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新魔王がいい人すぎたせいで世界秩序が崩壊しだす  作者: 進藤尚典
〜第5章〜オーティズ、北の国から
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〜第4話〜オーティズ、ドラゴン相手に暴れる

 何を言っているんだとばかりに擬人化したドラゴンがオーティズの体を抑えにいく。

 だがオーティズは体から暗黒の闘気を噴出させ、擬人化したドラゴンをふっ飛ばす。

 そしてオーティズは笑いを浮かべながら剣を抜いた。


「貴様」


 擬人化したドラゴンたちも、擬人化を解き、巨大な龍へと変化していく。

 無数の黄金のドラゴンが、たった一人の小さな魔族を取り囲んでいた。

 一匹のドラゴンが息を吸う、そして灼熱の炎をオーティズに浴びせた。

 それをきっかけとして龍たちはいっせいに炎をオーティズに吹きかけた。

 四方から炎を浴びせかけられ、オーティズの姿は炎で見えなくなる。彼が立っていたはずの地面が熱でドロドロに溶け、マグマ化する。それでもドラゴンたちは炎を浴びせるのをやめない。

 2分ほど炎を浴びせた後に、ようやくドラゴンたちは炎をはくのをやめた。


「……、なんだったんだコイツ?」


「さあな」


 ドラゴンたちは気味悪そうに言葉を交わす。


「くくくくく」


 笑い声が聞こえた。


「ははははは」


 さらに笑い声が聞こえる。ドラゴンたちはぴくりと体の動きを止める。


「はははははははははははははははははははははは」


 けたたましい笑い声とともに、オーティズが地中より飛び出した。

 彼の腕はまず巨大な一匹のドラゴンの首に絡みつく。そしてそのままドラゴンを投げ飛ばした。

 ドゴンと音が鳴り、ドラゴンが叩きつけられる。他のドラゴンが身構える前に、今度はオーティズの手は二匹のドラゴンの首を同時に掴んでいた。そして頭を地面に叩きつけた。

 オーティズは地面にささっていた自らの剣を拾う。そして次から次へとドラゴンを切りつき始めた。

 鋼よりも硬いドラゴンの皮膚。それが紙切れのように八つ裂きにされていく。

 ドラゴンの体から吹き出した血が霧となって、あたりに充満していく。


「はははははははははははは」


 返り血を浴びながらオーティズは笑った。

 これだ。これこそが自分だ。

 最近、レオンのお守りをするために、自重しなければならない日々が続き、ずいぶんと穏やかに生きてきた。

 しかし、レロンに仕えていた頃の自分はそうではなかった。

 【百頭斬り】。かつて自分は一晩に百頭のドラゴンの首を斬った。

 その頃と全く変わらない自分がいる。

 オーティズはひたすら、ドラゴンの体をひねり、斬りつけ、叩きつけた。



◇◇◇



 血まみれで次々と倒れるなかまたちを見てドラゴンたちは戦慄していた。

 自らの力に圧倒的な自信を持つドラゴンは、ふつうは無粋な侵入者を駆除に出るが、逆に自分たちが駆除されかけているのを見てさすがにからだを引き始めた。


「あの魔族、なんて楽しそうなんだ」


「はじめておもちゃを与えられたウチの息子があんな感じだった」


「ストレスたまったウチの兄貴が、酒をたらふく飲んだときあんな感じで歌って暴れて親戚中迷惑そうな顔してたなあ……」


 おい、そんな呑気なこと言ってる場合か、と若ドラゴンが言おうとしたときだった。


「待たれよ!!」


 白髪に白いひげをたくわえた擬人化ドラゴンが現れた。


「長老!?」

 ドラゴンたちはひれ伏す。オーティズは手を止め、いったん床に剣をさした。


「魔族よ。お前ここに何をしに来た?」


「魔法学校を捜していてなあ。ちょっと尋ねようと思ってな」


「何…………、それで、なぜ若い衆が血まみれになっておる?」


 数十頭のドラゴンが虫の息で倒れている。


「そちらが無理やり私を抑えつけようとしたから、抵抗したまでだ」


「抵抗ってレベルじゃねーぞオイ。そもそもあんな殺気を充満させてやってきたら抑えつけようとするだろ!!」

 

顔が傷だらけの若いドラゴンが血を拭きながら叫ぶ。


「正当防衛とは言え失礼した」


「失礼したで済むかこの野郎。何頭か死にかけてんだぞ」


「失礼した。本当に悪いと思っている」


「おい、ドラゴル。真摯に謝っている相手にそんなに怒るな」


「長老、なんで俺が悪いみたいな雰囲気になってるんですか?」


「重ね重ね、本当に失礼した。申し訳ない」


「お前、うって変わってすんごい謙虚になるな。なんか卑怯だぞ!!」


 すっかりすまし顔になったオーティズはドラゴンの長老に聞く。


「ところで、魔法学校がこの奥にあるというのは本当か?」


「……」


「どうした。答えてくれないか?」


「立ち去れ」


「それが答えか」


 オーティズはドッと暗黒闘気を出す。


「ホラ、長老。ああいう奴なんですよ。抑えつけようとした俺正解でしょ?」


「黙っておれ」


 長老もドッと黄金の闘気を出す。そして彼の身体が巨大化しドラゴンへ変貌を遂げようとしていた。



「あっ、オーティズさ〜ん。ここにいたんですね」



 穏やかな少女の声が聞こえた。マヤが手を振って走ってきた。


「キミ、なぜ来た!?」


 オーティズは叫んだ。


「待ってろって言われたんですが、外は寒くて」


「寒くてではない。危険だ。ここにはドラゴンたちが」


「あっ、長老さんどうも」


「おおマヤちゃん。久しぶりじゃの」


 長老はドラゴン化を中断して人型に戻った。


「へ?」


 オーティズの目が点になる。


「皆さんもどうも。アレ、どうなさったんですか?皆さん傷だらけで?ケンカはいけませんよ」


 マヤがドラゴンたちに話しかける。


「……キミ、ドラゴンたちを知っているのか?」


「はい。ちょくちょくこの地方のドラゴンさん達とは交友をしております」


「…………。ではなぜ、ここに来たときそれを言わなかった。私が『ここで待ってろ』と言ったときに」


「うーん、私も外で待つ意味はわからなかったのですが、オーティズさんが『待ってろ』と言ったので、まぁ待とうかなと」


 オーティズは「キミ、もしかしてすごく天然か?」と言おうとしたが、レディーに失礼だと思いやめた。

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