蒼井桜の縁談話 2
九条家は、私たち蒼井家を含めて、数多く金持ちの中の金持ちなのだ。
そして、問題なのは不景気。
一年前、蒼井家は九条家との合併の話を持ち上げられた。
これはどちらの家にとっても、特に蒼井家にとっては物凄くおいしい話だった。
「幸い、うちの長男があなたの娘さんのことを気に入っているのよ」
「まぁ、桜をですか?」
「それで、行人と桜ちゃんを結婚させるのはどうかと考えているのよ」
母の答えはもう既に決まっていた。
どこに断る理由があるというのだろう。
「では、また近いうちに日をあらためて、こちらから連絡させていただきます」
---これが、この間の話。
そして、今日その話の続きが行われることになった。
「遅れてしまって申し訳ありません」
「いえいえ、わざわざ海外から戻ってきて下さったのでしょう?」
「そんな、九条様の望みとあらば、断るわけにはいきません」
でも、ここから、九条の口から出た言葉はとんでもないことだった。
「ところで、早速本題に入らせていただきたいのですが、行人と桜さんの婚約はなかったことにしていただきたいのです」
「・・・え?」
何故・・・、いきなり・・・
せっかくのチャンスだったのに・・・
「だって、桜さんお身体弱いでしょう? やはり子供を授かる上で心配ですし、行人には園咲家の長女、撫子さんと婚約させることにしましたの」
そ、そんな・・・・・・
「ですが、この話は私から言い出してしまったこと。 そのお詫びもかねて、次男の瑠依と婚約を結ぶということでいかがでしょう?」
迷うことはなかった。
次男の嫁というのは、長男の嫁ほど権力は強くない。
けれど、同じ九条家に入れることが出来るのなら、まだ勝ち目はあるかもしれない。
それに、蒼井家は九条といとこの関係にある。
蒼井家と園咲家は昔から敵対している。
『絶対に負けたくない』というのが本音だった。
◆
この婚約の話を聞かされたのは、春休みの終わりのころだった。
両親はすぐに海外へ戻っていった。
親は勝手だ。
【登場人物紹介】
・九条瑠依 行人の義弟、桜の婚約者
・九条行人 瑠依の義兄、園咲撫子の婚約者
・園咲撫子 行人の婚約者




