前へ。戦闘経験の少ないダラスは、炎に気を取られ月歌の接近に気づかない。


ぞくり、とダラスの背筋に冷たいものが走る。

今のダラスの身体は炎で出来ている。剣では切ることのない形無き身体。

しかし、ダラスの本能は危険だ、と悲鳴を上げている。

「くっ」


本能に従いダラスは後ろに下がる。

それと同時に振り下ろされる月歌の刃。

その目はダラスを見ていない。

その先にあるのは、ダラスの身体に巻き付いている黒い糸。


それを切り裂くと共に、ダラスの身体が大きく震える。


「あ、あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


痛覚が失ったはずの身体に走る怖気。

それと共に、身体を構成する黒い炎が霧散し始める。

「俺の、力が、消える。き、さま何をぉぉぉぉぉぉぉぉ」

「ん、君の炎と君を切り離した。それだけ」


あり得ない。そうダラスは考える。あの炎はダラスの魂と一体化している。

分けようと思って分けられるものではない。


しかし、月歌は意図も容易く切り分けた。

あり得ない現象に、ダラスは眼を見開く。

「僕の力は、この世界の力の流れを詠み、操ること。自画自賛するけど、結構すごい能力だと思っているよ」

月歌の言葉にダラスは答える余裕が無い。

ダラスと完全に混じり合った黒い炎が身体から抜け始める。

身体がゴリゴリと削れるような感覚に身動きが取れずにいる。

「だけど、さ。得意不得意ってのもあって炎とか雷とかそういった器の無い力は詠みやすくて、人間や生き物そのものの動きは詠みにくいんだ。人という器の中の動きは詠みにくいからね。だから、人という器を無くした君は、良いカモだったよ」


その言葉に、ダラスは奥歯を噛みしめる。

「ざ、けるな」

見上げると、そこには胸と局部を謎の光で隠した変態の姿。


すでに、ダラスが纏う炎は消え失せた。無理矢理、炎を剥がされ満身創痍の状況。

しかし、変態に負けたなど、プライドが許さない。

「ふ、ざけるなぁぁぁあぁ」

そのプライドがダラスに力を与えた。

歯を食いしばり、起き上がる。


その様子を月歌はつまらなそうに見ていた。

ダラスのダメージは、見て解る。人という器の中を覗くのは苦手だが、それでもその器から漏れる力の流れは微弱。こうして立っているのも厳しいはずだ。


「ああ、無理しないで。君には厚木まで来て貰うから。だから、無茶して死んで貰うと困るんだよね」

「巫山戯るな。俺は、ダラスっ!転生者たる俺がそんな無様な真似出来るかっ!」

ダラスが、月歌に飛びかかる。

その首を折らん、とその手を前へ伸ばす。


月歌はその動きを詠んでいた。その手を掴み関節技を決めて相手の動きを封じ込めれば終了。そう考えダラスの手を掴もうと手を伸ばし、そこで予想外のことが発生する。


力を使い果たしたダラスが足下から崩れ落ち転けた。

首を狙うはずの手は、謎の光で隠された局部へ。


ダラスの手に感じるのは、何らかの布の感触。どうやらマッパになったフリをして水着のようなものを履いていたらしい。

しかし、ダラスにはそんなことはどうでもよかった。


触った『彼』の局部。そこにはあるはずのものが……


「……ない?」


見上げると、真っ赤になった月歌の姿。

先までの妖艶さは一切なく、涙目になっている。

「あ、いや、その、なんだ?」

「この……」

前世今世とも研究一本で女っ気が一切無かったダラスは予想外のことに混乱する。

そんなダラスの顔面に月歌の足が迫る。

「へんたーーーーーーい!!」

お前に言われたくない、そう思いながらダラスの意識は闇へと飲まれていった。


ダラスは作中かなり強いほう。単純の強さでは國武では相手にならないレベル。

月歌とは相性が悪すぎたのが運の尽き。ちなみに月歌が國武と戦えば、國武がかつ可能性大



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