↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
214/216

『家族』


 蒼く、冷たく、氷に閉ざされた迷宮の中。


 透き通るそれをよく見てみれば、氷の中には何かが封じ込められているのが分かる。


 レンガ造りの建物の壁、石畳の車道、乗り捨てられた車。橋の下を流れるムーア川はすっかり凍てついていて、水面には濁流の荒々しさを物語る波濤が勢いのままに残されている。


 物理的にだけでなく、時間という概念まで凍り付いてしまっているかのような、幻想的ではあるが異様な空間の中。


 凍り付いた道を歩きながら、エミリアは己の足を疑わずにただただ漠然と歩き続けた。幼少の頃から育ったロンディニウムの街、勝手知ったる大通りや路地はさながら自宅の庭の如しで、どの路地がどこに繋がっているのか、どこのマンホールからどれくらい進めばどの通りに出るのかまで頭の片隅に幼少期の記憶として残っている。


 無論、その記憶も助けになっている。


 しかし今、彼女の足を進ませているのはただ一つ―――遥か彼方、この氷の迷宮の向こうから聴こえる、幼い少女のすすり泣く声であった。


 一歩、また一歩。


 分厚い氷の表面を踏み締めながら、エミリアは進んだ。


 乗り捨てられた車の隣を通り過ぎ、我が子を庇おうと諸共に氷漬けになった母親の亡骸を跨いで、先へ先へと歩いていく。


 空では機関部が停止した空中艦が続々と墜落、中には別の艦と衝突し爆発を起こすものもあった。


 分かっている―――これは現実ではないのだ、と。


 これは全て、もう既に起こった事だ―――17年前に、すべてが壊れたあの時に。


『さむい、さむいよぅ……さむいのとまらないよぅ……っ!』


 凍てついたムーア川の畔、ほど近い場所にある石畳の上。


 そこに”彼女”がいた。


 あの時のままだ―――エミリアの記憶の中にある、純粋に彼女の才覚に憧れていた時の姿のままだ。一緒に屋敷の中を駆け回り、家庭教師の授業をすっぽかして、勝手に街中に繰り出しては路地裏を駆け回って遊んだ時の、最も脳裏に焼き付いている姉の姿。


 今の大人びた彼女からは想像もつかない、元気の塊のような少女。


『姉さん』


『だれか……たすけて……っ!!』


 ―――助けてあげられなかった。


 あの時自分は何をしていたか―――母と共にロンディニウムを脱出させられていたのだ。


 姉のいる場所ならば見当がつく、というエミリアの必死の訴えも、しかし父ウィリアムには届かなかった。もしあの時、無理を言ってでも父に同行していたらどうなっていたか。1分でも1秒でも早く姉を見つけ、駆け付ける事が出来ていたのならば。父よりも先に姉を見つけ出し、被害を最小限に抑える事が出来ていたのならば。


