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新魔王がいい人すぎたせいで世界秩序が崩壊しだす  作者: 進藤尚典
〜第6章〜魔五国連合蹂躙
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〜第6話〜土使いの王子

 レオンは自分の腕をつかむその土の感触に嫌な思い出が蘇りかけていた。

 土は人食いスライムのようにうにょうにょと動き、レオンの身体にまとわりつき、拘束をしようとしてくる。振りほどいても次々と絡みついてくる。

 そして、さらに嫌な思い出をはっきりと蘇らせるものたちが目の前に現れた。

 土から数十本もの槍が、たけのこのように生えていた。

 それがやがて宙に浮き、穂先をレオンに向けた。

 流石のレオンも冷や汗を浮かべていた。なぜならばそれは、かつて自らの身体を貫き、重傷を負わせた槍だからだ。

 数十本の槍が一斉にレオンに殺到する。レオンはもがくが、土の拘束は解けない。それどころか、どんどんレオンの身体は土に飲み込まれていく。

 グサリ

 数十本の槍は、レオンが飲み込まれた土を貫いていた。



◇◇◇



 ブラウンの髪の毛を携えた男は、静かに崖から飛び降りた。

 将軍のロズルはきらきらとした眼差しを送った。


「モリワ王子、危うきところを助けていただきましてありがとうございました」


 片膝をつき、深く礼をするロズル。モリワと呼ばれた男は、冷たい眼差しのまま返す。


「王子……と呼ぶのはやめろロズル。私はとうに王子ではない。ただのかつてオリクサの王族だった人間だ」


「はっ、申し訳ございません。けれどもモリワ様がオリクサを出られたのは、すべてドンデ様の無念を晴らすため、そして我々オリクサの魔族のため、そのことをわかっていない者はおりません。現に今も我々の窮地を救っていただきました。そして……」


 ロズルは息を吸う。


「とうとうあの魔王レオンを討ち取りました。さすがはモリワ様でございます」


 ロズルの歓喜の声に、モリワは冷たく鼻で笑う。


「……いや」


 このとき、ふたりの足元でゴゴゴという音が鳴る。


「魔王レオンは、そう簡単にやられる男ではない」


 モリワのこの言葉と同時に、地面からドンッと何かが噴き出した。

 それは全身に暗黒闘気をまとったレオンであった。

 彼は暗黒闘気を身にまとい、地面に潜ることで、槍の攻撃を回避していた。


「ふぅ、助かりました。……、あの、あなたもオリクサの方ですか?私はゾゾリマの王レオンと申しますが、どうしても戦いをやめていただきたいのです」


 レオンの言葉にまるで反応せず、モリワは地面から土の槍を出現させ、それを握る。ロズルは斧を握る。ふたりは一斉にレオンに飛びかかった。

 レオンは一瞬、「そんな」という表情を浮かべ、とっさに暗黒闘気の双剣を出す。そして二人の攻撃を同時に受け止めた。

 モリワとロズルはすぐに二撃目、三撃目とくり出してくる。レオンはそれを双剣で受け止め続ける。

 何とか受け止めていたはずのレオン。しかしそれは長くは続かない。

 しばらくすると、モリワとロズルの方がレオンの双剣の斬撃に押され始めた。

 そして、とうとうレオンの剣撃によって、ふたりは跳ね飛ばされた。


「あ、すみません。つい」


 レオンは頭を下げた。

 剣技でもここまでの強さを誇るとは。ロズルは魔王レオンの底知れない強さに驚愕していた。

 隣のモリワはふぅと息を吸った。そして呪文を唱えはじめた。

 もこもこと辺り一帯の地面が盛り上がりはじめた。

 やがて土人形が現れた。真っ赤な眼をして、鋭い爪をもった不気味な土人形。

 それが数百も現れ、見渡す限りを敷きつめていた。


「……え?……あ?」


 レオンもさすがに驚き、たじろぐ。

 爪をむく数百の土人形たち、それが一斉にレオンに殺到した。



◇◇◇



 青くまばゆい光が地面を走った。

 数百の土人形たちは次々と溶けて、土に戻っていく。

 そして、レオンの横にはワンピースを着て、レイピアを握った少女の姿があった。


「ラミアさん、どうして?」


 レオンは彼女に声をかけた。

 彼女の身の安全のため、ラミアは人間の大陸へと行くように言ったはずだった。


「私は戦うよ。レオンのために」


 彼女は静かに、そして強く言った。


「……あのお、そのお……、あ、とても嬉しいです」


 レオンは戸惑いながらも、最後は笑顔で彼女に言った。

 ラミアもそれに応えて、彼女には珍しい素直な笑顔を見せた。

 レオンを助けに現れたラミア。彼女を見て、なぜかモリワはクククと乾いた笑いを浮かべはじめた。


「くくくくくくくくく、やっと会えたなあ『魔王喰い』」


 ラミアは、自らをその名で呼ばれたことに動揺し、大きく眼を見開いていた。

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