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憂愁戀愛物語  作者: 捺魅
第2章 秘密崩壊
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行人の存在




春休みが始まってすぐのことだった。

俺は両親に話があると呼び出された。

俺たち双子の秘密がばれたんじゃないかと、怖くて夜も眠れなかった。

しかし、話の内容は、それ以上に残酷なものだった。


『桜と瑠依の縁談話』


桜が結婚するのが嫌なんじゃない。

かと言って、瑠依だから嫌とかでもない。

俺はただ、怖いだけ。

何が怖いのか、誰が怖いのか、それは、

瑠依の兄、行人の存在だ。

行人の存在は果てしなく怖い。

けれど、死ねとまでは思っていない。


あいつは、桜のことを想っている。

それも、異常なほど。




   ◆



あれは、俺たちがまだ幼稚園児だったとき。


蒼井家と九条家は近所に住んでいた。

瑠依とは幼稚園も一緒だったため、けっこう仲もよく長い間遊ぶこともあった。

その時、決まって一緒にいるのが、瑠依の兄、行人だった。


九条家は他のお金持ちどもの頭が上がらないほど、権力ももち優位な立場にたっている家柄で、そこの長男、行人は他の人からもちやほやされており、不自由のない生活を送っている。


というのが、表向きに知れわたっている。


実際、俺もそうだと思っていた。

でも、それは全く違うのだ。


行人は九条家の長男であるが、家を継ぐことはできない。

それは行人が母親の連れ子だから。

今の父親とは一切血がつながっていない。


九条家はちゃんと、九条の血が混じった人じゃないと継げないのだ。

そういうこともあり、行人は瑠依と違って、一人孤独に育ったきた。


それでも、行人は瑠依のことを恨んだりはしない。

もしかしたら、行人は自分自身に与えられた『罰』だと思っているのかもしれない。



そんな中、行人の不安や悲しみを取り除いたのが、桜だというのだ。

桜自身は何にもしていないというのだから、俺にも分からない。

でも、きっと行人自身が救われるようなことを桜はしたのだろう。

桜は無意識に人を助けているということが多々あるから。

俺も、何度も救われたことがある。








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