 彼女は、塔に幽閉されるような人生を送らずに済んだのかもしれない。


 あの時、姉を救ってあげられなかった自分が何よりも恨めしい。


 彼女は、血を分けた肉親はこんな冷たい場所で、1人寂しく苦しんでいたというのに。


 怖かっただろう、寒かっただろう。


 自分の力が、しかし自分の意思を無視して溢れていく恐怖。それが他人を傷つけていく罪悪感。


 それは見えざる鉄槌となって彼女の心を粉々に砕いたであろう事は、想像に難くない。


 けれども―――もしも、時間を巻き戻せるのなら。


 あの時、あの場所に戻る事が出来るなら。


 やり直したい。


 救ってあげたい。


 彼女を―――姉を、エリスを。


 そして無事に連れ帰るのだ。


 今度こそ―――かけがえのない『家族』として。


『っ!』


 エリスを救おうと手を伸ばすよりも先に、周囲の氷で覆われた地面が盛り上がった。


 隆起したそれはまるで熟練の氷細工職人の技を早送りで見せられているが如く、瞬く間に溶け、削れて、精巧に作られた氷の騎士の姿へと変貌していく。


 その手には剣が、盾が、メイスがあった。


『……そこを退け』


 ぎり、と歯を噛み締めながら、バスタードソードの柄を握る。


『退けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!』


 相手が何だろうと、一歩も退かない。


 もう二度と、絶対に。


















 機内にセットした自分のスマホから、お気に入りの曲が流れてくる。


 アルカディアの動画サイトで最近、再生数が爆発的に伸びているバンドの曲だ。天地戦争帰りのボーカルが、自身の苦い記憶を時折滲ませながらも歌い上げる渾身のロック。どこか儚げで、しかし重々しく、魂を直接殴りつけてくるようなそれが気に入って、最近ではこればかり聴いている。


 『一緒に飛び去ろう、火薬の匂いがしない空まで』―――そんな歌詞がコクピットの中に響き渡る中、いつも通りにミサイルの発射をコール。「フォックス2」と短くコールするなりサイドワインダーを発射、敵艦の推進部と思われる部位にぶち当てて墜落に追い込む。


 背後から2機、例の蝶みたいな氷の戦闘機が追ってくる。レーダー照射……ではなく魔力放射をセンサーが検出、それから間髪入れずに氷のミサイルを思わせる飛翔体が2発、背後からF-105D(サンダーチーフ)を追うように発射される。


 機体を急減速、錐揉み回転させながら決死の急降下。身体に凄まじいGがかかり、落下感が上へ上へと引っ張り上げてくる。脳味噌と頭蓋骨が脳天をぶち破って、キャノピーの内側にぶちまけられてしまいそうだ―――そんな物騒な妄想をしながらスロットルレバーを押し倒して加速、重力も味方につけて、敵艦のすぐ脇をニアミス。


 追ってきたミサイルはたまらず敵艦の背中を打ち据え、青白い爆炎を2つ生み出した。


 急減速からのピッチアップ。完全に傷が癒えたわけではない身体が悲鳴を上げ、喉の奥から鉄臭くて暑い何かが込み上げてくる。


 酸素マスクの内側にそれをぶちまけてしまいながらも、目をカッと押し開いた。機銃のレティクルの向こう側、そこに無防備な背中を晒す2機の敵機がいるのだ。


 20㎜機関砲が吼えた。精巧に作られた氷の蝶を思わせる敵機が瞬く間に蜂の巣になり、ボロボロと崩れ、やがては蒼い炎に包まれ大地へ吸い込まれていく。


 Gが、まるで巨人の拳のように容赦なく身体を殴りつけてくる。こんな無茶な機動(マニューバ)を繰り返していたらそのうち身体が潰れてトマトソースになってしまうのではないか、と危惧してしまうが、けれども今ならば、今だけならば何でもできそうな感じがした。


 少し手を伸ばせば何にでも届いてしまいそうな、そんな感じがするのだ。


 ヘッドオンで敵機を機銃で砕き、爆風を躱しながら急降下。味方艦隊へ砲撃を射かける氷の空中艦へ猛禽類の如く急降下しながら爆弾を投下、敵艦を真っ二つに叩き割る。


 まだだ、もう少し。


 急上昇。背後から敵機が襲ってきては氷の棘のようなものを放ってくるが、何となく分かる―――これは当たらない。


 機銃掃射を縫うように左ロールからのピッチアップ、減速を交えた急旋回。若干のヨーをアクセント程度に、やや角度をつけた旋回で敵機を振り切る努力をする。


 ビープ音―――旋回を終えたばかりのこっちに、ヘッドオンでミサイルを叩き込もうとする敵機の姿。


 左のヨーから右ロール、キャノピーの向こう側の景色の上下左右が目まぐるしく入れ替わり、こっちを狙って発射された氷のミサイルが、ゾッとするほどキャノピーのすぐ近くを通過。後方で蒼い爆炎を膨らませる。


