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新魔王がいい人すぎたせいで世界秩序が崩壊しだす  作者: 進藤尚典
〜第6章〜魔五国連合蹂躙
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〜第13話〜第3ラウンド、魔王vs勇者、決着

「……オチョア、こっちにも雷飛んできたわよ」


 オチョアの耳にビョンキからの伝達魔法の声が届く。


「ごめんねビョンキちゃん。いきなりやっちゃって」


「怒ってないわよ。それより……あんた……本当に殺したのね、魔王レオンを」


 曇った声のビョンキ。オチョアは静かに口を開く。


「いや……」


 オチョアは息をつく。


「まだ殺せてないみたい」


 その瞬間、目の前の黒焦げのレオンが真っ黒く光る。そして間もなく、元のきれいな肌をしたレオンがそこ

に立ち上がった。


「やっぱり、一撃じゃあ死なないみたいだね」


 オチョアはにっこり笑ってもう一度ギャラクゲンジを構えた。

 レオンは冷や汗をかきながらオチョアを見た。

 なんとか回復魔法で立ち上がれる程度までの治癒はできたが全身にかなり痛みが残っている。

 それほどギャラクゲンジによる攻撃は凄まじかった。

 オチョアはもう一度ギャラクゲンジを構える。レオンはもう一度暗黒闘気の大剣を出し、それを受けようと構えた。


「……わかってないなあ魔王くん」


「え?」


 突然のオチョアからの問いかけ。


「次【雷覇斬】をまともに受けたら、多分魔王くんは死ぬよ」


「……あ、はい」


「確か教えたろ……、こういうときどうするか」


 オチョアはにやりと構える。レオンは唾を飲む。彼の頭の中にはここ3ヶ月間の記憶が巡っていた。

 呪文を詠唱するオチョア。そして言い放つ。


「【ブロテノス】」


 雷撃魔法がギャラクゲンジに当たり、それ吸いとった。

 オチョアが飛び込もうと構える。

 その時だった。


「【ブロテノス】」


 もう一度雷撃魔法が放たれた。

 放ったのはオチョアではなくレオンだった。

 雷撃魔法はギャラクゲンジを直撃する。意外な展開にさすがのオチョアも少したじろぐ。

 手に持ったギャラクゲンジが眩く光り始める。

 2発分の雷撃魔法が入ってしまったため、うまく制御できない。このままでは雷の爆発が自分自身の方向に来てしまう。

 そう思ったとき、自らが握るギャラクゲンジの柄に両手が重ねられていた。

 オチョアは前を向き、レオンが懐に飛び込んでいたことに気がついた。

 ギャラクゲンジを握る師匠と弟子。お互いで剣の主導権を奪い合う。

 そして、レオンが叫んだ。


「【雷覇斬】」


 ……たった一度喰らっただけで、俺の技をモノにするか。流石だな……。

 激しい斬撃と爆発に包まれながら、オチョアはにっこり笑う。

 そして、大広間は再び轟音に包まれた。



◇◇◇



「……大丈夫ですか先生!!」


 目を開いたオチョアが知覚したのはぼんやりとした天井と、その声だった。

 しばらくしてレオンが自分に回復魔法をかけながらからだを揺すっていることに気がついた。


「その通り。正解だよ魔王くん」


「先生、気がつかれましたか?」


「攻められているときには守らずに自分から攻めるんだよ。それが窮地であればなおさらだ」


「はい。最初に先生と戦ったとき、守りっぱなしで何もできませんでしたので」


「それにしても【雷覇斬】を自分で喰らうとは思ってもいなかったよ」


「これしかないと思いまして……。全然上手く出来なかったんですけど」


 確かにレオンの身体中に焦げあとが見える。これはギャラクゲンジから発せられた雷撃を上手く制御できず、自らにも相当喰らったのだろう。


「……いやあ、見事だよ。俺でも制御できるかわからない【ブロテノス】2発分だもんなあ。とにかく第3ラウンドも魔王くんの勝ちだよ。おめでとう。ぱちぱちぱち」


 オチョアはおどけて口で拍手をしてみせる。


「先生。やはり先ほど僕を殺すと言ったのは嘘で、先生は本当は僕を鍛えるために……」


「いやあ。半分は本当だよ」


「え?」


「もしダメだったら本当に殺すつもりだった」


 そう言ってオチョアは笑った。レオンはこの人はよくわからないとぽかんとした。


「先生、立ってください」


「いやあ、ここでいい。流石に疲れた、しばらく休ませてくれ」


「……わかりました」


 レオンはうなづくと、奥のドアを開けて駆けていった。

 オチョアは大の字になって寝たまま、それを見送った。



◇◇◇



 螺旋階段を登り、玉座の間を目指すレオン。

 しかし、途中で何度もよろけて、膝に手をついた。

 オチョアと戦ったダメージは深刻だった。

 それでもレオンは足を引きづりながら玉座の間を目指す。

 レオンはようやく玉座の間の扉にたどり着き、ぱしんとドアを開けた。

 玉座の間には何人かの人物がいた。

 レオンがすぐにわかったのはビョンキ、そしてこのゲームを提案したダックワースの2人。

 あと3人いた。

 ひとりは、白髪の老人で杖を持っていた。ひとりは、腰に剣をぶら下げた黒髪の男。そしてもうひとりオレンジ色の短髪の若い男が玉座に座っていた。


「ようこそラストステージに、魔王レオン」


 そう声を掛けたのはダックワースだった。


「まさか、武神勇者オチョアを破るとは予想外でした。まぁ、予想外でしたが、想定内です」


 ダックワースは扇で自らを仰ぐ。


「まだまだここには猛者がひしめいています……。まだまだ全クリにはほど遠いです。で……、最初に誰が行きましょう?やはりビョンキさんですかね?」


「……何でよ。私は遠慮しとくわ。気分じゃない。そもそも私は戦わないって約束よ」


 ビョンキはうんざりと言った。その横をすっと黒髪の男が進んだ。


「ここは一番下っ端の私が行こう」


「……ウシマさん、ではお願いします」


 ウシマという男がレオンの前に立ちはだかった。このときレオンは視界が朦朧としてぼやけていた。


「……待て、私が戦おうではないか」


 そう言ってウシマを退けて前に出たのは白髪の男だった。


「ペロス先生。そんな」


 高慢なダックワースが、その白髪の男にはうやうやしい態度を示す。


「我が盟友オチョアがつくったチャンスだ。さっさと始末せんと何が起こるかわからん」


 彼は杖を頭上に掲げる。すると紫の四角形がいくつか現れた。


「滅するのだ魔王レオン」


 その声とともに、紫の四角形はレオンのからだを切り裂く。

 ふらふらのレオンは避けることもできず、からだから血が噴き出した。

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