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新魔王がいい人すぎたせいで世界秩序が崩壊しだす  作者: 進藤尚典
〜第4章〜武神勇者蹂躙
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〜第5話〜武神勇者VS魔王

「いやあ、予定より帰るのが早くなりまして」


 レオンは事情を語る。

 ホーハムの姫、クリヤが自らの部屋にレオンを招待したとき、彼女は鼻血を出してぶっ倒れた。


「うっかりしてました…………、男の人を自分の部屋に入れるなんて、どう考えても赤ちゃんができてしまいます……」


 真っ赤な顔で鼻血をだらだら流しながら、うわ言のように言うクリヤ。

 部屋にはひたすらレオンの「大丈夫ですか」の声だけが響いていた。


「……そんなわけで、クリヤさんがふせってしまわれたので、早々に帰ってくることになってしまいまして……」


 困り顔でレオンは言う。


「レオン様、とにかく帰ってきていただいて助かりました」


 アグバが言う。


「……ところで、皆さんはどうしてここに集まっているのですか?オーティズさんはいないみたいですけど」


「オーティズの野郎はくだらない用でグルスに行ってます。そしてあいつは武神と呼ばれる勇者オチョアです。ゾゾリマを滅ぼしにやってきたみたいです」


「……勇者……」


 レオンはオチョアに向かって行く。その背中を見てアグバは寒気がした。

 この凄まじい殺気、正直自分自身も死ぬほど恐ろしいが、確実にオチョアをぶっ殺して八つ裂きにしようという感情が露わに出ている、と。

 オチョアは馬上から地面へと降り立つ。そしてレオンを目の前にオチョアは言った。


「お前が魔王レオンか、確かにおっかない顔をした奴だなあ」


「……勇者……オチョアさんですよね……1つ頼みたいのですが」


「……なんだ、魔王様」


「このままゾゾリマを襲うのはやめて帰っていただけないでしょうか?」


「……はあ」


 レオンはぺこりと頭を下げていた。


「なぜオチョアさんは、ゾゾリマを攻めているのですか?もしかして、私どもがなにか迷惑を掛けていたのでしょうか……。それでしたらお詫びはいたしますので、野蛮なことはしないでください」


「……そう言われると、俺は何も悪いことはされてないなあ」


「それでしたら、王である私からお願いいたします。このままお帰りいただくとありがたいです」


「……そうか。そこまで丁寧に頼まれるとなあ……じゃあ帰ろうかなあ」


 そう言ってオチョアは踵を返そうとした。


「何帰ろうとしてんの、バカじゃないの!!」


 ほうきに乗った女の子が激怒した。


「……やっぱり」


 オチョアはしゅんとして言った。


「……すまんな魔王様、あそこにいる生意気なお嬢ちゃんはビョンキちゃんって言うんだが、彼女の父親は人間の国の王様でな。しかも今人間たちがつくっている政府連合でも一番えらい立場にいる。その王様が直々に俺に命令を出したんだ。『魔王レオンを倒せ』ってな」


 オチョアは頭をかきながら話す。


「勇者業はほぼ引退して悠々自適にのんびりと暮らしていたんだが、政府連合の長からの命令には逆らいきれんでな、こうやって嫌々出てきたってわけだ。本当に迷惑な話だ」


「……それは、大変ですね」


 レオンがオチョアに同情して言った。


「というわけで、しょうがないので倒させていただくよ魔王様。曲がりなりにも『勇者』と名乗る人生を送ってきたので、魔王と戦わなければならんのだよ」


「そうですね、僕も他の頼みならきいてあげたいのですが、倒されたり国を滅ぼされるのはちょっと無理なので……。そういえば魔子宮の水が教えてくれたことの1つにありました。『魔王は勇者を倒さなければならない』って。理由はよくわからないですけど」


 レオンは構える。そして、オチョアも2つの剣を構えた。

 空気が重くなっていく。

 そして2人は同時に地面を蹴った。

 キィンと大きな音が鳴る。オチョアの一撃目とレオンの素手がぶつかった音であった。

 レオンの腕は鋼よりもはるかに硬いらしく、斬れても砕けてもいない。

 オチョアの二撃目が飛ぶ。ラミアとの闘いのときと同じである。オチョアの二刀流の恐ろしさは、凄まじく重い攻撃が間断なく飛んでくることになる。

 キィンと音が鳴る。二撃目もレオンは受けとめた。三撃目、四撃目、五撃目、六撃目、七撃目、八撃目、九撃目……

 ほぼ1秒の間に繰り出された剣撃のすべてがレオンの手に止められた。

 ビョンキと呼ばれたほうきに乗った少女は冷や汗を流していた。

 オチョアの【双燕斬】を漏れなくすべて受けることができる者がこの世にいるとは思わなかった。

 ギィンという音が鳴った。

 オチョアの双剣のうち、片方が飴細工のようにひしゃげた。そしてその音はもう一度鳴った。

 もう一方の剣も飴細工のようにひしゃげていた。

 ここでオチョアは後ろに飛び退いた。


「…………」


 ビョンキはあっけにとられてしまった。まさか双剣が曲げられ、オチョアが後ろに引かされるとはと……


「ビョンキちゃん」


「……え?」


 ビョンキはマヌケな声で返事をしてしまった。ビョンキに呼びかけたオチョアは先ほどとはうってかわった真面目な顔をしていた。


「【ギャラクゲンジ】を出してくれ」


「…………ええっ!?」


 ビョンキは驚いた。


「こんなおもちゃじゃ、コイツはどうしようもない」


 オチョアは双剣を地面に捨てた。


「……いや、オチョア……もうちょっと様子見てもいいんじゃないの?こんな早くに【ギャラクゲンジ】出すなんて……」


 ビョンキは半笑いで言うが、オチョアが顔色1つ変えないので、息をついて言った。


「……わかったわよ」


 ビョンキはつぶやくように呪文を唱えはじめる。すると虚空からそれは現れた。

 巨大な金属の塊?

 レオンはそれを見て、そう思った。それは、長さ3メートル長の光り輝く物体だった。

 が、ほどなくしてレオンは気づいた。

 それが巨大な剣であることに。

 巨大な刃についた小さな柄をオチョアは握ると、オチョアはブルンと振った。

 それがまるで綿でできているかのように、軽々とオチョアは振りまわす。


「さぁ、やろうか」


 オチョアは静かに言った。

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