〜第3話〜淫魔姫と女戦士
クリヤが用を足して出ると、窓から中庭が見えた。
花園が見えた。
殺風景で邪気が漂うゾゾリマの城の中で、実に華やかで爽やかな場所である。
思わずクリヤは階段を降りて、花園に近づいていった。
ここで脚を止めた。
花園で花に水をやる人物がいた。
水色のワンピースを着た色の白い美少女で、不思議なことに腰にはレイピアをぶら下げている。
そして……
「人間?」
どうやらその美少女は、魔族ではなく人間らしかった。
この魔城にいる魔族でない人間の美少女……これは……
クリヤは彼女に近づいていった。
「すみません」
クリヤは声を掛けた。彼女は無表情でこちらを向いた。先ほどのオーティズという者にしろ無愛想な無表情を浮かべ続けるのはゾゾリマの特徴なのかなとクリヤは思った。
「あのお、間違っていたらすみませんが、魔王レオン様の側室の方ですか?」
「……そくしつ?」
「いや、あの、すみません。でなければあの……正室の方でしょうか?」
「……せいしつ??」
彼女は棒読みでおうむ返しをする。どうやら言葉の意味をわかっていないらしい。
「いや、あの、失礼な言い方でした。魔王レオン様の奥方ですよね?」
「………おくがた???」
この言い方でもわからないらしい。
「あ、魔王レオン様のお嫁さんですよね?」
クリヤがこの聞き方をしたとき、ようやく意味が通じたらしく。彼女の顔が途端に紅潮した。
「いや、ちがうちがう。そんなんじゃない」
手を必死に振る。先ほどまでとの落ち着きぶりが嘘のようである。
クリヤは、彼女が魔王レオンの妻でないことがわかったので、もう彼女が何者であるか確信した。
「そうですか。では、魔王レオン様の奴隷……、おもにえっちな欲を発散させてあげる系の、ですよねやっぱり!!」
クリヤは喜んで聞いた。好都合だ。この奴隷の方に魔王レオンのあっちの趣味趣向を聞き、これから彼を骨抜きにするのに役立てようと思った。
「お聞きしたいことが色々あります。その……まず魔王レオン様は、えっちなことは1対1でなさるのでしょうか?それともたくさんを相手になさるのでしょうか?また、上に乗るのと上に乗られるのどちらが好きなのでしょうか?あっ、どちらでもなくっていう場合もあるんでしたっけ?」
これはチャンスとばかりに大胆に、矢継ぎ早に聞くクリヤ。
彼女の方はと言うと……
「……あ……あ……」
もはや茹でダコのような顔色になっていた。
「攻めるほうと攻められるほうはどちらがお好きなんでしょうか?そもそも、魔王レオン様は、おっぱい、お尻、脚、どこが好きなのでしょうか?」
メモ帳と羽ペンを懐から取り出して聞くクリヤ。
「……し、知らないそんなことお!!!!」
彼女は興奮のあまり、レイピアを抜いた。
「あっ、もしかしてそれを使ってプレイなさるんですか?さすが魔王レオン様、私にはどういう風にそれでえっちなことをするのか、まるで見当がつきません」
「……う、うわぁ!!」
彼女は興奮のあまり、レイピアを地面に刺して、走り去っていった。
お待ちくださいと、追いすがるクリヤであったが、彼女が振り向くことはなかった。




