05 初めての対人戦
PvP多めです。
実際に戦う場面になると、雰囲気が変わる人も多い。
パイクはその類だったらしい。全身鎧に金属製の大盾、右手には刃が長い大剣を持っている。だが、それにしては柄が長い。おそらくだが剣槍だろう。
相手は準備万端だ。こっちも用意しておこう。
投げ斧を周りに浮かべ、手斧を右手に持つ。そういえば、今思うのもなんだが技能の説明を見ていなかった。だが、今から言える雰囲気では無い。あとで確認しよう。
「準備出来たー?」
「ああ」
「こっちも」
「おっけー」
ルイは観客席から確認を取ると、懐からゴソゴソと笛を取り出す。
「じゃあ、いざ尋常にー」
互いに構える。
「勝負!」
言い合えると同時に笛を吹く。静かな闘技場に甲高い音が鳴り響く。
そして笛と同時に、
「《大盾の突撃》《突撃:槍》」
仕掛けて来た。
直線で突撃してくるパイクを、横に跳んで避け、通り過ぎた後ろ姿めがけて斧を投げる。
想定していたのか、方向を変え大盾で斧を受ける。
しかし斧が大盾に刺さったせいか、戻ってくる勢いで、少し体勢を崩すパイク。
いいこと知った。今のうちに投げまくる。
斧は、次々と大盾に突き刺さり、少しずつこちらに寄ってくる。
もちろんパイクも、この状況を座して待つはずもなく。
「《大盾の突撃》」
突っ込んで来る。
斧が戻る勢いも、後押しにしかなっていない。
取り敢えず斧を一丁投げ、手斧を握り締める。
飛んでいく斧を避け、そのまま突き進んで来るパイク目掛け、手斧を振り下ろす。ついでに蹴る。
手斧は大盾に突き刺さるが貫通はせず、蹴りの勢いで動きは止まるが、体勢を崩すには至らない。
さっき投げ、戻って来た斧を掴み、回転しながらパイクを狙う。
しかし大盾を斜めにされ、斧の軌道を変えられる。
そして、斧が滑っている大盾を上げられ体制を崩されてしまう。
更に大盾の下から、
「《効果付与:刃よ渦を巻け》」
剣槍が飛び出してきた。
辛うじて刃に当たるのを避けるが、左脇腹が抉れる。恐らくだが、当たり判定の拡張が効果だろう。
脇腹から鈍い感覚が伝わる。痛みではなく、何かが当たった感覚が。VR特有の感覚だ。
何とか大盾から手斧を引き抜き、パイクを蹴り飛ばす。
多分、このまま脇腹を放って置いたら、死ぬのでは無いか。失血死かなんかで。本棚が言っていた。
ただでさえ不利な状況に、時間制限が加わった。
まぁ、喜ぶべき状況かもしれない。何と言ったって、玉砕覚悟で突っ込める。最悪の手段だが。
取り敢えず手斧を握り締め、突っ込む機会を伺う。
少なくとも、相手が時間稼ぎをする事は無さそうだ。
腰を低く構えている。恐らく突撃する体勢だろう。
「《大盾の突撃》」
やっぱり。
今度は正面から受け止める。つもりだ。
タイミングを見計らい、蹴りを繰り出す。
その時、
「《大盾の一撃》」
大盾に触れた右脚が潰れる。思わず、左脚で後ろに跳んでしまった。
右脚は、脛の半ばまで潰れてしまった。立つ事すら危うい。手斧は振れなさそうだ。
もう玉砕覚悟で突っ込もう。
いきなり走って来た私に虚を突かれたのか、少しの間フリーズするパイク。
しかし直ぐに剣槍を構え直し、此方に向けてくる。
そして其の儘両者は交差するーーー
事はなく、私は大盾を潰れた右脚で蹴り飛ばす。
後ろによろけるパイクに詰め寄り、手斧を突き出して、刃が首に食い込むその前に、剣槍でぶった斬られた。
Q:スキルってどんな感じなの?
A:一定時間速度上げたりとかが殆ど。
あくまでも補助の役割が強い。