 大丈夫だ、当たらない。


 反撃に機関砲をしこたま撃ち込んで敵機の機首を砕き上昇。雲を抜け、空が段々と黒ずんでくる高度まで駆け上がる。


 追ってくる敵機が、しかしGには抗えないらしく失速(ストール)。こっちも同じく失速(ストール)を始めたところで重力の赴くままに反転、落下する勢いを借りながら一気に加速する。


 分厚い雲を突き抜けて、眼下に広がるは氷の都。次元裂傷の深淵を中心に、すっかり凍てついた迷宮が広がる。


 敵艦のうちの1隻に狙いを定め、爆弾の塔か準備に入った。


 ―――空が教えてくれる。


 ―――『これは当たる』と。


 ぎぎぎ、と機体が軋む。これ以上無茶を続ければ空中分解するのではないか、と危惧を抱いてしまうほどの決死の急降下。


 スマホから流れてくるロックが佳境に入ったのと、ベストタイミングだと悟ったのは同時だった。


 ごごん、とパイロンを離れた爆弾。ふわりと軽くなる機体を上昇に転じさせ、身体がシートに押さえつけられる感覚を覚える。


 ぶわっ、と腹の下で炎が広がったのはその直後だった。まるで花火大会でも始まったかのように、到達可能硬度ギリギリから行ったダイブの勢いを乗せた爆弾が砲弾もかくやという勢いで敵艦をぶち抜いたのだ。艦内で爆発したそれが魔力に誘爆、青白い炎も混ざり合って、四方八方へと広がっていく。


 周囲の他の艦まで巻き込んだ大爆発。


 氷の大艦隊、その艦列に穿たれた突破口に、ソーキル率いる艦隊が飛び込んでいった。


















 まったく、何と無茶な飛び方をするのか。


 艦の指揮を執る一方で、ヴォイテクはラウルの戦い方に舌を巻いていた。相手の攻撃を紙一重で躱し、僅かな隙にすら反撃をかぶせて敵機を撃墜。背後を取ろうものならば戦闘爆撃機とは思えぬ機動で敵機を翻弄、ミサイルすらも容易く回避して敵機を撃墜してしまう。


 相手が無人機同然だからだが、もしこれが有人機との戦いであったのならば、瞬く間にラウルは戦場を支配するパイロットになっていたに違いない。


 あんなパイロットが戦後の時代にも残っていたのか、と思いつつ、彼が穿った突破口を見逃さない。


「今だ、全艦突撃! 若手にカッコ悪いところを見せるな!」


「了解!」


 ソーキルはまだ落ちない。


 既に数発の直撃弾を受け、左舷は大きく抉られて、傍から見れば大破同然の損傷を被っている。しかし艦の設計が優れているのか、自動化されたダメコンの成せる業か、あるいはこの艦に宿った”魂”によるものなのか、ソーキルは損傷を受けてもなお艦隊の先頭に立ち続けた。


 敵機の攻撃を躱し、受け流し、何のこれしきと前に進んでいく。そんな彼女に鼓舞されるかのように、周囲の無人型ソーキル級たちも後に続いた。


「艦首対艦ロケット!」


「これが最後です、残弾無し!」


「撃て!」


 ごんっ、と艦首の対艦ロケット発射管が開いた。装填された533㎜対艦ロケット弾が一斉に点火、進路を塞ぐ敵艦目掛けて一直線に飛んでいく。


 敵艦からの砲撃で隣を飛んでいたソーキル級が被弾。速度を大きく落とすのを尻目に、しかしソーキルは止まらない。ラウルの穿った突破口をロケット弾の全弾発射で更に拡張、艦首のプラズマ衝角【ズメイファング】すらも起動して、敵艦の横っ腹に体当たり(ラムアタック)をぶちかます。


