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マギカ VS 臆病者

感想と点数貰ってテンションアップ!!

昨日、仕事終わってからひたすら執筆、2話分書けたので連続投稿しようかと・・・・・・


昼の12時頃、続きを投稿しようと思います。



前を走っていた三人にも、その動きを把握することが出来た。

いや、月歌より距離が近い分、その動きがよく見えていた。


リーザーカスタムが、その体重を前へと傾ける。

出力を全開にしているのだろう。恐らくリミッターも解除している。

駆動音の派手さに対し、動いたのは僅か。しかし、その僅かな緩みさえあれば、自分達を殺すには十分だったのだろう。


右足が僅かに前へ、腰が僅かに左に回転。

たった、それだけでガドリング砲の射線上に自分達がたつことになるのだ。


霧崎は、目を見開きながらも、思考を働かす。

この状況をどうにか打開する方法を必死に考える。


真っ先に思いついたのは、騎士職である阿部にかばって貰うことだ。

しかし、それは不可能であるのは解る。

ドラゴン級マギカの火力は恐ろしい。阿部程度の防御など簡単に突き破るだろう。

では、月歌か?

彼女は自分達よりも数段レベルが上のプレイヤーだ。

しかも、聖典騎士というクラスだ。あのクラスはトップクラスの攻撃力と防御力をもったクラスだ。


ならば、彼女のガードスキルで逃げ切ることは可能か?

そう考え、否定する。


無理だ。騎士系の職業は足が遅い。いくらレベルが上とはいえ、専攻して走った自分達に追いつくのは難しい。


幾つかの思考が脳裏を駆けめぐり、自分達の生存の可能性は低いという結論に行き着く。


自分達の見通しが甘かった。

相手を過小評価し過ぎていたとしか言いようがない。


霧崎の脳裏に後悔が過ぎる。

正気を失った相手を手玉に取る、そんなのは簡単だと思っていた。

リーザーカスタムの性能も理解していた。

カスタムしてあったとしてもベースはリーザーには変わりない。

カスタムには様々な内容がある。装甲を厚くし、HPを増やすこと。或いは装甲を薄くし速度をあげること。フライトユニットを装備して空に飛ばすこと。持つ武器を変えること。センサー部分の強化など多岐にわたる。


しかし、機体の屋台骨である骨格フレームや、エンジン部分にあたるコアマテリアルは変えることは難しい。


と、いうよりリーザーのような量産機体をそこまで改造するのであれば、更にグレードをあげたほうが安上がりなのだ。


今回の相手のリーザーは、人間に似た構造の骨格フレームだ。

関節部分の駆動範囲は人間と変わりない。腰の稼働範囲が人間と変わらない以上、足が動かない状況であれば自分達を攻撃できない、そう考えていたのだ。


だが、目の前のマギカは、いや、マギカに乗ったプレイヤーは、自分達の予想を越えてきた。

『リミット解除』という方法を使って、だ。


リミット解除はマギカのハズレスキルと言われている。

機体の性能を何倍にも押し上げることが出来るスキル。

しかし、それには欠点があり、機体が万全な状態でも機体の寿命を減らし、破損状況が酷い場合はプレイヤーを巻き込んで自滅する可能性もある。


大崩壊前のゲームとしてのデウスエクスマギカオンラインであれば、ロマンスキルだったが、ゲームが現実となったこの世界においては奥の手というには危険過ぎるスキルでしかなかった。


しかし、彼はそれを使ってきた。

正気であればまず、使わないような戦法。だが、正気を失っていたからこそ選ぶことの出来た戦法だ。


最早、どうしようもない。この場にあるカードでは手の打ちようがない状況。諦めが霧崎を包み始め、そしてーー


「おいおい、まだ諦めるのは早いぞー、っと」


この場にないはずのカードが頭上より舞い降りた。


黒い影。黒いボロボロのマントに、黒い三角帽。

広げた両腕は細く、一見頼りないその姿はまるで案山子のよう。


しかし、そんな姿なのに、何故か背筋にぞくり、と冷たいものが走る。


「足を止めろ」

その声は聞き覚えがあった。

|朽野(臆病者)だ。

厚木冒険者ギルドの鼻つまみ者。

それだけの存在ではないと察していた霧崎でさえも彼は終わった人間だと認識していた。

その彼が一瞬、朽野は向いて、似合わない不敵な笑みを浮かべ、そして消えた。


同時に、連続して響く銃撃音と共に衝撃が走る。

衝撃と共に、霧崎達のHPが削られる。だが、死ぬほどではない。


真横に舞い上がる砂煙が、リーバーのガドリング砲が三人の2m程ずれた場所に放たれたのだと悟る。

しかし、直撃していない。何故?

