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新魔王がいい人すぎたせいで世界秩序が崩壊しだす  作者: 進藤尚典
〜第4章〜武神勇者蹂躙
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〜第3話〜武神勇者VS(可愛い)女戦士

「アグバ様、来ていただけましたか」


 キュベイシの砦に到着したアグバをゾゾリマの魔族が出迎えた。


「状況はどうだ?」


「……それが」


 砦から見下ろす大平原、遠くからのそのそと馬に乗ってやってくる人影が見える。


「……あれは?」


「あれが勇者オチョアでございます」


「……おい、それがわかってるなら、なぜ誰も迎撃に出ない」


「ここに来るまで、何千何百という魔族が紙きれのようにけちょんけちょんになったのです。誰も恐れて出て行こうとしません」


 砦の隅には体育座りでガタガタと震える魔族たちがいた。


「……本当にどうしようもないなゾゾリマ魔族たち」


 アグバは呆れた。

 そうしている間にも人影は少しづつ近づいてくる。


「……奴隷女……、出番だぞ」


 アグバはひっそりと立っていたラミアに言った。


「はぁ……仕方ない……」


 ラミアはやる気なさそうに、首をかくかくしながら言う。


「気だるそうな奴隷女もカワイイなあ」


「そういうのはもう言うなと言ったろ!!」


 からかうアグバに、顔を真っ赤にするラミア。

 どうやらアグバはラミアの操縦の仕方がわかってきたらしい。



◇◇◇



 平原に一人出るラミア。

 正面から単騎でやってくる男。

 筋骨隆々の体躯。赤塗りで傷だらけの鎧。傷だらけの身体。

 そしてその顔と白髪まじりの髪の毛から、年齢は中年くらい。

 伝説の勇者にしては意外に若い。

 その男、勇者オチョアはラミアの姿を見ると目を丸くして騎馬の脚を止めた。

 ラミアは先に口火を切る。


「……勇者オチョアであるな。悪いがこのままゾゾリマを攻めるのをやめて帰ってはくれないか」


「…………」


 勇者オチョアは目を丸くしたまま、のっそりと騎馬から降りた。


「お嬢ちゃん。人間だろ?なんで魔族の味方をして、俺に勧告をしてるんだ?」


「……まぁ、色々と事情があってな。とにかく帰ってもらえないか。帰らぬというのなら……」


 ラミアはレイピアのつかを握る。


「……一戦交えなければならぬ」


 レイピアを抜いてラミアは構えた。


「はぁ、なんとまぁ変なこともあるもんだねぇ。魔族たちを倒してたら、ワンピース姿のお嬢ちゃんに喧嘩を売られるとは」


 勇者オチョアは腰の二本の短刀を抜き、両手で持った。


「……まぁ、いいさ」


 勇者オチョアのこの声がきっかけだった。

 ふたりは、地面を蹴り、交錯した。

 キィンと音が鳴り、お互いの刃がぶつかり合う。

 勇者オチョアは、その重厚な体躯からは信じられない素早さで左手の刃を繰り出す。

 ラミアはそれをひらりと避けると、脚を振り上げ、ハイキックを繰り出す。

 勇者オチョアはそれをかがんで避ける。

 まるで2つのつむじ風のように、お互いが、避ける動作と、攻撃する動作を連動させて繰り出し合う。

 勇者オチョアの二刀と赤い鎧がはためく。

 ラミアのスカートがふわりと舞い、レイピアが煌めく。

 はたから見ているアグバたちゾゾリマ魔族には、華麗な舞のようにしかふたりの動きは見えない。

 剣を合わせながら勇者オチョアがぶつぶつと何かを呟く。

 そして、こう言う。


「【ブロテノス】」


 勇者オチョアの片方の剣から稲妻が飛び出す。それは、ラミアの身体を直撃した。


「まずい!!雷魔法だ」


 アグバが、ラミアのピンチと叫ぶ。

 が、ラミアは笑った。

 ラミアに直撃した雷魔法は、土に水がしみ込むように消えた。


「何っ!?」


 ラミアはすべての魔力による攻撃を無効化できる。

 それは魔族であろうが人間であろうが勇者であろうが、関係なく。

 意外な展開にバランスを崩した勇者オチョアの元にラミアは飛び込む。

 オチョアはラミアのレイピアを何とか剣で受けたが、そのまま吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられた。


「やったぞ!!さすがラミア様だ!!」


「くくくく、人間ごときが我らゾゾリマ魔族に歯向かうからだ!!」


 と魔族から喝采がわく。

 ラミアが人間であるということに、彼らは一切触れない。


「いいぞ!!奴隷女、そのまま可愛く勇者オチョアの息の根を止めろ!!」


 アグバが叫ぶ。


「いや、意味わかんないし、そもそも可愛いっていうなあ!!」


 ラミアが叫んだ。



 そのときだった。



「……どういうつもり?」



 そう、女の子の声が聞こえた。

 ……え?

 ラミアは驚いた。

 なぜならば、突如目の前に女の子の顔が現れたからだ。

 ラミアは彼女が現れるまで、彼女の気配すら感じていなかったのに。

 その女の子は紺のローブを着て、つばの広い三角帽子を被っており、そして、ほうきに乗って浮いていた。

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