 全長190mの重巡が、推定230mの巡洋戦艦クラスを粉砕した瞬間だった。


 敵艦を体当たりで粉砕するなり、敵機から発射された対艦ミサイルが被弾。艦橋上部、レーダー類を吹き飛ばされ船体を激震させながらも、しかしソーキルの進路は変わらない。


《レーダー破損。されど作戦続行に支障なし》


 艦のAIの報告に、ヴォイテクは不敵な笑みを浮かべた。


「ハッ……お前もしぶといな、ソーキルよ!」


 無論、艦は艦だしAIはAIだ。それに返答する声はない。


 しかし彼には、この艦に長く乗っていたヴォイテクには分かる―――ソーキルには、この重巡洋艦には確かに”魂”と言えるものが宿っているのだ、と。


 そうでなければ、ここまで期待通りの活躍はしてくれない。こうも応えてはくれない筈だ。


 主砲の斉射が敵艦を粉砕、爆炎を突き破り前に出る。


「突破! 敵艦列突破!!」


「全艦、ズメイ砲発射用意!!」


 重力変調システムによる慣性をそのままに、バクン、と艦首にある舳先がスライドして上へと持ち上がった。内蔵されていた砲身が展開、砲口内部にスパークが迸り、やがて蒼い光が充填されていく。


 他の艦も同じだった。剣を思わせる鋭角的な衝角をクロムウェル上空の次元裂傷へと向けるなり、ソーキルを中心に舳先を並べ、次々に青い光を充填させていく。


「各キャパシタ、蓄電率10%」


「フルパワーでの射撃許可は下っている。大盤振る舞いだ、全力でぶち込め!」


「了解……蓄電率20%、通常使用値を超えさらに増加中」


 電力充填中のソーキル級たちを守るべく、コマール級たちが周囲に展開。自分たちも傷ついているだろうに、必死に速射砲や対空ミサイル、CIWSをひっきりなしに放って敵弾を迎撃。ソーキル級たちを守り抜く。


 やがてソーキルの頭上に戦艦スラヴァ、定遠、チェルノボーグも到着。ズメイ砲の発射態勢に入り始める。


 これだけのエネルギーを投入すれば、次元裂傷は確実に塞がるだろう。特にチェルノボーグ、スラヴァ、定遠の3隻に搭載されているフルサイズのズメイ砲は充填率100%で145.6テラトン―――TNT換算にして史上最強の水爆、ツァーリ・ボンバ300万発分の威力になる。


 後は、エリスとエミリアが無事に生きてあの深淵から出てきてくれる事を祈るばかりだ。こればかりは不確定要素、運である。


 果たして悪辣極まる幸運の女神が色よい返事を下すか否か―――それは誰も、分からない。


「蓄電率90%」


「っ! 直撃来ます!」


 それは、次元裂傷の危険域ギリギリのところから飛んできた。


 クロムウェルを守るように展開していた空中艦の1隻、それの放ったミサイルが、無防備極まるソーキルへと真っ直ぐに飛んできたのである。


 既に電力充填率は90%を超過。今ここで中止すれば行き場を失った電力が艦内で暴発するのは想像に難くないし、かといって回避も出来ない。コマール級に迎撃を命じようにも護衛艦は既に後方に展開、前方に急行できる艦が1隻も居ない。


「構うな、充填続行! 各員衝撃に備え!!」


 腹は括った。


 全員が対ショック姿勢をとった直後―――青白い炎をなびかせながら飛んできた氷のミサイルが、艦隊中心部に位置するソーキルの、よりにもよって艦橋に飛び込んだのだ。


 やや右側、ちょうど砲雷長の席の辺りを直撃し爆発したミサイルの破片が艦橋内へと容赦なく流れ込む。許容量を超過した爆音と猛烈極まる閃光、そして衝撃波に、思わずソコロフは自分の席から投げ出され、右舷側にある壁に身体を激しくぶつけてしまった。


