珈琲定食
樹海の玉。私は、そんなもののお使いを頼まれてしまった。おかげで、下ネタまで披露されてしまったのだった。なんてことだ。仕方が無いから、私はその樹海の玉を探すべく、また歩き出したのだった。
そして、しばらく歩いていると一軒の小屋を発見した。小屋の煙突からは白煙がもくもくとあがっていた。どうやら、人の気配があるようだ。いや、ここは樹海である。人かどうかは定かではない。しかし、特に行くあてもないので私は、その小屋に入ってみることにした。
「ごめんくださーい」
私は、その小屋の扉をノックしたのだが、特に返事もなかった。しかし、誰かがいるような気配がしたので私は恐る恐る扉を開けてみた。
「いらっしゃいませー!!」
お店の店員のような格好をした人が何人もその小屋の中に居たのだった。しかも、その服装は昔居た高校の近くにあったスターバックルというお店の服装だった。緑のエプロンが特徴的で私は結構お気に入りだった。なんだか、昔を思い出して懐かしい気持ちになった。
「ご注文はどうなさいますか?」
昔の思い出に浸っていた私の目の前に、高身長ナイスなイケメンが、そっとメニューを手渡してきた。
「んと……ゴリゴリペンペンで」
わたしの、大好きなゴリペンを注文した。あのとき、よく飲んでいた奴だ。コーヒーの上から、オレンジゼリーを丸々一個入れて、飲む前にスプーンで崩すことによって、コーヒー一杯にオレンジの心地よい風味が広がる、一品で、大好きだった。
「ゴリペン!一つー」
そういって、店員さんたちはゴリペンを作り始めたのだった。出来上がるまで、私は目の前にあったベンチに座った。
私は、少し考え事をした。しかし、そんなことは関係ないと私はその雑念を振り払った。タケルは死んだのだと。
「ゴリペンお待たせしましたー」
出来上がったゴリペンの入ったマグを私は受け取った。それはそれは、大変美味しそうな出来だった。しかし、昔と違うのがゼリーがオレンジではなく、紫であったので、グレープに変わったことだろうか。ゴリペンは、地域によって味の変わる飲み物なのだろうと私は思った。
窓際の席にすわり、窓の外を見てため息をひとつついた。目の間には、木々が生い茂っており、茶色や緑というよりも、黒い世界が広がっていた。私は、ずいぶんと遠くまで来たものだと思った。普通に帰れば、帰れた国であるが、どうして普通には帰れなかった。どうしてだろうか。
私は、マグをすすって、また一つため息をついた。
気がつけば、私は深い眠りについていたのだった。