そう思ってリーザーのほうに目を向けるとそこにはその巨体の前に立つ朽野の後ろ姿。

リーザーに向かって駆けだし、その銃でガドリング砲の軌道をずらしたのだ、と悟ったのは、朽野の銃身から煙が出ていたのと、リーザーのガドリング砲に僅かばかりの凹みが出来ていたことから。


走っただけでその距離を詰めたとしたら、その早さはまさに神速。

三人の目が、その後ろ姿に釘付けになる。


「な、ななななんだよ!お前はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


その異常な存在にリーパーのパイロットが気づき、霧崎達を狙っていたガドリング砲が、朽野に向く。


「逃げろ!お前が手を追える相手ではないっ!」

岩島の声に、朽野は振り返らず、手をひらひらを振る。

「大丈夫だって。見てろ、後学の為、教えてやるよ。マギカの倒し方って奴を」

その言葉を被せるようにリーバーから叫び声が響く。

「なめるなぁぁぁぁぁぁぁぁ」

怒声を追うように響く連続した爆発音。それと共に銃弾の嵐が朽野を襲う。


離れた場所にいた霧崎でさえ感じる衝撃。あまりにうるさい音に耳がおかしくなりそうだ。

そんな爆音が続いて数秒。音がやむと共に砂煙が晴れてくる。

そこには何もない。

予想していた血だまりも、衣服の破片も何もない。


「生身の人間がマギカに勝つ方法。その1」


代わりに声がした。その声は遙か頭上、リーバーのほうから聞こえてくる。

顔を上げると、リーバーの背に乗る黒い影。

「背後からコックピットを潰してしまえば怖くないってね」

『お、降りろ降りろ降り降りろ降りろ!』

その声に、一瞬朽野は顔を歪めるが、次の瞬間には緩い表情に戻り、銃を押しつける。

その場所は首の根本。その直線上にはコックピットがある場所だ。

『や、やめっ!』

「オーダー《フォルテッシモ》」

『オーダー確認。《フォルテッシモ》、及びパッシブスキル《ゼロスナイプ》発動します』


瞬間。金属がへしゃげる音と共に、リーザーの光学センサーの光が消え、そのままひざまづく。

「な? 簡単だっただろ?」

リーザーの上からヘラヘラと笑いかけてくる朽野。


「は、ははははははははは」


簡単?この男は何を言っているのだろうか?

ナイツオブオンラインのプレイヤーでソロでリーザーを倒せるような者は少ない。

しかも、防御力の低い剣銃士ムスケテールがマギカの正面から突っ込むなど並大抵の者に出来るはずがない。

かつて、彼のことを終わった人間だ、と言った自分を殴りたい。


弱き者の前に立ち、剣となり盾となる。

方向性違えど、それはかつて彼が目指した姿だ。


「先輩」

振り返ると、そこには月歌の姿がそこにある。

その表情は何ともいえない。

嬉しそうな、悲しそうな、それでいて懐かしそうな、そのどれとも取れそうな表情に、霧崎はドキリ、とする。

何となく周囲を突き飛ばすような冷たい空気の月歌しか知らない彼からすれば初めて見る表情だ。

そんな月歌の表情に、朽野はポリポリと頭を掻いている


そんな二人の姿に、霧崎は一つの考えが脳裏に過ぎる。


月歌は、神奈川の特殊部隊である深緑の騎士団ダークネスグリーンの副団長だ。

団自体がその情報を隠されている為、月歌のことを知る者は少ない。

だが、それ以上に知られていないのが、その団長だ。


緑の騎士が団長ではないか?団長はそもそも存在せず、月歌が団長ではないか?などと救世軍の上のほうで噂されていた。


目の前には、その副団長が臆病者チキンと言われる冒険者に霧崎達の前には決して見せないような表情を浮かべている。


そして、自分が予想を数段上回るあの強さは、明らかにこの国でも上位のもの。そんな人物が無名というのはおかしい。

そう、意図的に隠されていない限りは・・・・・・


そこから推測するに、深緑の騎士団ダークネスグリーンの団長は・・・・・・

「全く、人を見る目には自信があったのですがね」

「ん?なんか言ったか?」

霧崎の独り言に岩島が振り向く。

「いえ、何でもありませんよ」

これは仲間にもいえるはずがない。

世の中、知らないほうがいい情報というのも存在するのだから

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