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私が騎士団の司令官ってなんですか!? ~聖女じゃなかった私は得意の料理で騎士たちの心を掴んだら食堂の聖女様と呼ばれていたのです~  作者: 堂道廻
第四章【悪夢】

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69 他力本願でもいいじゃない

「残念ながら」とモニカ学園長は頭を左右に振って答えた。


「探すにしても、手掛かりがなさすぎる」クラウディオは言った。


「ただ私たち魔導士は、新しい魔術を構築する際に理と因果を結びつけ、効果をより高めるために術の名前に、その特徴を匂わすことがあるの。簡単に言うと、本質を示す〝渾名〟のようなもの」


 学園長は背もたれから背中を離し、身体を前に傾ける。


「だから、あくまで推測ではあるけれど……ナイトメア、《悪夢》という名称から考えるなら、明確な形を持たない物が、まず頭に浮かぶわね」


「つまり、可能性としては〝気体〟である確率が高いということでしょうか」


 口を開いたノエルへと、みんなの視線が集まる。


 彼が着用しているのはこの学園の制服だ。そう、彼は生徒役なのである。

 

 シュヴァルニ魔導学園の制服は、映画で登場する某魔法魔術学校の黒いローブ的なアレに近い。

 黒一色ではなく裏地が真紅で、留め具代わりのブローチが付いていたり、校章のエンブレムが刺繍されていたり、なかなか素敵なデザインだ。


 うん、普通に可愛い制服だ。その制服を着ているノエルくんも可愛い。そして、なんなら私も着てみたい。私もそっちが良かったな。


 ま、年齢的に無理ダケドネただのコスプレになっちゃうヨネ。がはっ!(吐血)


 精神に大ダメージを受けつつも、私はなんとか意識を保つ。


「ええ、私はそうではないかと考えています」モニカ学園長が頷く。


「まだ技術が確立していない時代の魔素兵器だから、持ち運ぶとしたら大掛かりな装置になりますよね」ノエルが言った。


「いや、伝染性があるならそこまでの量は必要ないはずだ。小型の容器か、あるいは従来の魔術スクロールでも問題ないだろう」とクラウディオが否定する。


「どちらにしても思い込みは危険だ」


 そう告げたエドガーが重ねて続ける。


「対象が不明確な以上、固定概念に囚われるな。各自の判断で構わない。怪しい物は容器だろうと魔術スクロールだろうと全て回収しろ。今回は異常事態だ、報告は事後で構わない」


「「了解」」


 短く応じる声が、室内の空気を引き締めた――そのときだった。


「とにかく!」


 モニカ学園長が勢いよく立ち上がり、場の空気を一変させる。先ほどまでの落ち着いた佇まいとは打って変わって、その表情には焦りと苛立ちがはっきりと浮かんでいた。


「ただでさえ爆破事件の影響で評判が落ちているの! さらに何か起こりでもすれば来年度の入学者が激減するの! それはつまり売り上げの大幅減少を意味するのよ!!」


 息を荒立て、彼女のぎゅっと握りしめた拳が小さく震えている。


「あなたたち騎士団には、これまで少なくない献金をしてきたわ。その意味、理解しているわよね?」


「は、はあ……」


 圧に押されるように私は頷いた。


 その分、きっちり働けということだ。うん、なんというか学園長がお金にがめついといか、とても経営熱心だということは良く理解できた。


「ご期待に沿う成果を出せるよう、全力を尽くします」


 とりあえず私はそう答えるしかない。


 とはいえ現状、ナイトメアは正体不明の物体Xでしかない。手がかりは曖昧で、正直なところ雲をつかむような話である。

 ガス検知用タリスマンのような魔力感知系の装備は、この学園の環境では常時反応してしまうだろうし、五感と足を使って探すしかないかな。


 正直言って見つけても、そんなもの触りたくないのよね。心の底からそう思う。いや、もうナイトメアって名前からしてやばいでしょ、絶対死ぬヤツだよ。


 個人的には触れなくても見た瞬間に即死する系だと思うな……。


 もしも一番に見つけてしまったらクラウディオに「そこにあるから早く取ってよ!」って命令しようかな、なんてね(てへっ)!


 冗談はさておき、団長も「追って指示を出す」と言っていたし、むしろフェルさんの尋問がサクッとうまくいって解決してくれるのを全力で祈りますか。




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