「う……ぁ……!」


 何がどうなった、と頭を振りながら体を起こすソコロフ。


 艦橋内は悲惨だった。砲雷長の席に座っていた戦闘人形(オートマタ)は跡形もなく吹き飛んで、艦内のパネルやコンソールはあらかた損傷。艦長席の後方にあるAI『ルシフェル』のサブフレームには大きな破片がいくつか突き刺さり、火花を散らしている。


 そして艦長席にいたヴォイテクは……。


「艦長ぉ!!」


 クラルテを庇うように両手を広げ、吹き荒ぶ爆風と破片の前に立ちはだかっていた。


 180㎝の巨体には微細な破片が幾重にも突き刺さって、軍服は血で赤黒く滲んでいる。しかし彼が前に割って入ったからなのだろう、レーダー手の席に座っていたクラルテには傷一つなかった。


「ふ……無事、だな」


「艦長、艦長!」


 ぐらり、と崩れ落ちるヴォイテクを、ソコロフは抱き留めた。


「しっかりしてください、艦長!」


「バカ、持ち場を離れるんじゃあない……!」


「しかし!」


「まだだ……俺たちの船は、ソーキルは……沈まんっ……!」


 艦長席に用意されている、ズメイ砲の発射スイッチ。


 フルパワーでの使用の際は艦長が引き金を引く規則になっている―――そのスイッチの前にヴォイテクに代わり立っているのは、エリクサーを使ってもなお傷が完全に塞がっておらず、されど眼光の鋭さに陰りはない倭国の剣士、速河力也その人だった。


 いったいいつの間に、とソコロフが漏らすのを他所に、力也はおもむろにスイッチのガラスカバーを外した。


「……この引き金は、俺が引く」


「……悪いねぇ……頼むよ、少佐殿」


「任せろよ、伍長」


 横になりながら親指を立てるヴォイテクに、力也はその背中で物語る。


《電力……填……00%……》


「目標、次元裂傷! 復唱どうした!?」


「はっ……目標次元裂傷! 全艦旗艦指示の目標、照準連動オールグリーン!」


 照準は既に合っている。


 後はこのスイッチを押すだけだ。


(エリス……)


 出会った時、彼女は力也に興味津々だった。


 どうして腕がないのとか、どうして片目がないのとか、普通であればついつい遠慮してしまうような質問をどんどん放り投げてきた。世間知らずのお嬢様、というのが第一印象ではあったが、けれどもそれは彼女なりに世の中を知ろうとしたが故の好奇心だったのだろう。


 剣術と鍛錬に余念がなく、魔術の適性もない……こんな男に、しかし彼女は興味を持ってくれた。一族の捨て駒同然だった哀れな男に、対等に接してくれた。


 それが嬉しかったから、力也は出来る事は何でもやったつもりだった。エリスが笑顔になってくれるのならば。彼女が少しでも喜んでくれるのならば。彼女の孤独を紛らわす事が出来るのならば。


 だが、そんな事はどうでもよかった。


 一番やるべき事は他にある。


 ―――彼女の手を取って、一緒に過ごす事。


 いつ暴走するか分からない力を秘めた乙女としてではなく、1人の女として、妻として、『家族』として接する事。


 一番大事な視点が抜け落ちていたのだと、今になって分かった。


 だから、だから……。












「一緒に帰ろう、エリス」













 もう、寂しい想いなんて絶対にさせない。


 だから帰ってきてくれ。


 また無邪気に笑う顔を、見せてくれ。


 そう強く念じながら、力也はズメイ砲のスイッチを押した。















「―――ズメイ砲、発射ぁっ!!」














 カッ、と眩い閃光が迸り―――無数のプラズマの束が、次元裂傷へと殺到していく。


 無数の大蛇を思わせるそれは途中で互いに絡み合うと、1つの巨大な濁流となって―――黒い深淵のど真ん中を、ぶち抜いた。






   

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
そうでしたか…あの事件の時、エリスさんは家族に捨て置かれてたった一人であんな経験をしていたんですね。エミリアさんがひどく気にかけているのも至極納得というか、悔いていたんですね。今度は置き去りにしない、…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。