↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私が騎士団の司令官ってなんですか!? ~聖女じゃなかった私は得意の料理で騎士たちの心を掴んだら食堂の聖女様と呼ばれていたのです~  作者: 堂道廻
第四章【悪夢】後編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

106/112

101 私は女子高生なの!

『シュヴァルニ魔導学園のことは、覚えているッスか?』


「う、うん。夢に出てきた。魔法の専門学校でしょ?」


『夢……、そういうことッスか。つまり今の司令は、現実が夢で、夢が現実だと錯覚しているってことッスね』


「夢が現実?」


『もっと簡単に説明すると、司令は夢の世界に閉じ込められているってことッス』


「夢? これが?」


 私は思わず部屋を見回した。見慣れた自分の本棚を、壁に貼られたポスターを、窓から見える街並みを。これのどこが夢だっていうの??


「そんなバカな……。だって私にはちゃんと記憶があるもの。この街で生まれて育った記憶がちゃんとあるし」


『もちろんそれは本物ッスね。過去の記憶は本来の記憶を元に再構築されたものだと推測するッス。本当の記憶がベースになっているから〝現在〟に違和感を覚えないッス』


「じゃあ……」


 喉が渇く。ずっと現実だと思っていたものが、足元から崩れていくような感覚がした。


「じゃあ、あの夢が……現実ってことなの!?」


『その通りッス』


「うそ……」


 私は呆然としたままチョーカーに触れた。足元がふわふわして指先の感覚が鈍くなっていく気がした。


 もし彼の言っていることが本当なら、私はとんちきな異世界転移系なろう物語の住人ということになる――。


 はっ!? 


 そして私は重大なことに気付いてしまった。


「ちょっと待って……。じゃあ私は女子高生じゃなくて……本当はアラサー女子ってこと!?」


 そう叫んだ後、室内に沈黙が生まれた。


『…………ショック受けるとこって、そこッスか?』


 クマのぬいぐるみが呆れたように頭を傾げて短い腕を組む。


「だって重要なことでしょ!? なんだか自分の未来を知っちゃったみたいで、こう、なんか胸がぞわぞわする……」


『……うーん、そうッスねぇ』


 そう流したフェルナンドの声には苦笑が滲んだ。


『けれど、今は自分の命とみんなの命が掛かっていることを忘れないでほしいッスね』


「でもさ、あなたの言っていることが本当ならさ、これって夢なんでしょ? なら問題ないじゃない。夢から覚めれば終わるんだし」


『ま、そこが普通の夢とナイトメアの違いッスね』


 フェルナンドの声が真剣なものへと変わる。


『これは司令だけが見ている夢じゃないッス。みんな同時に、同じ夢を見ているんスよ』


「みんな同時に?」


『そう。言うなれば、夢という結界に閉じ込められている状態ッス。これがナイトメアの正体だったってわけッスね』


 よく理解できないけれど、みんなが同じ夢を見ていて、この世界そのものが巨大な結界で、私だけではなく他の誰かまで閉じ込められているってことよね? じゃあ、あの怪異に襲われた人たちは、いったいどうなってしまったの? 夢から覚めるの? それとも本体も消えちゃうのかな?


「正直、まだ信じられないけど……それなら本当の私は今どこにいるの? どこかで寝ているんでしょ?」


『司令たちの本体はシュヴァルニ学園の敷地に閉じ込められているんスけど、この結界は超強力で中に入ることができないッス。だから、本体が今どうなっているかは自分にも分からないッス』


「閉じ込められている人たちみんなが同じ夢を見ているってこと……?」


『まさに』と言い、クマのぬいぐるみがサムズアップする仕草をした。


『こっちは大騒ぎッスよ。なんたって学園に通うのはお偉いさんのバカ息子が多いッスからね。騎士団も衛士も総力を挙げて事件解決に尽力しているとこッス。そんな中で、やっと妨害術式を掻い潜って、司令と連絡を取ることができたってわけッスよ。いざというときのためにチョーカーを装備させていたのが功を奏したッスよ』


 私は首元のチョーカーを指でなぞった。


 このタイミングで重要なアイテムが自分の部屋に現れるなんて、なんとご都合主義なのか。それとも必然だからこそあるのか。そう考えると、自分がこの世界の舞台の中心にいるような錯覚を覚えた理由にも納得できる。


『ところで司令は、どこまで覚えているッスか? 教師として潜入したことは覚えているッスか?』


「覚えているというか……私にとっては夢の中の出来事だから、うろ覚えで……。記憶が断片的なの。たしか、そんなことがあったような……って程度かな」


『なるほど』


 少し考えるような間があってから、フェルナンドが続けた。


『この夢の中でどんなことが起こったか教えてほしいッス。ナイトメアに対抗する糸口がそこにあるはずッスから』


「そ、そうね」


 正直、まだ半信半疑だった。目の前で現実離れしていることが起こっているのは認めざるを得ない。それに、彼が嘘をついているようには思えなかった。

 もし本当にこの世界が夢で、魔導学園の生徒たちが閉じ込められているのなら、私がここで立ち止まっているわけにはいかない。


 私は一度深く息を吸い、ここ数日で起こったこと、図書室で黒い怪異を見たときから、三人が私を庇って怪異に飲み込まれたことを、一つひとつフェルナンドへ語り始めた。






毎日雨ばかりですね~。

さてナイトメア編も佳境です! コメント、評価ブクマなどなど応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。