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【書籍化】小悪魔ベリルの文明開花! 赤ちゃん転生したギャルJK、現代知識とデタラメ魔法で今日も大人を振りまわす  作者: 枝垂みかん
第七章

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めっちゃサスチナブル⑥


 いま俺らはタリターナ邸に邪魔している。


 奥方たちは外出中で、タイタニオ殿のみで対応してくれた。

 ちなみにプレシア嬢は、学院のあとモモタ殿の道場へ通ってるんだそうだ。


「なんかいっつも困ったときばっかし頼っちゃって、ホントごめーん」


 明け透けな物言いだが、ベリルの言うとおり。この御仁には頭があがらん。


「なぁに、構わんよ。遅かれ早かれトルトゥーガ殿とベリル嬢が尋ねてくることは想像していた」


 王宮のことはたいていお見通しか。タイタニオ殿は俺になんぞ考えもつかん方法で情報を集めてるんだろうな。


「しかし印刷の道具自体ではなく、紙の納品を経由して利鞘を稼ぐとはな。毎度のことながら、ベリル嬢の商いの感覚には学ばされるばかりだ」

「いや〜、それほどでもあるし〜」


 あんまり甘やかさんでくれ。

 たったいまこうして頼ってるのも、その商いの感覚とやらのせいなんだ。国を相手に品モン足らず承知で売買の約束を取りつけちまうとか……、あり得んだろ。


「またタイタニオ殿を頼ることになっちまって、面目次第もありません」

「そこは得手不得手の話。むしろ我が領も絡めてよかったと思っている」

「そーそー。タイタニオどののゆーとーり〜」


 オメェは黙ってろや。ったく。


「できうる限りの条件は出させてもらうんで、よろしくお願いします」

「いやいや本当に畏まらんでくれ。こちらとしても都合がいい話なのだ」

「ってゆーとー?」

「実は、ミネラリアの北に山ばかりで実りの悪い領地があってな」

「細っそい木いっぱーいみたいな?」

「なんだ、ベリル嬢は知っていたのか」

「んーんー。なんとなーく、そーゆー雪国っぽい場所もあんのかなーって」

「うむ。あるのは節割れしやすい材木に適さん木ばかり。しかし、小悪魔商会のワル商人いわく、そういった樹木でも紙は作れるというではないか」


 つづくタイタニオ殿の話では件の領地は農地としては痩せていて、だから人も減る一方な山だらけの寒い土地だそうで扱いに困ってたんだそうだ。

 そこへもって、紙作りで稼ぎを出せるってのは渡りに船らしい。


「人の出入りが少ない土地なので、製法を秘匿するのにも都合がよいのではないかな」

「いーかも! あとあと、紙売ったおカネで食べ物とか服とか買えたら、そこの人たちもハッピー。モチベもアップアップだし」

「そういうことだ」


 てな具合に、スンナリ話は進んでった。


 最後にタイタニオ殿が便宜を図るよう(したた)めてくれた代官への手紙を受け取って、俺らはタリターナ邸をあとにした。


 ただ去り際に、


「一つだけ。税を納めるどころか、こちらが施さなければ集落を保てんほど枯れた寒村なので、落胆せんように」


 と、つけ加えられた言葉がひっかかった。



 タイタニオ殿の屋敷につづいて、俺らは王宮の並びにある役所へ顔を出す。

 用事があるのは左大臣殿だが、いきなり伺って会えるもんでもねぇんで、ベリルの覚え書きだけを置いくことにした。


「しばらくしたら王都に戻るんで、なにかあったら小悪魔ヒルズの者に言伝を頼む」


 対応してくれた役人の隠しきれない渋い顔を拝んで、役所での用は終わり。


 定宿で魔導トライクと荷車を回収したら、いざ北の土地へ。


「——トルトゥーガ様! 私を忘れないでくださいっ」


 おっといかんいかん。ノウロを置いていくとのちのち面倒だ。なにせコイツには紙の輸送の手配と、落ち着くまで現地の指揮を頼まなきゃあならんのだから。


「ワル商人の馬車はさすがに引っぱれねーし」

「今回は身一つで伺うつもりですので、荷台に便乗してもよろしいでしょうか?」

「おう、構わんぞ。乗り心地は最悪だけどな」

「私も魔導トライクを運転できればよいのですが……」


 そうなると、誰しもが魔導トライクで移動できるようになるわけか。

 いまんところ魔導列車は試運転止まりで、まだまだ先は長ぇ。

 なによりの問題が魔力をバカ食いすることで、複数人での運用でなんとかかんとかって程度。これじゃあ普及までは至らん。


「ひひっ。もーちょい待ってて」


 こうベリルが言うとおりに、じきに小さくした魔導モーターが作られるようになる。そうなればスイスイと馬車に頼らず移動するってのも、あながち夢じゃあなくなるのかもな。


「そーそーワル商人。道案内は任せちゃっていーい?」

「もちろんです」

「雇ってる者らは連れてかんでいいのかい?」

「ええ。しばらくは王都で骨休めするよう伝えてあるので」


 私物と野営具や食料を積み終えたら、


「それじゃー北国に向けて、しゅぱーつ!」


 魔導トライクは走り出す。

 引っぱる荷台の俺らを激しく揺すって。


 特にひどくなったのは、道を整えてねぇ田舎に差し掛かってからで……。


「きゃはは! めちゃ道ガタガタじゃーん」

「おぇ、おぇぇえええ……、こ、小悪魔会ちょ……——うぷっ」

「ノウロてめぇコラ! ここで吐いたら承知せんぞっ。気合いだ、気合いで耐えろ!」

「そ、そんな殺生なぁ……おぅえええ……ぐぷ……」


 忘れてた。コイツ、乗り物に弱かったんだった。この様子じゃあ、野営地についてもノウロは役立たずか。

 まっ、本チャンは目的地についてからだ。いまは面倒がかかる荷物でも構わん。


「——ちょ、マジ勘弁! あーしの魔導トライクで吐いたらゲロ商人って名乗らせっかんね!」


 なら速度を緩めてやりゃあいいもんを。


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