覗けばのまれた!
「偶に覗きに来る青年 強そうだし警備員みたいだろ」
「……」
「怖いよ!」
その青年は腕を組み、ひたすら見下ろしていた。
「……」
「でもコイツ以外にヤベェ奴に絡まれなくなるならお得だろ」
「やべぇ奴がいる時点で問題だよ!」
「……」
「あと何か喋ってよ!!」
「…汚すのはギルティ」
「やっぱ怖いよこの人!!?」
窓際の口論は鶏が鳴くまで続いた…。
「お姉さんがいる時は家事とかどうしてたの?」
「基本俺がやる お前も好きに過ごしていて良いからな」
アイツが居た時も掃除洗濯料理全部やってたっけ。部屋には一切入れて貰えなかったけど。
「じゃあボクの部屋には暫く入らないでね!」
コイツもか。
「覗いたら出てくから!」
「鶴の恩返しかよ」
「居場所をくれた恩は返す!」
「鶴にでもなるのか」
「鶴にはなれないけどアイドルにはなれる!」
そう言ってスマホを天高く掲げた。
「ケースに羽生えてる!?」
「めっちゃ使いづらいよ!」
「なんで生やした!?」
「可愛いから!!」
本体の二倍ある硬い羽は、握るのにもしまうのにも向いていない。それを可愛さ優先でつけるセンス……
「やっぱアイツの弟だな」
呟いた言葉に疑問符を浮かべる弟。それから部屋に籠り、俺は家事を進めていく。
……しかし気になる。何してるのか。アイツだったら大体想像つくから見ない様にしてたけど、部屋の先に居るコイツは男だ。見ても悪くない気がする。よし、昼メシついでに酒でも持って行ってやろう。ワクワクしながら料理に取り組んだ。
「た呑もーう!!」
勢いよくふすまを開く。そこには……光るスマホと机に突っ伏した弟だった。
「あれ…お兄さん……」
顔の横には度数が強めの酒缶が五本積みかなさっていた。
「既に飲んでる!?」
「お酒ぬるいよー……あっ冷えたお酒だぁ」
手に持っていたビールを奪われ、片手で開けて一気に飲み干した。
「鶴じゃなくて酒カスの恩返し……」
「一緒に飲もう?」
「スマホは?」
「配信中…」
「待って止めてどういう事止めて」
『可愛いけど男の酒カス配信』に乱入した形になってしまった。
覗いて出ていくのは鶴では無く理性だったのかもしれない。




